稽古日誌:1998年3月

ぼちぼち花見の季節、やっぱり花見にはBourgogneの白か?なんて考えております。


29日

Chianti '96Red
ChiantiToscana (Italia)Poliziano
\1,28098/03/22苦楽園松屋
讃岐饂飩行脚へ行く途上、 ネット上でお世話になっている波多野氏のお店に立ち寄り、購入したワイン。 ここんとこ自宅では"ハズレ"が多いので、運気回復のきっかけになってくれると期待して。
色は濃い。香りは、キャンティってこれだなぁって思える、汗臭いような香り。 味は、タンニンもまずまず、酸味と甘味がしっかりあっておいしい。 ちっとも薄くはないけど、非常に軽快。若干ある炭酸が軽快さを増しているのかな。
なんか、いろいろ考えずにガブガブのめるワイン。好きです、こういうの。
73点自宅にて

28日

Ch. Lucas '93Red
Lussac Saint-EmilionBordeauxCh. Lucas
\1,58098/03/13河内屋 Wine Village
白地に青と赤の2色印刷ラベル、トリコロールを意識したものかも知れないけど、 あんまり美味しそうには見えないなぁ。
注いだ瞬間、「えっ、これ本当にボルドー?」と思う薄ーい色。ほぼ朱色に近い。 香りも果実香なし。なんとなくボルドーの片鱗を思わせる埃っぽさのみ。 味も悲惨で、「まっずー」が第一声。なんかワインの抜け殻のような味。 それでも、時間が経つとそこそこ飲めるようになってくるのが不思議。
はっきり言って悲しいワイン。もちろん"劣化"も考えられるけど。
40点自宅にて

25日

Bourgogne Hautes Cotes de Beaune "Tastevinage" '93Red
Bourgogne Hautes Cotes de BeauneBourgogneLes Caves des Hautes Cotes
(\3,200)98/03/25大阪"わいん家"
讃岐饂飩行脚の帰り道、 大阪で一泊した際に、フグのコース料理でかなり腹も膨れて酒も入っているにも関わらず どうしてもワインが飲みたくなり、本屋で近くのワインバーを探したのがこの"わいん家"。 注文した5,000円くらいのブルゴーニュがことごとく品切れだったので、 ソムリエ氏推薦で頂いたのがこの一本。
色はブルゴーニュにしてはちょっと濃い目の赤紫で、 香りはあまり華やかではなく、ゴムみたいな感じのある香り。 味は酸が強くてギリッとしている。グラスに注いで置いておくとますます酸は強くなる。
"そこそこ"って感じで、そんなに美味しいわけじゃないけどなんとなくぐいぐい飲めてしまう一本。 店でこの値段なら安いと思う。ただ、横の常連風オッサンは"Riedel Sommeliers Bourgogne"、 師範達にはテイスティンググラスってのはちょっと差別しすぎなんじゃないかい? 頼んだワインも違うんだろうけど。
70点大阪"わいん家"にて

22日

讃岐饂飩行脚に行く途上、 食べ歩きの権化さとなお氏のお招きに与かり、 氏宅にてワイン会。 またこの会にはネットワイン屋の大家波多野氏 一家も参加。三夫婦と二人のお子様、大変楽しき会でありました。

Valentino Brut Zero Reserva '93Sparkling
Spumante (Italia)Rocche dei Manzoni
波多野氏より
最初は波多野氏に持参頂いたヴィンテージ入りスプマンテ。 ちょっと変わった形のボトルに入っており、 「そんじょそこらのとは違うのよん」とその姿で主張。
香り、味とも師範にはいわゆる「イタリアっぽさ」を感じられず、 まったくシャンパーニュと違わない感じ。 泡立ちも多く細かいし、香りも十分。シャンパーニュにありがちなモロミくささや、 必要以上の苦みも無くて、後味のキリッとした酸含め非常にすっきりしている。
強烈な個性は感じないけど、非常にレベルの高いスプマンテだと感じた。
(80点)さとなお氏宅にて

