すがすがしい初夏の気候の中、昨年に引き続き今年も勝沼にやって参りました。
(昨年のこの時期にこちらに来たのは登美の丘でしたが)
そして、今年は昨年みたいに「一人で散歩」ではなくて、ツイッターでのお知り合いである
橋本 英和(Strayなsommelier)さんに案内して頂き、
グループでの行動となりました。というわけで今年のタイトルは
勝沼ワイン巡り 2019
であります。主催者の橋本さんにあらかじめワイナリーやレストランを予約して頂いて、移動はバス。
なかなかお大尽な「オトナの社会科見学」です。
・勝沼への道 |
1.ぶどうばたけ |
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2.奥野田ワイナリー |
3.パパソロッテ |
4.フジッコワイナリー |
5.麻屋葡萄酒 |
6.三養醸造 |
7.洋麺屋 楽 |
・勝沼からの道 |
・総括 |
朝6時台の電車で道場最寄り駅を出発、今回はちょっと贅沢して特急利用、乗った列車は8:03発かいじ73号。 JRの早割サービス「えきねっと お先にトクだ値」を使ったので新宿から大槻まで1,620円です。 とことん「安いのが好き」な安ワイン道場です。
特急列車の良い点は、乗ってすぐにテーブル出して弁当食べられるところですね~って毎回言っている気がするな。
そして本日の朝ごはんは
鮭のり弁 580円
軽井沢ビール赤 300円
弁当的な物で一番安かったのがこの「鮭のり弁」でした・・・ってとことん貧乏性だな。
でも、ビールはちょっと奢って良いヤツにしました。「赤ビール(Alt)」らしいですが、
グラスが無いので色が判りません。
いつもは100均の脚無しワイングラスを持参するんだけど、本日は大変うっかりして忘れちゃったんですよ。
そんなことをツイートしたところ、ツイッター経由でのお知り合いである
デゴルジュマンさん、
TZKさん、
そして初めましてのでぃおりかさんが別の車両のボックス席に乗っておられるとのことが発覚。
弁当食べ終わってそちらに合流させて頂きました。
大月駅で普通電車に乗り換え。皆さん片手にはビール、ろくでもない「オトナの社会科見学」スタートです。
ピーカンの青空の下、勝沼ぶどう郷駅に着いたのは8:55、集合時間は9:00なのでほぼぴったりに到着しました。 日本の鉄道は正確ですな。
改札を出ると、既に到着済みの皆さんと合流。 今回の参加者は総勢11名ですが、用意されていたバスは結構デカくてビックリです。 一人2席使える余裕の体制でのワイナリー巡り、お大尽ツアーですよ。
最初の見学先は、勝沼ぶどう郷駅からほど近いところにあるぶどうばたけというお店、生食用ブドウもワインも作る所のようです。 ワイナリーとしての名前は「菱山中央醸造」。 ここはブドウ栽培と加工品の販売メインのようで、 ワイン造りに関しては「近隣の農家が持ち寄ったブドウをワインにして、持ち込まれた量に応じて農家に返す、その一部を販売している」とのこと。 このあたりの昔ながらの醸造所のスタイルみたいですね。
醸造に関しても昔ながらのスタイルが踏襲されています。
右写真は木製の圧搾機。これが現役なのはビックリしましたね。
潰したブドウを木枠で囲った中に入れて、人力のジャッキで絞っていくそうです。
この方法だと、絞れる量は元のブドウの重さの4割程度(機械だと7~8割)とのこと。
なんかもったいない気がする反面、こういうやり方を続けていって欲しい気もします。
ここで造られるワインは、辛口の白(甲州)、甘口の白(甲州)、ロゼ(品種いろいろ)の3種類で、
赤とスパークリングは外部に委託しているそうです。
なぜ赤を造らないかと言うと、「大変だから」とのこと。良いなぁ、そういう割り切り。
また、いろいろ面白い話をお聞きした中でも印象的だったのは、
昔からこのあたりでは結婚式なんかでもワインが出されて、それは大抵「辛口の白」だったそうです。
その理由は、料理との相性が云々なんて高尚なものではなくて、『昔は酔えれば良かったから』とのこと。
なんか判るような気がするなぁ。師範らのちょっと上の世代はそうですよね、
特に師範の出身地九州では、焼酎は正に「酔えればよい」お酒でしたね。
さて見学の後はお待ちかねの試飲タイムです。今回試飲したのは下記5種でした。
小さなプラカップに自分で注いでのフリーフローで試飲し放題。
また、基本的に自家消費用のワインなので、ラベルは張られていません。
甲州辛口
「辛口」といってもそこそこ甘さは残っています。香り控えめ、なるほど日常酒な感じです。
甲州甘口
「甘口」といってもそこそんなに甘ったるくはありません。なんか、別種のワインとして明確に甘い/甘くないを分けているというより、
バリエーションとして「ちょい甘」「ちょい辛」を用意している、と言う感じですね。
ロゼ 2017
香りにベーリーAの雰囲気があって、白よりやや複雑味が増します。これは結構イケるな、ってんでお買い上げ。
ロゼ 2018
2017と比べるとこちらの方がフレッシュで、そして甘味が強めです。
試飲の一口目は2017よりこっちに軍配を上げたのですが、何杯か飲むうち、「一本飲むなら2017かな」と思うに至りました。
赤
メルローが主体とのことですが、「輸入ブドウ使用」とのことで日本ワインではありません。別に「日本ワイン原理主義者」ではないけど、
こういう時はご当地100%のワインが良いよね。
ワインの他にも、ブドウを皮ごと粉砕して造ったジュースなんかもあって、それの品種別のテイスティングなんかも楽しゅうございました。 ブドウの収穫の時期に来たら更に楽しそうですねぇ、人は多いでしょうけど。
2番目の見学先は、塩山駅のそばにある奥野田ワイナリー。
勝沼の中心部からはちょっと離れたところにあるので、歩いてのワイナリー巡りでは厳しい場所にありますが、
今回はバスで移動なので楽ちんです。
左写真は建物の二階にあるテイスティングルーム。
