門下生報告(2019年)

 最近、ツイッター経由で新たなワイン好きの方々とお知り合いになることが多いので、 ここで改めて『「門下生」とはなんぞや?』をご説明しておきます。

 「門下生」とは、道場宛に安くて(税込み3,000円以下)美味しいワインのご報告を電子メールにて頂き、 本人の承諾を得てこのページに掲載させて頂いた方、ということになります(html化は師範の方で手動で行います)。 また、「道場」「門下生」などと申しましても、なんら活動めいたことを行っているわけでは無く、 ただ単に安ワイン情報を掲載させて頂いているだけ、という超ぬる~い昭和な感じです。

 ・・・というわけで我こそはと思われる方は積極的にカモ~ン!です。


門下生第百十一号顧問殿より (報告日:2019年12月6日)


深川ワイナリー コンコード&マスカットベリーA スパークリング 無濾過 2017
名称長野県塩尻産 コンコード&マスカットベリーA スパークリング 無濾過 2017
生産者深川ワイナリー東京
購入店ダイエー・イオンフードスタイル新松戸店
価格2,272円 (10%税込)
種類赤スパークリング
産地長野県塩尻コンコード87% マスカットベリーA13%
アルコール11%

こういう未知の惑星に探索に行く無謀者は庶民のワイン研究所所長​でもなく柳沢殿でもなくワタクシだと思うんですね。

炭鉱のカナリアです。よろしく〜う。

何が潜んでいるか分からないこんな現場に踏み込んで行く勇者はワ​タクシ以外にあろうか、いやありはしない。 なんて昔の中学の英語​の授業のようなこなれない翻訳日本語を使ってしまう位、強調した​い。

ワタクシの勇気を!
脱線ばっかりのなんちゃってワインブロガー、顧問の蛮勇を!

と言うわけで最近世間で話題の深川ワイナリーのワインを試してみ​ました。 もっともワインで話題というより、もっぱらベンチャーとか経営と​かの文脈で語られているという印象ですが。

買ったのはダイエーのイオンフードスタイル新松戸店という、思わ​ずここ2〜30年の流通業界の栄枯盛衰に思いを馳せてしまうややこしい店名のお​店。

東京都江東区にあるネゴシアン!
赤の辛口スパークリング瓶内二次発酵!
アッサンブラージュはコンコード87%、マスカットベリーA13% !
コルクじゃなく王冠!
もうセオリー外れのキワモノ感プンプン。気合ですでに圧倒されそ​うですが、精神を一点に集中して勝負に挑みました。

泡は細かいが泡立ちは短く、泡立ちが次々途切れないスパークリン​グの例のビューチホーな姿が見れない。 赤のスパークリングであり​がちなやつですね。色合いはルビーでもガーネットでもない小豆色​。生食用ブドウの香りが強く、薔薇辺りのえぐみの強い花の香りが​弱く香る。 ワインて葡萄から出来てるのに葡萄の香りが滅多にしな​いと言うひねくれた酒ですが、このワインは【ザ葡萄】という印象​です。 味わいも【ザ葡萄】。商品POPに【辛口】と書いてあったので信用して買ったのですが、まあ確か​に甘くはない。 だが酸味も弱い。でもってフルーティ。無糖の葡萄​ジュースとでも言いますか(葡萄果汁そのものに果糖があるでしょ​うからそんなものは存在しないでしょうが) それが酒になったとで​も言いましょうか。
すれたワイン愛好家は「うーん」と言っちゃいそうですが。先入観​なしで飲めば果実酒として美味しい酒です。 このワイン、ワインの酸味や渋味が苦手な人とかワインを初めて飲​む人とかにはバッチリかもしれない。 ワイン嫌い(食わず嫌い含む)の人をこっち側に引き込むにはいい​罠に使えそう。

といいますのも先日、会社のさるお祝い会でワインてこれほど人気​ないんだと、再認識しましてね。こんなワインの情報を引き出しに​持っておくのも一興かと。 会社のさるお祝い会とはなんのことか?拙ブログで近日堂々種明か​しする予定ですのでそちらもよろしく。