Savigny-les-Beaune "Les Planchots" '93Red
Savigny-les-BeauneBourgogneJ.Crotet
\5,00098/02/28ゴトー酒店
お土産として持ち込むということで、あんまり手に入らないワインを、と思い購入。
このワイン、畑の持ち主は「ジェ・クロテ」という人なんだけど、 醸造責任者が、かのアンリ・ジャイエの後継「エマニュエル・ルージュ」。 当然期待します。
で、最初の一口目「なんじゃこりゃ!」の薄さ。もうぺらっぺら。 こういう時とってもつらい。ワイン好きの集まりに持ち込んだワインがこれだとねぇ。 「E.R.の銘打っとんならもっと男気出さんかい!」って感じ。
まぁ、後程"硫黄の匂い(byさとなお氏)"とかも出てきて、 そこそこ複雑な香りでブルゴーニュらしくなりなかなか印象に残るワインになってはきたけど、 やっぱり少し期待外れ。
(それにしても、これに使わせて頂いたグラス、 Riedelの"Sommeliers Bourgogne"は大迫力)
(72点)さとなお氏宅にて

Don Merchor "Cabernet Sauvignon" '94Red
Maipo Valley (Chile)Concha y Toro
さとなお氏より
安ワインマニアなら一度は耳にしたことのある垂涎の一本"ドンメルチョール"。 なにしろ3,000円以下なのに、その数の少なさからなかなかお目にかかれないもの。 さとなお氏秘蔵の一本を提供していただくことに。
とっても濃い紫色。香りは、若くて良いカベルネにあるインクっぽい香りと青臭い香り、 判りやすいカシスの香り、適度な樽香。 それぞれ十分な迫力があるけど、いかんせんバラバラな印象。 味も同じ。タンニン/糖/酸の全てがパワフルだけどまとまってない感じ。
大迫力で素質十分だけど、いかんせん若い。 ただ若くても「ギシギシで飲めない」って感じじゃないところがチリの良さかな。
(76点)さとなお氏宅にて

Lagunilla Gran Reserva '87Red
Rioja (Spain)Bodegas Lagunilla
さとなお氏より
このワイン、某掲示板で話題の"ラグニーヤ"の高級品。 本道場でも以前稽古した これより一つランクが下の"Reserva '90"が、皆さん大絶賛なのに師範のみそこそこの評価。 その泥試合?に参加出来なかったさとなお氏へ、さる御方が進呈なさったというイワク付きの一本。
全体的な印象として、"Reserva '90"よりも年期が入って入る割には若く感じる。 酸味の感じとか香りの饐え具合とかがこっちの方が若い印象。果実味/香も十分にあるし。 その上非常にまぁるくまとまっており、上手に歳をとったワインだなぁと感じる。
この味/香り、この雰囲気にして1,500円以下。コストパフォーマンスはバカ高。 ただしちょいとおとなしい感じがしたけど、それは前に飲んだ"Don Merchor"のせいかも。
(80点)さとなお氏宅にて

Domaine de Chevalier '82Red
Pessac-Leognan (Grand Cru Classe de Graves)BordeauxDom. de Chevalier
波多野氏より
今回、さとなお氏宅へは波多野氏のお店"苦楽園松屋"さん経由で伺ったんだけど、 「ほんじゃこれ行っときましょか」と波多野氏が手にされたのが、 15,200円の値札が付いたグラーブの特級畑、"Domaine de Chevalier"。 いやー、ご相伴に与かることが出来て大ラッキー。
とにかく、本日これまで飲んできたのは葡萄の絞り汁を発酵させて作ったものだったんだな、 と逆に思い知らされるような、凡そ葡萄のみから作られたとは思えない非常に複雑極まる味/香り。 朽ち果てた木の香りとか、昆虫の香りとか、 とにかく複雑なものが一体化していながら非常にスムーズな感じがある。 過去、超下戸ゆえ良いブルゴーニュ以外口にすることが出来なかった師範代も「これは美味しい」 といって飲んでいたんで、多分相当なものだったんだと思う。 ("思う"ってのは、ぼちぼち味覚神経がエエ加減になってきてたため。情けない)
ともかく美味かった。幸せになれた(なってしまった)一本。
(88点)さとなお氏宅にて

San Leonardo '??Red
VdT??? (Italia)Vallagarinia?
波多野氏より
ここまでの楽しきワインの数々で幸せになってしまったため、ほとんど記憶に御座いません。 (ヴィンテージ等の主要なデータすらメモり忘れております)
きっとこれも美味しいワインだったでしょうに。面目ない。
(??点)さとなお氏宅にて

という訳で、非常に楽しい会でありました。
場所とおいしい料理/ワインを提供して下さったさとなおさん・優子さん・響子ちゃん御一家、
素晴らしいワインを差し入れて下さった"じりあん"波多野さん・栄子さん・彩子ちゃん御一家、
たいへんありがとうございました。