ここでご挨拶をして後、ワイナリー近くの畑に歩いて移動しました。
拝見したのは右写真の日灼圃場(Hiyake Vineyard)、カベルネ・ソーヴィニョンが植えられています。
このワイナリーの特徴は「密植」だそうで、
生食用のブドウ棚だと概ね200~250本/haの植え付け、海外の垣根栽培のブドウ畑でも4000本/ha程度であるのに対し、
ここでは9000本/haと、極めて高い密度で植え付けられています。
その目的は、土中深くの海洋ミネラルをブドウに吸い上げさせること。
密植すると値が下に向かって伸びるので、それが可能になるそうです。
もちろんデメリットもあって、垣根の間が狭くなるので大きな機械が入れられず作業性が悪くなることと、
単位面積当たりの収量が減ることだそうです。
ちゃんとしたブドウを造るのには手間とお金がかかる、ということを極めて論理的に説明して頂きました。
その後、フランス・アリエ産の新樽が並ぶセラーも見学させて頂きました。
デゴ店長が樽の価格を尋ねたところ、結構ビックリのお値段でした。
やっぱりこういう樽を使うとワインの価格へも反映せざるを得ないわけですね。
ここでの試飲は4種類。ワイナリーの説明とテイスティングに1,000円掛かりますが、
ちゃんとしたテイスティンググラスが使えて1つ1つ丁寧に説明して頂けます。
写真左から順にテイスティングしました。
ハナミズキ・ブラン 甲州 2018
とにかく飲んで一口目の印象として「なるほどミネラル!」です。
ちょっと苦味にも感じられる程のボリュームがあって、
こんなに個性的な甲州が2,000円台前半なのは「安い」と思います。
というわけでこのワイナリーではこれをお買い上げ。
桜沢シャルドネ 2017
グワッと感じるくらい樽が効いています。香りはまるでムルソーですね。
ただ、口に含むとムルソーみたいに厚い感じはなくて、前の甲州に通底するミネラルと旨味が主体。
香りや味わいが溶け合うまでもう少し時間が掛かるのかも知れません。
全体的な印象として、一軒目のワイナリーとは真逆の志向で、 最新の技術と流行を取り入れたワイン造りをされているワイナリーだと感じました。 今後も伸びていきそうな勢いを感じましたよ。
ワイナリーを2軒廻ったところで時間は11時半、ここでランチです。 事前に予約して頂いていたお店が、勝沼ぶどう郷駅から町側にちょっと降りたところにあるパパソロッテというイタリアン・レストラン。 なんだか「パパ揃って」みたいな名前ですが、今回の参加者の中にパパは少ないような。 メンバーで子持ちは師範だけじゃないですかね?そういうお若い集団に混ぜて頂いております・・・っていうか今日は「父の日」だな。
店内は2つのフロアに緩く分かれていて、我々は奥側のフロアを占有する形で使わせて頂きました。 店の窓から勝沼の盆地が一望に出来る抜群のロケーションです。 今回「ドリンクは別途」ということでしたが、 各テーブルにはリーデルの立派なグラスが最初から置かれているではありませんか(笑)。 これでワインを頼まない、というのは無理な話であります。
料理は、前菜とパスタとデザートのコースです。 その前菜がシャルキュトリー各種、キッシュ、ピクルス、グリーンサラダの盛り合わせ。 ワインが欲しくなるメニューであることに疑う余地はありません。
名称 | Kizan Sparkling Traditional Brut 2016 キザン スパークリング トラディショナル・ブリュット 2016 |
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生産者 | 機山洋酒工業 |
価格 | 6,500円 (お店価格) |
購入店 | パパソロッテ |
・・・というわけでボトルで頼んじゃいました。
せっかくの顔合わせなんで、皆さんで乾杯できたら良いなと思い、
そうするとやっぱりスパークリングでしょ、そして出来れば地元のワインでしょ、
って気分でリストを見ると、なんと5種類位も日本のスパークリングが載っているわけですよ。
これは立派だなぁと感心しました。
ただ、あいにく注文しようと思った四恩醸造の橙は欠品中(後で聞いたら共栄堂はあったらしいです)、
いくつか選択肢を挙げて頂いた中で、やっぱり瓶内二次発酵でしょ、ということでこのキザンのスパークリングと相成りました。
色は、想像したよりもしっかりした黄金色が見て取れます。
ヴィンテージは2016年なので、そんなに熟成期間は長くないから、元のブドウがしっかりした色だった、ってことなのかな。
香りは、甲州種らしい酢橘のようなシャープさのある柑橘香がシューッと。結構香りのボリュームも立派で、「なんちゃって」感は全くありません。
味わいも思いのほかしっかり系。後味に苦味が残るあたりは甲州の特徴なのかな。
これがなかなか立派なスパークリングでありました。
後で小売価格を調べたら、やっぱり3,500円もするのね。
それを6.500円でリストに載せるこのお店は良心的だと思います。
そして、後で調べたら14年前に稽古していたみたいですが、当然そんなことは失念しておりました。
ともあれ一緒に飲んで頂いた参加者の皆さんにも喜んで頂けたようで、
師範としては「シニア割り増し」の任務を全う出来てなによりでありました。
点数 | (78点) |
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スパークリングで喉も潤ったところで、本日のパスタはシークァーサーとハマグリのスパゲティです。 シークァーサーは皮を削って散らしてあるのかな? なによりパスタの茹で具合がちょうど良い硬さ。お見事でございます。
デザートは絶対おいしいパンナコッタ。
「大きく出たな!」という名前ですが、確かに美味しかったっすよ。
・・・という感じのランチ。コースのお値段は2,000円でありました。
それでは、午後も頑張ってワイナリー巡りを堪能しましょう!