師範より

 お久しぶりのご報告、ありがとうございます。

 深川ワイナリー、確かに気になっていたんですよ。仰るように「ベンチャーとか経営と​か」で語られるだけの試みなのか、 本気で美味しいワインを造ろうとされているのか。 そしてご報告を読む限り、いわゆる普通の文脈での「美味しいワイン」ではなく、産地直送的なメリットを押し出した「ご当地ならでは」なワインという感じですね。 であれば、横浜在住の師範が飲んでもあまり意味が無いですねぇ。深川近辺の下町っ子が江戸切子でグイと飲む、そういうワインという印象を受けました。

 とはいえこういうご報告を頂けると、知識に厚みが増して大変助かります。今後とも「炭鉱のカナリア」として、よろしくお願いします。


門下生第四十八号柳沢殿より (報告日:2019年7月6日)


Pezole Vino Rosso N.V. [Roberto Sarotto]
名称Pezole Vino Rosso N.V.
生産者Roberto Sarotto
稽古した日2019年7月6日
稽古した場所自宅(千葉県某市)
購入店 Tuscany
価格2,289円(税込)

 ご無沙汰しております。

 今どき安ブルだと千円台のもので満足できる品質のものに出会う確率は限りなく小さく、悲しい思いをしている昨今です。 新世界のピノはコノ・スルをはじめとして美味しいものがありますが、やはり位置づけとしては別物。 そんなところでこのワインに出会いました。 ピノではなくネッビオーロだし、デイリーワインとしては高めの価格帯になりますが、 ちょっといい何かがあった時に開けるワインとして、ボルドーで言えば良く出来たクリュ・ブルジョワ的な位置づけとしてオススメのワインです。

 造り手のRobert Sarottoは、少し前にオールドヴィンテージのバルバレスコを(もちろん破戒価格ですが)いただいたことがあり、 素直に美味しかった記憶があります。 本日報告するワインは、畑はバローロのエリア内ながら、熟成期間を短くすることで敢えてDOCGを名乗っていないという触れ込み。 NVですがブドウが収穫されたのは2013年とのこと。
 熟成期間が短いと言う割には熟成感はけっこう感じます。ピエモンテの昔ながらの大樽で熟成させたのかな。 凝縮感もしっかりとあり、時々見かける名前倒しの安バローロとは比較にならぬ美味しさ。 ネッビオーロのあるべき姿を過不足なく表現している感があり、それでこの価格はお値打ち感たっぷりと断言します。

師範より

 ご報告ありがとうございます。

 イタリアって、そもそも品種も多くてDOCもいろいろある上に、こういう「敢えてDOCを名乗らず」「ヴィンテージも書かず」なワインがあるから、 余計に複雑でわけわからんことになっちゃってますよね。 そんな中、こういう風にピンポイントで「これがイケてます」とご報告頂けるのは助かります。 まずボトルの外観からして「そんじょそこらのイタリア赤とは違うぜよ」感が醸し出されていますね。 未稽古な造り手ということもあり、前回ご報告頂いたSanta Ducと合わせてゲットしたいと思います ・・・って買う買う詐欺みたいでスミマセンが、近いうちにきっと買います。

 それでは、またナイスなワインがありましたらよろしくお願いします。


門下生第百十二号 庶民のワイン研究所殿より (報告日:2019年5月17日)


Petit Enira 2015 [Dom. Bessa Valley]
名称Petit Enira 2015
プティ・エニーラ 2015
生産者Domaine Bessa Valley
ドメーヌ・ベッサ・ヴァレー
稽古した日2019年4月25日
稽古した場所庶民のワイン研究所
購入店アマゾン(ワイン販売専門winecellar73)
インポーター株式会社ヴァントナーズ
参考価格1,300円(送料別)

