| 桜の樹の下で(上・下) | 2012/05/30 | |
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久しぶりにちょっとドロドロした恋愛小説が読みたくなったんで、
こういう時にうってつけの作家さんである渡辺淳一氏の作品をチョイスしてみました。
上巻・下巻とも300ページ弱なんで、二週間で読むのに師範にとっては丁度いい分量だしね。 そして内容はというと、 いわゆる不倫、そして二股、それが親子ドンブリという、 恋愛におけるタブーを全部集約しました、と言う感じ。 そして主人公のモラルの無さと言うか身勝手さもバッチリで、 読みながら『あぁコイツは外道だ』というのを思いっきり感じられる内容。 まぁ創作なんで、それはそれでアリだとは思うんだけど、 ちょっと心理描写がクドいんだよね。 わざわざ説明しなくてもいいようなことがダラダラと書かれていて、 どうも読んでいてうっとうしくなります。 そういう部分は直接心理描写するんじゃなくて、情景描写から感じ取らせて欲しいなぁ。 というわけで、ドロドロした恋愛小説が読みたい、というニーズは満足しました。 が、あまり深みがないというか、「だらしない人たちのだらしない恋物語」 にしか感じ取れなかったのが残念。 | ||
| 69点 | ||
| 東京駅物語 | 北原亜以子 | 2012/05/17 |
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また初めて読む作家、北原亜以子さんの作品。
なぜこの本を選んだのか、たった2週間前のことなのにあまり覚えてなかったりしますが。 内容的には、明治から第二次大戦後までに掛けて、 東京駅にまつわる人間模様を集めた短編集、という感じ。 ただ、単なる短編集じゃ無くて、 それぞれの短編にちょっとずつ登場人物がかぶっているという仕掛けが施されてます。 コレ、記憶力が良い人とかジックリ読む人だったら良いんだろうけど、 すでに記憶能力が大きく衰えている師範にとっては、 「なんかこの人、前のストーリーでも出てきたけど、どんな人だっけ?」 の連発になっちゃいます。 ストーリー間の繋がりがちゃんとできていれば面白いんだろうけど、 覚えられない師範にとってはなんだか辛い感じです。 という、本全体の面白さを理解するという意味でもハズシちゃってますが、 ひとつひとつのストーリーもあまりグッと来ないのが多かったのも事実。 読み進めるのに労力がいる作品でした。 だもんで、1週間で読む予定が2週間掛っちゃって、 同時に借りたもう一冊は読まずに返すことになってしまいました。 | ||
| 63点 |
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東京駅物語
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| 天使の屍 | 貫井徳郎 | 2012/04/26 |
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このページを始めて4年弱。
ほとんど誰も見てないとは思うけど、自分用の備忘録としてはしっかり機能しております。
というわけ過去読んだ本をチェックすると、
今回選んだ貫井徳郎という作家さんの作品を読むのは初めてのようであります。 ストーリーは、とても真面目だった中学生が突然投身自殺して、 その理由をさぐるべく父親がいろいろと調べて行くうちに次なる事件が起こって真相は・・・ というような内容。 読み始めはなんとなくテンポが悪いような感じがしたけど、 読み進めるうちに吸い込まれていきます。 そして、動機なんかも唸らされる部分があって、なかなか深くて面白い小説でした。 こういう、子供と大人の心理を扱った作品って、 いまの自分の環境に置き換えて考えたりするんで、感情移入しやすいんですな。 子供の気持ちを慮ることを怠っちゃいけないな、と感じる部分もあり、 なかなかグッとくる作品でありました。 | ||
| 80点 |
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天使の屍
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| 欲望 | 小池真理子 | 2012/04/19 |
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以前妻の女友達という短編集を読んだことのある
小池真理子さんの作品。この小説は分厚いド長編。
裏表紙の紹介文には、かなりきわどい感じのことが書かれていたので、
深い精神世界があるのかと思って読み始めたわけですが・・・ ストーリーは、頭弱いけど美人な女性とその旦那、 性的に不能な男性、 そして主人公の女性の4人にまつわる恋愛ストーリー。 結果的に、深いっちゃ深いんですが、なんかあまり感情移入できないんだよなぁ。 あと、ちょっと長すぎかなぁ。 同じようなテーマでずーっと書かれているんで、だんだん飽きが来ます。 というわけで、最初は面白く感じたけど後半は若干消化試合的に読んじゃった感じでした。 解説によれば、三島由紀夫の作品へのオマージュ的な要素があるらしいんだけど、 その三島由紀夫自体をほとんど読んだこと無いから面白さ半減なのかも。 ただ、作品の終わり方はなかなか上手いな、と思いましたけどね。 | ||