午後最初の見学先はフジッコワイナリー。「フジッコのお豆さん」で有名な食品メーカーの100%子会社ですね。
道場でもフジッコの昆布の佃煮はほぼ常備していて、朝食のお供とさせて頂いております。
ワイナリーの場所は、勝沼の中心からちょっと南に行ったあたり。
このあたりでは比較的大規模なワイナリーということになるのかな?
観光バスも停められるような大きな駐車場があります。
醸造設備もかなり大規模です。写真にあるずらりと並んだ醸造用のステンレスタンクは、今年の春に導入されたピカピカの新品。
これまでは15tタンクを主に使っていたけど今回導入したのは6tタンク、「その方が小回りか効くから」とのことです。
また、この醸造用タンク以外にもサーマルタンクというものがあって、それで瓶詰前に-3℃に冷却することで酒石を落とすのだとか。
ワインに詳しい人は酒石なんて入ってても問題ないと知っているんだけど、
やっぱり広く一般の顧客を相手にする場合はそういうところにも気を遣うんですね。
大手ならではの品質へのこだわりは樽にもあって、ここでは年10樽くらいを更新しているんだけどその発注先は5社に分けているそう。
理由はリスクヘッジらしいです。何かの理由でワインが全滅とか避けたいでしょうからね。
また『人間の菌は強いので、樽には絶対触らないでくださいね』と言われました。
見学者も多い分だけ、そういうところにも気を遣わざるを得ないんですね。
醸造設備から熟成用セラーと見学した後、最後は瓶詰とラベリング工程のマシンの見学。
師範もこれまでいろいろワイナリー見学をしてきましたが、この手のマシンが稼働しているのを見たことがありません。
こういう稼働率の低い設備を保有せざるを得ないのが、日本ワインの価格を押し上げているんじゃないかなぁ。
見学の後は試飲です。無料のものは小さなプラカップで、それとは別にグラスで有料試飲もできます。
『観光バスも受け入れるような試飲ですので、甘口のものも沢山出ています。』という説明が印象的だったな。
やっぱり未だに日本のワインに対する一般的なイメージは「甘口」のものなんですね
・・・というわけで、無料試飲の中から「辛口」のものをピックアップして。
クラノオト Koshu 2018
微発泡のワインのようですが、試飲のボトルは底にちょっとだけ残った状態だったので、本来どの程度のガスがあるのか判りませんでした。
甲州種らしく後味にしっかりした苦味を感じます。
フジクレール 甲州シュール・リー "東渓" 2017
コンクールで毎年賞を取っているワインみたいです。そういうワインを税別1,700円(かつワイナリーの期間限定で10%off)で出せるのは大手の強みですね。
個人的にはややストイック過ぎる感じがしたのと、甲州はすでに前の奥野田ワイナリーで買っていたんで、安いけど見送りました。
フジクレール ルージュ N.V.