今年からワインブログを始めたのですが、諸先輩の「安ワイン道場」様のユーモアと誠実なサイト作りに感銘を受けて門下生に立候補させてもらいました。

マニアックな読者様にはもうすでにご存知かもしれませんが、今回紹介させていただきたいのは「ブルガリアワイン」です。

廉価価格の若いワインと思えない深いガーネット色。 土、なめし皮、桜チップ、ロースト、樽、ピーマン、カシス、ブラックチェリー、ヴァニラ、焦がしたトースト、、、、 まさに複雑性とまろやかさを兼ね備えているドルドーニュ川 右岸タイプ。 アロマと粘性の弱さに、多少のデイリーワインニュアンスを感じさせますが、同ヴィンテージなら、村名ボルドーと対等に戦えるだけの戦闘力をもっています(ただし熟成後の将来性は考慮しない)。 抜栓直後は硬いので、エアレーションして楽しんでもらいたい一本です。

師範より

 庶民のワイン研究所の所長直々のご入門&ご報告ありがとうございます。 今後ともご精進のほど、よろしくお願いします。

 ブルガリアのワイン、最近稽古したコレなんかもそうですが、 ボルドーっぽいしっかりしたワインが造られている印象がありますね。 ご報告頂いたこのワインの造り手は、ボルドーの名門「ナイペルグ」さんらしいので、なるほど納得であります。 そしてブルガリアの北隣のルーマニアになると、これまた最近稽古したコレみたいに、 どちらかというとブルゴーニュ的なワインが多い印象があります。 黒海沿岸のルーマニア、ブルガリア、モルドバ、ジョージア、 このあたりのワインはまだまだ開拓の余地があるっぽいですね。

 ではでは、ご報告頂いたワイン、そこそこ流通量もあるようなので、機会があればゲットして稽古したいと思います。


門下生第四十八号柳沢殿より (報告日:2019年3月30日)


Santa Duc les Plans 2014
名称Santa Duc les Plans 2014
等級VdP de Vaucluse
品種グルナッシュ、シラー、メルロ、カベルネ、ムールヴェードル
稽古した日2019年3月30日
稽古した場所自宅(千葉県某市)
購入店Tuscany
価格1,120円(税別)

 最近は果実味が前面に出た安ワインに舌がすっかり慣れてしまい、安ブルをあまり買わなくなってしまった門下生でございます。 そんなわけで最近は前回ご紹介したような新大陸のピノとか、今回のようなローヌ南部のグルナッシュ主体のワインを中心に飲んでおります。

 Santa Ducは一昔前に当時の門下生の間でバズったHeritage(エリタージュ)も造っているところですね。 あちらはVin de FranceですがこちらはVdP。価格的には似たようなものです。 口に含むと最初にグルナッシュ特有の果実味を感じますが、その後でシラーっぽいスパイシーさも感じます。 実際にシラーも25%ブレンドされているようです(通販店情報)。アフターもしっかり残ります。 南部ローヌの安ワインと言えば、ベンチマークになりそうなのはギガルのコート・デュ・ローヌだと思いますが、飲み比べたらこちらの勝ちになるでしょう。

 この造り手は破戒価格にはなりますがジゴンダスやヴァケラスのワインも造っているようで、機会があればそちらも試してみたいと思います。

師範より

 ご報告ありがとうございます。

 サンタ・デュックのこのワイン、リアルワインガイドの「旨安大賞」に選ばれたみたいですね。 門下生の間でバズたHeritage(エリタージュ)、調べたら2003年の出来事で、もう15年以上前のことになりますな (ご報告がコレで師範の稽古がココ)。 そんな風に昔から一貫して上質な安ワインを提供し続けてくれている造り手、 他には同じく南仏のポール・マスなんかもありますが、「安ワイン道場」としは一目置かねばなりませんな。

 さてこのワイン、そこそこ数もありそうですから、機会を見つけて稽古してみます。 今後ともよろしくお願いします。


門下生第百十一号顧問殿より (報告日:2019年3月5日)


シャトー・メルシャン 藍茜 2016
名称シャトー・メルシャン 藍茜 2016
生産者メルシャン株式会社
購入店フーズマーケットセレクション青葉台店
価格1,500円(税込)
産地長野県のメルロー60% 山梨県のマスカットベーリーA40%
種類
アルコール11.5%