| 70点 |
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欲望
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| うつしい子ども | 石田衣良 | 2012/04/06 |
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最近テレビのクイズ番組でも見かけたりする人気作家、石田衣良氏の初期の作品。
彼の著作はこれまで、娼年や
池袋ウェストゲートパーク、
エンジェル、
波の上の魔術師を読んでいて、
だんだん良さが判ってきました。
というか、最初に読んだ「娼年」がかなり異色の作品だったみたい。
あの作品のせいで「準エロ小説を書く作家さん」だと誤った思い込みをしておりました。 そしてこの作品は、酒鬼薔薇事件に触発されて書かれたという、 少年犯罪を扱った内容。 犯人の少年の兄と、新聞記者二人の視点が絡み合って進んでいく内容は、 なかなかスリリングで面白い。 欲を言えば結論が浅いというか安易というか、 難しい判断を避けたような格好になっているのが残念。 この作家特有の「結局だれも悪くない」的なところに落とし込んじゃってるのね。 とは言え面白いと言えば面白いです。 難しいテーマを軽く書きあげる、というのはこの人の才能かもです。 でも、例えば少年犯罪の被害者な方がこの作品を読んだら脱力するだろうな、とも思います。 | ||
| 80点 |
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うつくしい子ども
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| ぼっけえ、きょうてえ | 岩井志麻子 | 2012/03/30 |
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この作品、ずっと気になってたんですな。
なんたって「ぼっけえ、きょうてえ」という背表紙が目立ってね。
ただ、『きっとホッケーや競艇とかギャンブル関連のチャラケた話だろう』と思ってたわけですわ
(ホッケーとギャンブルは無関係ですが)。
で、たまたま解説文を見たら、全然違ってホラー小説とのこと。
こりゃ読んでみるべし、ということで借りたわけです。 内容は、明治中期の岡山県の農村や漁村を舞台にした、 残酷で業を感じさせる短編ストーリーが4つ。 ホラー小説としての残酷さもさることながら、 それ以上に当時の貧しい村の生活自体の残酷さに身につまされます。 なんか死んでも生きてても浮かばれないというか、 そういう時代だったんだなぁ、と。 もちろん実話じゃないんだからいろいろ脚色もあるんだろうけどね。 というわけで、単に怖いだけじゃなく悲哀もあって、 そして謎解き的な要素もあって、結構楽しめる作品でした。 惜しむらくは師範が行く地域センターの図書室にはこの方の作品はこれ一冊しかないんだよね。 でも覚えとこう。 女優の「岩下志麻」さんとイメージのかぶる作品だったんで覚えやすいかも。 | ||
| 80点 |
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ぼっけえ、きょうてえ
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| とかげ | 吉本ばなな | 2012/03/22 |
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師範が学生の頃、「キッチン」という作品でものすごく有名になった作家さん、吉本ばなな氏。
なんというか、ペンネームが凄いよね。バナナて。
そしてこの本はそのばなな氏の初期の短編集的なもののようです。 ほんでもって内容はというと、残念ながら全く面白さが伝わりませんでした。 なんか深い精神世界があるのかも知れないけど、師範にはまったく理解できません。 音楽で言うところの「フリージャズ」的というか、 なんか本人だけが納得していて聴いている(読んでいる)方は判ったふりをしてるんじゃないか、 という感じがしました。もちろん師範だけ理解できていない可能性もありますが。 ともあれきっともう手にすることは無いであろう作家さんでした。 | ||
| 30点 |
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とかげ
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| イノセント・ゲリラの祝祭(上・下) | 海堂尊 | 2012/03/16 |