ん~、日本ワインの安い赤だなぁ、という感じ。やっぱり凝縮感が足りません。税別1,300円のお値段は立派だと思うんだけど、
このクラスの品質がもう少し上がってくれないと・・・という気がします。
フジクレール マスカット・ベーリーA 樽熟成 2017
お値段税別2,000円、ここになるとグッと品質が上がります。
マスカット・ベーリーAの風味が苦手な人にはアレですが、師範は好きなのでこれを買いました。
師範もモノ造り企業に勤める人間のハシクレなので、このワイナリーの品質に関するこだわりは非常に納得が行くものでした。 でもやっぱりそれがコストを押し上げる要因にもなっているだろうな。難しい問題ですね。
午後の見学二軒目は、勝沼の中心部からちょっと西よりにある麻屋葡萄酒。
昨年ワイン散歩をした時に訪問した中央葡萄酒(グレイスワイン)の真向かいにあります。
創業は大正時代の1921年、今回訪問した中では2番目に歴史が長い(一番は最初の菱山中央醸造)ワイナリーです。
まずは建物の裏手にある、試験的にいろいろな品種が植えられている畑から案内して頂きました。
オーナー自らが説明してくれて、テイスティング・グラスが使える無料試飲があって、それでも基本的に見学は無料。 それが今回我々のために特別に、ってんじゃなくて、 サイトによれば予約すれば誰でも対応して頂けるみたい。 サービス精神旺盛過ぎですよ。
最後に訪問したワイナリーが、今回唯一甲州市ではなく山梨市牧丘町にある三養醸造、勝沼からだとかなり北へ行った山際に位置しています。
ワイナリーの外観は、全く酒屋です。
というのも、かなり以前は一升瓶ワインを造るような醸造所だったんだけど、一旦そこは廃業して酒屋に転換、
その後酒屋も上手くいかなくなってワイン醸造が復活、という複雑な経緯を経ているとのことです。
ここでは、畑や醸造設備の見学はなく、いきなりテイスティング・ルームに案内されました。
それも、これまでみたいな立ち飲みスタイルのテイスティングではなくて、テーブルと椅子、そしてきちんとしたグラスが用意された本格的なヤツです。
そうなると、こちらも背筋がピン!っと伸びる・・・のが普通だと思うのですが、オーナーの山田氏の説明が飄々とした楽しいものなので、
なんだかリラックスできます。
そんな変わり者の天才肌の山田氏の説明によれば、
このワイナリーの年間生産量は約8,000本、ほとんどが自社畑のブドウを使っているそうです。
栽培に関する特徴的な部分として、ボルドー液は一切使わないそう。
ボルドー液を使うと菌は一斉に退治出来るらしいんですが、どうしても土が固くなるので、
畑を代々維持していくためにはボルドー液は使いたくないとのことでした。
また、醸造に関しては、甲州種などではかなり一般的なシュールリー製法は採らず、その分スキン・コンタクトを長くしているそう。
シュールリーにすると香りが飛ぶ、というような理由だったと思います。
では、せっかくなんでテイスティングした1本1本、ちょっと詳しめに書いていきます。
Koshu N.V.(2017 & 2018)
2017年のワインと2018年のワインが使われているのでノンヴィンテージ。
お値段は1,700円とのこと。
ここまで甲州はいろいろとテイスティングして来ているんですが、
造り方の異なるヴィンテージを混ぜることで、複雑さが出ていたような気がします。
また、アルコール度数は12.8%と日本ワインにしては高め。理由は「補糖しすぎた」とのことです。なんとも正直。
Delaware 2017 (左写真)
ブドウの産地は笛吹市境川産が70%/勝沼産が30%。
ヴィンテージは2017年で単一ですが、早摘みしたものと遅摘みしたものが使われているそうで、
早摘みからは酸味/遅摘みからは香りを引き出したとのこと。
飲んでみると酸味シッカリで、いわゆる「薄ら甘いデラウェア」とは全く性質が異なります。
こちらのお値段は1,800円、在庫が沢山あるのでこれが売れて欲しいらしいです(笑)
Chardonnay N.V.(2017 & 2018) (左写真)
こちらも前の甲州同様、2017年産と2018年産のミックス。自社圃場のシャルドネ100%だそう。
熟成は樽が25%、ステンレスが75%とのこと。お値段は2,000円です。
まだ固い印象のあるシャルドネ、というか勝沼のシャルドネってどれも甲州種に近いイメージがありますね。
もう少し時間が経つと香りも味もまとまって来るのかな?
Nigori Koshu 2017
お値段1,700円。なぜ「にごり甲州」を造ったかと言えば、『面白いと思ったから』だそう(笑)。
濁りがあるから旨味が強いような印象を受けましたが、『濁りなんてフィルタで濾過すれば簡単に取れちゃう』そうです。
目からの入る情報も印象を左右するんですねぇ。
Rouge N.V. (左写真)
お値段1,800円。
品種は、マスカット・ベーリーAが50%、それ以外はカベルネ・ソーヴィニョン、甲斐ノワール、メルローとお聞きしたと思いますが、
後で裏ラベルを撮った写真を見返すと「欧州系黒ブドウを主体に造りました」と書かれています。
マスカット・ベーリーAって欧州系なんですかね?聞き間違えたかな?
Muscat Bailey A N.V.
お値段1,700円。面白いことに、裏ラベルには「2018年20% ***」と書かれた跡があるのですが、
それを修正テープで隠してあります。『書いちゃいけないらしいので』とのこと。
消費者としてはそういう情報も書いてあった方が嬉しいんだけど、良く判らん決まり事ですね。
ちなみに『今飲んでも美味しくないので10月まで待って』とのこと。
でももう売っちゃうんですね~(笑)
Yama Sauvignon 2017 (左写真)
お値段こちらも1,700円。ヤマ・ソーヴィニオンとは、日本の品種である山ブドウとカベルネ・ソーヴィニョンの交配品種です。
独特の荒っぽい香りとド紫な色合い。大変個性的ではあるのですが、山田氏曰く『この品種で感動するようなワインは造れない』とのこと。
でもトライはするわけですね。
Merlot N.V.