 ご無沙汰しておりました、最近まで高級ワインのジャングルで徘徊してました顧問です。 やっと帰国できました。あんな所二度と行きません。だって飲めないんですもの! さて、今回はフェイク・ピノ・ノワールとでも呼びたくなる変わったワインとの稽古を報告します。 報告するのはシャトーメルシャン藍茜2016。珍しくもないワインですが、んんん?エチケットが変わってる。 と気が付き購入してみることにしました。よくよく見ると2016から名称も変わってたんですな。アンサンブル藍茜→藍茜

 先ずは外観から。透明なディスク。コアからリムまで均一なルビー色(ラズベリーレッド)粘性は中程度。 香りは先ずスミレ次にイチゴ、スワリングするとプラムの香り。 味わいはかっちりきっかり酸味。 イチゴの香りと酸味からマスカットベリーAの特徴を感じますがマスカットベリーAはどうしても香りが単調だったりする所をメルローが複雑さを演出してるって感じです。 タンニンなし(笑)ないと言った方が正しく伝わるような。一瞬ピノ・ノワール?と呼びたくなるようなエレガントな作りです。 メルロー60% マスカットベリーA40%でピノ・ノワール激似のワインを作っちゃうなんてやるもんだねえメルシャンさん。藍茜ってこんなワインだったかなあ? 化けましたな。

 価格についてですが、今回購入したのはフーズマーケットセレクション青葉台店というCGCグループの1店舗。 値付け間違ってない?税込1500てかなり頑張ってるじゃない?セールでもないのにがんばってるう!

 本当は今回のチョイスの大きなファクターだった日本のワイン720ml問題(大問題)のことにも触れたかったのですが、 とんでもなく長くなりそうなので、この件は顧問のブログで展開することにします。 勝手に宣伝すみません。まことにこの顧問てえ奴は勝手でどうにもしょうがない。(6代目三遊亭圓生の真似のつもり)

師範より

 ご報告ありがとうございます。

 メルシャンのこのシリーズ、3年前に白(アンサンブル 萌黄)と稽古しておりますが、赤は未稽古です。 ピノ・ノワールのようなメルロー&マスカットベーリーA、面白そうですね。 確かに、日本ワインはいたずらに濃さを追わない方が良いような気がするんですよね。 ただ、そうすると樽に負けたりして、いわゆる「高級感」を醸し出すのが難しかったりするんでしょうけど。

 いずれにせよ、税込1,500円で楽しめる日本ワイン、優秀だと思います。 そして大手メルシャン、流通量も十分であるところを「安ワイン道場」としては賞賛したいです。


門下生第四十八号柳沢殿より (報告日:2019年3月4日)


Catena Alamos Seleccion Pinot Noir 2016
名称Catena Alamos Seleccion Pinot Noir 2016
稽古した日2019年3月4日
稽古した場所自宅(千葉県某市)
購入店マリアージュ・ド・ケイ
価格1,512円(税込)

 アルゼンチンのピノを稽古するのは久しぶりです。ALAMOSはそこそこ見かける銘柄で、師範もカベルネやシャルドネはかなり前に稽古されているようですね。

 色は新大陸のピノとしてはやや明るめかも。香りはそれほど華やかではありませんが、味わいはこちらもあまり化粧をしていない系で、 酸味をまず感じる一方でアフターも長くて、上品な印象。グラスにしばらく置いておくと、ケモノ臭とまでは言いませんがいろんな要素の香りが立ち昇ってきます。

 一口で表現すると、少し前に安ワイン界(?)を席巻したNZの安ピノを価格も品質もアップグレードしたという感じでしょうか。 アルコール度数が12%と抑えめなのも嬉しいです。ラベルにHigh Altitude Vinesとあるので、 標高が高くて気温が(アルゼンチンにしては)低い畑で栽培されたのでしょうね。

師範より

 本年最初のご報告、ありがとうございます。

 ニュージーのピノに続いてはアルゼンチンのピノですか。 南米のピノ・ノワールって、以前は「これがピノ?」という野暮ったいワインが多かったイメージがありますが、 最近は確かに洗練されたものも増えて来た感はありますね。 こちらも機会があれば稽古してみたいと思います。