20日

BIN555 Shiraz '96Red
Hunter Valley (Australia)Windham Estate
\1,48098/03/13河内屋 Wine Village
本日はオーストラリアのシラーズ。当地のシラーズとフランスのシラーは同じ品種らしい。 それにしても"BIN555"っていったいどういう意味なんだろう?
色は濃いし、トロトロって感じで粘性も高い。 香りは、ベリー系のジャムみたいなネチネチっと甘酸っぱい香りとぶっきらぼうな樽香。 ここまでで、もぅいかにも新大陸、いかにもシラーズ。 味も濃い。濃いだけなら良いが甘さが強い。一杯だけ飲むんだったらこの甘さも「面白い」 と思えるんだろうけど、1本となるとちょっとつらい。
辛うじて合格点だけど…ってワイン。私の思うAustralian Shirazの良くも悪くも典型。 そんなに飲んだわけじゃないんで、イメージを固定化するには早すぎるとは思うけど。
65点自宅にて

18日

Trakia Cabernet Sauvignon '94Red
Suhindol (Bulgaria)Lovico Suhindol
\85098/03/13河内屋 Wine Village
本道場初登場のブルガリアワイン。値段的は十分お手頃。 "お初"ってのは興味津々で楽しいもんです。
かなり濃く青めの紫色はチリとかのみたい。 香りは「これぞカベルネ」と思う青臭い果実香。アクリル毛布の匂いもあり。 加えていっちょ前に樽香なんかあって、香りは結構期待できる。
で、味。口に含んだ瞬間は「うーん若いカベルネ特有の雰囲気はあるけど新大陸とは違って…」 とか味わってたけど、約5秒後、「ドゥオーッ」叫びたくなるような酸味が襲う。 バルサミコの約2倍の酸味(当社比)とお茶っ葉を直接頬ばった渋味。 時間が経つとそれほど恐ろしいものには感じなくなったけど、 それでも決して許されるレベルではない。
香りはまあまあだけど味は壊滅的。 「劣化」ってことも考えられるけど、色や香りにはなんの問題も無いし、 ディスカウントとはいえ専門店風の店だし(安くないけど)
最近こんなのばっか。まぁ人生塞翁が馬、週末あたりには目から鱗のワインに出会えるでしょう。
39点自宅にて

15日

Alsace Gewurztraminer "Harth" '95White
Alsace GewurztraminerAlsaceDom. Shoffit
\1,68098/01/10ナショナル麻布
ずいぶん前に買ってたんだけど、なんとなく飲みそびれていたアルザスのゲヴュルツ。 本日は"鯖寿司"とか"なまこ"とかなんで「これしかない!」と思い登用。
濃い黄金色、レモンっぽい青さを感じなくて凄く濃い感じがある。 香りも凄い。爆発的なライチの香り。量的にも凄くて、こんだけ香り高い白って珍しいと思う。 味……ともかくベタっと甘いのとモゾっと苦いの。結構最悪。 これだからゲヴュルツは難しい。これだけの香りがあってすっきりしてたら大満足なんだけど…。
香りは80点以上。でも味はとてもじゃないけど好きになれない感じ。 半分以上も残っちゃってどうやって消費しようかって悩むワイン。
45点自宅にて

12日

Santa Alicia Merlot Reserve '95Red
Maipo Valley (Chile)Vina Santa Alicia
\98098/02/22酒奉行
個人的に「なんだかんだ言ってもチリは安くて美味い」って感じがしてて、 本日も安ワインながら期待をしての稽古。
とっても濃くて暗い青紫色で、香りもメルローらしいホコリっぽさとReserveらしい樽香。 あと特徴的なのはリンゴジャムみたいな甘~い香り。さぞかし甘かろうやって感じ。 で味に関しては、濃いのは濃い。 でも、若いタンニンと酸味や香りを裏切らない甘さはそれぞれバラバラ。 そこまでは「若気の至り」って感じで許せるんだけど、後味に残るイガイガした感じ、 こればっかりは頂けない。
悪くはないんだろうけど好きじゃない、そんな感じ。 飲み残したんで、若干コナレるであろう明日に期待。 (って、大化けしない限り再更新はしないけど)
57点自宅にて