お値段はちょっと上がって2,400円。前のマスカット・ベーリーA同様、修正テープでヴィンテージの情報が消されています。
牧丘町の自社圃場の早摘みしたメルローを使ったそうなので、色はメルローにしてはかなり薄めです。
それでもアルコール度数は13%あるのは、こちらも補糖の影響だそう。正直な方ですね。
Neko Rouge N.V. (左写真)
最後にプラスαで出して頂いたのが、この「猫ルージュ」。
品種はメルロー85%/ピノ・ノワール15%、メルローは複数年のヴィンテージ&樽熟期間の違うものが使われていて、ピノ・ノワールの樽熟は2年だそうです。
そしてこれがビックリ仰天の香りの華やかさでした。メルローとピノを混ぜるとこうなるのね。
でも、昨今ピノ・ノワールの買い入れ価格が上昇しているとのことで、このセパージュでのワインはこの年が最初で最後とのことです。
とても個性的で美味しく、かつ珍しいワインだったので、お値段3,000円(税込み3,240円)は道場の稽古範囲を逸脱してしまいますが、
思わず買ってしまいました。
結局、なんだかんだでテイスティングさせて戴いたワインは9種類。
それも、ほとんどが今日我々のために開けて頂いたものみたいで、
なんかとても申し訳ないっす(通常のテイスティングは3種くらいだそうです)。
三養醸造で山田氏が造るワイン、生産量が少ないので見かけることも少ないとは思いますが、
1,000円台とは思えないクオリティでどれも美味しゅうございました。なので見かけたら「買い!」です。
勝沼周辺でのワイナリー巡りを終えて、バスに乗って甲府方面へ。
途中の塩山駅でらぱんさんご夫妻が途中下車、
あまりお話ができず残念でした。
皆さんお疲れのご様子で静かな車内、師範は頑張ってツイッターでリアルタイム更新などしておりました。
偉いなぁ、師範・・・って自分で言うのね。
別にワインや飲食関係者でも無いのに、なにが私をそこまでマメにさせるのか、自分でも判らんとです。
そして小一時間くらいかかって、目的の懇親会&ワイン会会場である洋麺屋 楽に到着。
場所は甲府駅のちょっと南側にあります。
店内は、5席ほどのカウンターと、10人程度が座れる大きなテーブルが1つのこぢんまりとした造り。
その大きなテーブルを囲む形で全員が着座しました。テーブル一つで話題が一つになるのはとても良いのですが、
対面の人と話すには若干大声が必要になる(小声だと聴こえない)距離なのが難点。
なので、お隣になった酒屋の絵描きさんと話していた気がするけど、
何を話したんだかイマイチ覚えてません。失礼があったらゴメンナサイ。
入店した時から、テーブルの上には既に美味しそうな料理がいろいろと並んでおりました。それがこの写真。
もちろんコレ以外にもどんどん出して頂きましたが、惜しむらくはそれらの写真はほとんど撮ってません。
ここまでで間違いなくボトル1本分以上のワインを飲んでいるんですね、
なので記録係としての勝手な責任感もこれくらいが限界です。
同様に、↓に稽古したワインをコメントと共に記載していますが、どれも超イイ加減、
特に点数なんて「これ信じちゃダメですよ」のレベルです。
あくまで本人の備忘録であることを御承知の上でのご笑覧、よろしくお願いします。
名称 | 酵母の泡 甲州 ブリュット N.V. |
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生産者 | マンズワイン |
価格 | (コースに料金込) |
購入店 | 洋麺屋 楽 |
スタートは甲州の泡から。造り手は、キッコーマンの子会社であるマンズワイン。
「マンズ勝沼ワイナリー」は山梨県内では最大のワイナリーらしく、
移動途中のバスの中からもサイロのようなデカいタンクが見えました。
そういえば大昔に長野の「マンズ小諸ワイナリー」は見学しています。
22年前のことなんだけど、書いていることは今も変わらないねぇ。
それではこのワインの説明を。山梨県産の甲州種から造られた白ワインを、
耐圧タンクの中で二次発酵(シャルマー方式)させて造ったスパークリングとのことです。
ボトルの容量は720ml、醸造の過程で一升瓶を使うわけでもないだろうに、まだ「升・合」の基準なんですねぇ。
そして、ワインの感想はというと、1本目なのでまだメモが残っていて
「無色、クリア、甘くなく酸しっかり」
と書かれております。確かにそういうワインだった気がするな。とにかく軽くてドライな泡、という印象です。
サラッとしたスパークリングで、
昼に飲んだキザンのスパークリングと比べると相当違うよね、って感じはありました。
まぁ値段も違うだろうし、乾杯用の1杯目なんてこれでも良いっちゃ良いんですけどね。
3桁円のヴァン・ムスーやスプマンテ、エスプモーソにありがちなキンキンした感じが無いのは好印象でした。
点数 | (69点) |
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名称 | Sanyo Wine Koshu 2017 三養ワイン 甲州 2017 |
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生産者 | 三養醸造 |
価格 | (コースに料金込) |
購入店 | 洋麺屋 楽 |
白の一本目は、今日最後に訪問した三養醸造の甲州。
ワイナリーではこのワイン自体はテイスティングしませんでした。
「洋麺屋 楽」のマスターが作られた丁寧なワインの解説書によれば、
『甲州種は3,000m2の棚栽培畑において3,150kgまで収量を減らしました。
ノンボルドー栽培を採用し、香り成分を活かす低温発酵を経て無濾過にてボトリング。
清らかなアルコールが甲州種の特徴である柑橘類の豊かな香りを源泉に自然な共存を果たしています。』
らしいです。
では、師範のメモもここに書き写します。
「苦味しっかり、甲州おぼえた」
だそうです。まぁ苦味はこの品種に特徴的ですね。そしてこれだけ続けて飲めば特徴覚えるよね。
この後に飲んだ、同じく甲州の2017年と2018年のアッサンブラージュ品には、『自社圃場の甲州ぶどうで造りました』と書かれていますが、
こちらには『山梨市産』としか書かれていないので、契約農家からの買いブドウなのかな?
典型的な甲州の白、って感じだったような気がします。
点数 | (72点) |
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名称 | Sanyo Wine Koshu N.V. 三養ワイン 甲州 (ヴィンテージ無し) |
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生産者 | 三養醸造 |
価格 | (コースに料金込) |
購入店 | 洋麺屋 楽 |
同じく三養醸造の甲州ですが、こちらはワイナリーでもテイスティングした2017年と2018年のアッサンブラージュ品です。
こちらも解説書の文言を書き写しますと、
『2018甲州(55%)、2017甲州(45%)のブレンド。2018甲州の果皮を低温浸漬させ2日後に果汁のみを発酵タンクから移動させ清澄し、
16度で発酵、クリーンでクリアな香りと味わいを目指した。高めの温度で果皮浸漬している甲州とのブレンド。1,900本』
だそうです。
さて、では師範のメモです。
「わからんけど」
って書いてますが、自分でもなにがわからんのかわからんです(泣)
でも、おぼろげな記憶をたどると、前の単年度のものより複雑味があったような気がするんですね。
テイスティングの時も感じたけど、一般的に採用されている単年度での生産に本当に意味があるんですかね?
日本のように気候が安定しない地域では、
シャンパーニュみたいにマルチ・ヴィンテージにして品質の安定を図った方が良いんじゃないか、と思いましたよ。
点数 | (74点) |
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名称 | Sanyo Wine Nigori Koshu N.V. 三養ワイン にごり甲州 (ヴィンテージ無し) |
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生産者 | 三養醸造 |
価格 | (コースに料金込) |
購入店 | 洋麺屋 楽 |
同じ造り手の甲州が3種類続きます。まるで修行のようです。このワインもワイナリーでテイスティングした銘柄ですね。
こちらも解説書を書き写します・・・ってそうしないとあまりに情報が無いのでね。
『2018甲州の果皮を低温浸漬させ4日間を経て搾汁、果汁を清澄し、アロマの発現保持を意図して醸造(80%)、
2017甲州(20%)とのブレンドにより味わいの深さをプラスしました。』
だそうです。テイスティングの時に山田氏は『濾過してないだけよ~』なんて言われてたと思いますが、造り方変えているんですね。
では、謹んで師範のメモを。
「香りすばらしい」
だそうです(雑)
・・・と、あてにならない師範メモはさておき、やっぱり濁りの状態だと旨味や香りの成分が多く残っている気はしますね。
もちろん品種によってはそれが雑味に繋がる場合もあるんだろうけど、甲州の場合は元がシュッとした感じなので、
多少こういう成分を残した方が好印象なのかもです。
点数 | (75点) |
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名称 | Chanter Y.A. Rosado est 2018 シャンテ Y.A. ロサード エスト 2018 |
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生産者 | ダイヤモンド酒造 |
価格 | (コースに料金込) |
購入店 | 洋麺屋 楽 |
修行のような甲州連打が終わり、このワインはロゼでございます。
造り手のダイヤモンド酒造は、
昨年の「勝沼ワイン散歩」で行こうとしたけど休業で行けなかったワイナリーですな。
その前の年に稽古したマスカット・ベーリーAがとてもしっかりしたワインだったので、
立派なワインを造るワイナリーだと認識しております。
それでは、解説書の転載です。
『スペイン語で「ロゼ」という名前の、やや濁りのあるすっきり辛口のロゼワイン。
山梨県の北西部にある茅ヶ岳山麓の麓の穂坂地区のマスカット・ベーリーA種同社のハイグレードのYシリーズのブドウを100%使用。
セニエによる果汁のみ使用していますので、やや濃い目のロゼ色となっています。また、濾過をせず瓶詰してあります。』
だそうです。
そして、ここからは師範メモがありません。ちゃんとしろよなぁ>自分。
更におぼろげな記憶を辿りますと、確かに元の品種はマスカット・ベーリーAだな、というのは判りました。
クリアなボトルに入れられているので写真でも判るように、非常にキレイなロゼ色です。
無濾過とのことですが、濁りはほとんど感じられなかったと思います。
しみじみ美味い系のロゼだったような気がするけど、まぁ覚えちゃいないもんですね。
さすがにこのワイン以降ここで飲んだ分に点数を付けるのは憚られますので、(??点)とさせて頂きますが、
改めて考えると、セニエした液体があれだけ濃いロゼ色を呈しているのだから、
セニエされた(残りの)赤はきっととても濃い赤なんだろうな、と想像されるわけです。
それがきっと2年前に稽古したコレに繋がっているんだろうと合点がいきました。
点数 | (??点) |
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名称 | Sanyo Wine Muscat Bailey A N.V. 三養ワイン マスカット・ベーリーA (ヴィンテージ無し) |
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生産者 | 三養醸造 |
価格 | (コースに料金込) |
購入店 | 洋麺屋 楽 |
次の赤は再度の三養醸造のワイン登場で、品種はマスカット・ベーリーA。