11日

Bourgogne "Les Bons Batons" '95Red
BourgogneBourgognePhilippe Leclerc
\1,98098/02/18やまや新宿店
このワイン、実は以前にVintage違いを飲んでるんだけど、 大酔っ払い状態で記憶に無いため本日まじめに再稽古。 モノはBourgogneの名門造り手、"Philippe Leclerc(フィリップ・ルクレール)"によるもの。
色はかなり濃い感じの赤紫。細かな澱あるが、粘性も高くて美味そうに見える。 香りはそれほど強くはないけど、美味そうだと想わせる樽香、ゴム香と酢酸香。 ちょっと腋臭っぽい香りも。(ちっとも美味そうに思えないだろうけど、良い香りなんです。) 味も濃くて良い。タンニン/酸ともに濃い。その上甘味もちゃんとある。 ただ、それぞれがバラバラな感じがあっていかんせんジャジャ馬っぽくはあるけれども。
ガサツだけれど、パワフルで骨のあるワイン。流石は名門造り手。 師範は、こぢんまりまとまった優等生ワインよりこういうのが好き。
78点自宅にて

8日

Les Grands Clochers "Merlot" '96Red
Oc(VdP)Languedoc & Roussillon(Les Producteurs Reunis)
\1,60098/02/28ゴトー酒店
Vin de Paysで\1,600もすると結構高級な気がする。"樫の樽で熟成"と書かれており、 購入店主人の話でも結構樽が効いているらしい。 (生産者名に関しては、"瓶詰めは生産者組合による"としか書いてない。謎。)
やや濃い目くらいの青紫。若そう。 香りは結構素晴らしくて、十分な果実香とイヤミにならない程度に強い樽香。 (鼻ではそれほど樽を感じないけど、口に含むと樽々って感じ。) ただ、味わいが軽い。"薄い"って程じゃないけど、香りの印象を裏切る軽さ。 時間が経つとその軽さも徐々に太く重くはなってくるけど。
上品な良さを前面に押し出した感じのするワイン。 香りは凄く良い。味はちょっと名残り惜しい。ちょっと若すぎるのかな。 まぁ、普段飲みとしては十分すぎるくらいのQualityを持っていることは確か。
73点自宅にて

5日

Ch. Tour d'Auron '93Red
Bordeaux SuperieurBordeauxCh. Tour d'Auron
同僚氏からの頂き物
徹底的安ワイン者の同僚氏("鈴木亜久里"的風貌)が大絶賛、 わざわざ師範に薦めるために贈答して頂いたワイン。(買い値は\1,000以下らしい)
でもこのワイン、本道場にて既に稽古済。辛口評価の稽古結果。 氏は「アノ評価、絶対納得いかん!」と言うし、門下生からは 「このワイン、ボトルによって品質差あり。良いのは美味い」 との報告を受けているので、あらためて再稽古。
一口目、オォッと思う。結構香りもあるし味も果実味が活きている。甘味もあったりして。 でも、その後飲み続けていると、やっぱりなぁんか元気なくてつまんないのは前回同様。 ある程度"間"を開けると、一口目の良さが蘇るっていうのが何とも不思議。 ここらあたりが評価の分かれる所以か?
まぁ、一瞬の良さとか面白さがあって前回よりは好印象。 でも積極的に良いとは思わんですね、やっぱり。
(頂き物に対してこの態度。天晴れ安師範!ってまたよろしく>同僚氏)
62点自宅にて

2日

Lagunilla Reserva '90Red
RiojaRioja (Spain)Bodegas Lagunilla
\98098/02/18やまや新宿店
このワインやえ氏大絶賛、 かつトビウオ氏も好印象らしく、 安ワインながら大期待で臨む一本。
色はやや暗めの赤紫。エッジに気持ちオレンジっぽさを感じる。 香りは果実香弱目で酸っぱい感じが強い。 でも、そのまま嗅いで針葉樹風、スワリングしてバニラ風な樽香があるあたりさすがReserva。 味は、酸味がちで果実味弱め。全体的に弱げであることは否めない。 時間が経つと香りも強くなってくるし、味わいも甘味が出てきて複雑さを増すけど…
価格を考えると結構コストパフォーマンス高い一本。でも師範的には手放しでは喜べない。 思うに、師範は「熟成しきったおとなしワイン」より「熟成途中のやんちゃワイン」の方が 好きなのかも。師範代は4歳年下だし(関係ないか)
72点自宅にて

by 師範