これもワイナリーでテイスティングしました。
今回、このお店で頂いたワイン7本のうち4本が三養醸造だったわけですが、
こういう「ほぼ現地でしか見かけないワイン」が置かれているお店は、旅先に伺う先としてはとても良いと思いますね。
では解説です。
『2017VT(20%)を1年間樽熟成、同じ山梨市で収獲した2018VT(80%)をブレンド、無濾過仕上げ。1,360本』
だそうです。これは確かにワイナリーでもそう説明されていたと思います。
そして、このワインがグラスに注がれた時、師範含めて参加者一同がビックリしたのは「前のロゼとほぼ色が変わらない」ことですね。
若干こちらに濁りがある以外、色調としてはほぼ同じです。
前のはセニエのロゼ、これは赤。「ワインの色とは何ぞや」という哲学的な疑問にぶち当たりました。
・・・て、そのこと以外はほとんど記憶が無くてスミマセン。
ただ、ワイナリーでは『まだ美味しくないので10月まで飲まないで』と言われましたけど、
そんなに若くて硬い印象は無かったような。
点数 | (??点) |
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左写真、左側がロゼで右側が赤です。 「目隠しして飲むと赤ワインと白ワインが判別できない」なんて話を聞いたりしますが(結構マユツバだと思いますが)、 この2本に関しては目を開けて飲んでも赤ワインとロゼワインを判別できません。
名称 | Chanter Vin du Chabudai Rouge 2018 シャンテ "ヴァン・デュ・チャブダイ" ルージュ 2018 |
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生産者 | ダイヤモンド酒造 |
価格 | (コースに料金込) |
購入店 | 洋麺屋 楽 |
ようやく最後の赤までたどり着きました。この赤もダイヤモンド酒造が造り手です。解説書を転記します。
『韮崎市穂坂産のマスカット・ベーリーA同社ハイグレードのYシリーズのブドウを100%使用。
低温発酵を行い、フィルターをかけず、ブルゴーニュ仕様のオーク樽で約6ヵ月熟成してあります。ワイナリーと新田商店での限定発売。560本』
とのことです。
後で解説を読み返すと、もっとちゃんとした状態で飲みたかったなぁ感が募りますね。
これもロゼ同様、しみじみ美味しい系のワインだったような。
ただ、思いっきりアテにはならない印象情報ですが、なんだか「軽い」と感じたのは事実です。
締めの赤ってんで、もっとしっかりしたワインを想像したからかも知れません。
・・・と、以上が今回の懇親会&ワイン会で出して頂いたワインでした。
参加者は9人だったけど、さすがに全部は飲み干せてなかったような気がします。
ホント浴びるように飲んだ一日でした。
点数 | (??点) |
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締めの料理に、タラコパスタとスパゲティナポリタン(左写真)が出されました。
ラーメンを筆頭に麺類のお店にやたら詳しいTZKさんからの情報によれば、
このお店はタラコパスタの名店として有名だそうです。
そういう先入観を抜きにしても、確かにこれが美味いのよ。
イタリアのパスタとは傾向の異なる、いわゆる「日本のパスタ」。
タラコの方のネットリ感は凄いし、ナポリタンは古き良き日本のスパゲティという感じ。
御馳走さまでした。
そして、これだけ飲み食いしてのお会計が、なんと込み込みで一人5,000円也。
おなか一杯食べて日本ワインこれだけ飲んでこの値段、
チェーンの居酒屋なんかとは満足度が雲泥の差です。
橋本さんの顔が効いているのかも知れませんが、リーズナブルなお値段でたっぷり堪能させて頂きました。
名称 | La Feuille Taru Koshu 2016 ラ・フィーユ 樽甲州 2016 |
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生産者 | まるき葡萄酒 |
価格 | 2,592円 |
購入店 | 甲府駅「Wine Cellar」 |
帰りの電車は甲府20:04発かいじ24号でした、多分。
行きも同席した
デゴルジュマンさん、
TZKさん、
でぃおりかで、4人ボックス並びの席を確保。
電車内で二次会?とシャレこみました。
宴会までであれだけ飲んでおいて、「まだ飲むか!」って感じだけど、これが飲むんですよ。
甲府駅にある日本ワインが豊富にある売店「Wine Cellar」で調達しました。
デゴルジュマンさんと相談して『やっぱ冷えたのが良いっすね』『でもしっかりしたのが良いっすね』と言う意見が一致、
お店の方に相談したところ、提案されたのがこの樽熟成の甲州でした。
ワインは師範が買いましたが、ツマミはデゴルジュマンさん、ビールはTZKさん、おやつはでぃおりかさんで分担しました。
そもそも既に脳みそがアルコールに浮いている状態な上、プラカップでの稽古ですから、
どういうワインだったかの記憶はほとんどありません。
薄っすら覚えているのは、ソムリエの資格を持つデゴルジュマンさんが『結構しっかりしたワインだなぁ』と言われていたこと。
なのでしっかりしたワインだったのでしょう。
もう何を話したかもほとんど覚えていませんが、楽しく飲み食いするうちに新宿到着。
皆様お疲れさまでした。
点数 | (??点) |
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師範だけ酔っ払ってたわけじゃ無くて、皆さん結構出来上がっていたようで。
左写真はデゴルジュマンさんが買ったツマミ、ホタテの佃煮。
ビニール袋に入っています。皿はありません。箸も無くて小さなスプーンで頂きます・・・って食べづらいよ!
そんな感じだとさぞ周りに迷惑を掛けてたんじゃないか、と思われそうですが、実際はそんなにうるさくはしていないと思います。
通路を挟んだ反対側の席のご夫妻はずっと寝ていらっしゃいましたから。
・・・と、そんな感じの一日でありました。気になる費用は、バスチャーター代6,000円、昼食代2,000円、懇親会&ワイン会代5,000円の13,000円。
それ以外に昼食時のドリンクと、往復交通費&列車での飲み食い費は掛かりますが、一日遊んで飲んで食べてこの値段、絶対お得だと思いますよ。
気になる方は橋本さんのツイッターアカウントをご参照下さい。
さて今回の「勝沼ワインめぐり 2019」、感じたことをつらつら列挙して終わりにします。
「ワイナリー巡り」は楽しい
ワイナリー以外にレストランも巡っているので表題は「ワイン巡り」にしているわけですが、
そんなことは置いといて「ワイナリー巡り」は楽しいです。
これまで、サントリーさんにご招待頂いて登美の丘ワイナリーや塩尻ワイナリー単体を訪問させて頂くことは幾度かあって、
それはそれで大層手厚いご接待を受けてとてもハッピーだったのですが「巡っ」てはいませんでした。
また、昨年は一人で複数件巡りましたが、それは「ワイナリー巡り」というより「ワイナリーのテイスティング・ルーム巡り」でした。
「ワイナリーを巡る」楽しさは、いろんなワイナリーを訪問してそれぞれのワイナリーならではやり方、
特にブドウの栽培法やワインの醸造法に対するポリシーがお聞きできる点にあって、これはとても興味深いものです。
是非(安ワイン者といえども)ワイン好きの皆さんにお薦めしたいレジャーです。
やっぱり品種のバリエーションが欲しいな
懇親会&ワイン会で出して頂いたワインの品種、甲州とマスカット・ベーリーAだけでした。
「勝沼といえば白は甲州、赤はマスカット・ベーリーA」というブランディングもアリだと思いますし、
もちろんこれらの品種が土地の個性に合っているという面もあるんだと思います。
でも、もうちょっとバリエーションを増やしても良いんじゃないかな?
この2品種だけだと、飽きるってわけじゃないけどストイックな感じがするんですよ。
長野(「信州ワインバレー構想」とか)だといろいろな品種を栽培されているみたいだけど、
そういう方向性も良いんじゃないですかね。
「安くて美味しいワイン」って目指せないのかな?
今回訪問したワイナリー、ほとんどが「手間暇かけて美味しいワイン」を造られている印象です。
それはそれで立派なんだけど、安ワイン道場としては「手間暇かけなくても」同様のクオリティを出すことに知恵を絞って頂き、
「安くて美味しいワイン」を造ることを目指してほしいなぁ、と思うんですよ。
例えば稼働率の低い設備の共有とか、通年醸造出来るような方法の検討とか。
チリのコノ・スル、清酒の旭酒造、そんな感じの日本ワインの造り手が出てくることを願って止みません。
ワイナリー訪問したら1本くらい買おう
これは、訪問する側の方々へのご提案ですが、ワイナリーを訪問して、きちんと説明して頂いて、試飲のサービス受けたら1本くらい買いましょうよ。
飲食業や酒販業に携わる方だと、「サービスはタダじゃない」ことなんて普段から身に染みて感じておられますでしょうに。
業者向け試飲会みたいに商談が前提なのとは違うと思いますよ・・・って、1本ずつしか買っていない師範が言っても説得力無いですけど、自戒の意味も込めて。
飲もうよ日本ワイン
「日本ワインは高い」・・・確かにその通りだと思います。まずスタートラインが高い。日本ワインらしい良さが感じ取れるのは2,000円前後からですね。
他国のワインだとそれが1,000円前後な印象があるから、スタートラインは概ね倍です。現状では本質的にどうしようもない部分な気がします。
でも、造り手が良心的なのか、プレミアムなレンジになるとそんなに高くない。
例えば5,000円くらいの日本ワインとブルゴーニュを比べた場合、傾向は全然違うにしてもそんなに「日本ワインは高ぇ~」って感じはしないと思います。
普段飲みには難しいかもですが、日本らしいイベントや行事の際には考えて欲しいな、と。
師範も以前は「こんな雨が多くて地価も高い日本で、ワインなんて造んなくて良いじゃん。国際分業よ」と考えていたのね。
でもある時、「その酒を造る文化が無ければ、その酒を楽しむ文化も成熟しない」と思うに至ったのね。
みんなで飲んで、美味しい日本ワインが手軽に買える未来が来ないかなぁ。
今のところは、コスト・パフォーマンスは一旦度外視して「日本ワイン推し」する安ワイン道場です。