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海堂尊氏は、昨年の同じ時期に「チーム・バチスタの栄光という作品を読んで、
なかなか良い印象のある作家さん。
そしてこの作品も、登場人物とかが一部同じ(続編的な作品)ということなので、
大変期待して読み始めたわけですが・・・ 結論から言うと、どうも今一つでした。 チーム・バチスタの方は、病院内で事件が起こって、 それにまつわるいろんな出来事を作者の本業である医師の目を通じて書かれていたんだけど、 こちらはその医療行政がテーマ。 だもんで、『ふーん』で終わっちゃうわけです。 もちろん、テーマとして採り上げられている医療と法医学の歪みなんかは大変興味深いんだけど、 どんな業界でもそれなりにそういう部分はあるわけでね。 難しい内容のテーマが、軽快なタッチで書かれていてスイスイ読める、という点では良かったんだけど、 いかんせんテーマがなぁ。なんとなく、お医者さんが「補助金よこせ」を主張するために書いたんじゃ・・・ なんて穿った見方をしてしまいます | ||
| 70点 |
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イノセント・ゲリラの祝祭(上・
下)
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| 孤独で優しい夜 | 唯川恵 | 2012/02/29 |
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そしてまた未読の作家さん開拓。
今回手にしたのは、唯川恵さんという方。
「ただかわ めぐみ」さんかと思ったけど、「ゆいかわ けい」さんだそうで。
いやー日本人の名前は難しい。 内容は、一言で言えば不倫を巡っての女同士の確執物語。 まぁなんというかとても判りやすい内容ではあるんだけど、 なんか読んでいてじれったい感じがするのは師範が男性だからですかね。 この作品で一番面白い部分は、女性の友人同士が直接対決するところだと思うんだけど、 そこの突っ込みが浅いというか、「えぇ?」って感じで中断しちゃうのがなんとも残念。 せっかくならもっとドロドロした部分を見せてくれなくちゃ、って気分です。 そして、最終的にはなんとなくハッピーエンドっぽいんもなんだかなぁ。 小説なんだから、死人の一人二人出るくらいじゃなきゃ・・・なんてね。 と、なんだか批判めいたことを書いてはおりますが、 スイスイと読めるし変にカッコ付けた文章でも無いんで、 電車の中で読むには丁度いい作品ではありました。 | ||
| 75点 |
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孤独で優しい夜
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| 絆 | 小杉健治 | 2012/02/22 |
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久しぶりに未開拓の作家さんの作品を読んでみることに。
なんとなく「社会派の作品で良いのが無いかなぁ」と思いつつ、
本のカバーに書かれた紹介分をあれこれ読んでいたら、この作品を発見。
厚さも適当なんでチョイスした次第。 内容は、ほぼ100%法廷を舞台にした裁判モノ。 でも、それが全然飽き無くて、どんどん吸い込まれるように読み進められます。 ストーリーも、なかなか先が読めなくてドキドキします。 ちょーっと設定に無理があるかなぁと感じるところが無いではないけど、 どんどん引き込まれていく感じはなかなか快感です。 あと、内容的に発達障害が取り上げられているけど、 いまじゃこういう書き方は無理だろうなぁ。 ということで、なんだかんだで結構面白いです、この作品。 この作家さんの法廷モノはいくつかあるようなので、 また別のを借りて読んでみましょう。 | ||
| 82点 |
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絆
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| 照柿(上・下) | 高村薫 | 2012/02/17 |
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どうも師範は、短編よりも長編、それも複数冊に分かれた大作を好んで選ぶようです。
というわけで今回は、高村薫さんの「照柿」上下巻。
この方の作品は、1年半前にも上下巻の長編を読んでいるようです。 そして読んだ感想は、とにかく重い、というより暗い、というよりしんどい小説でした。 まぁ全般に情景・心情描写が多くて、話の展開が遅く感じます。 工場の労働環境から賭博のやりかたまで、 とても詳しく調査して書かれているとは思うけどね。 そして、メインの登場人物の皆がどこか心を病んでいて、 感情移入が出来ないうえにドロドロしててグロテスク。 結末までも浮かばれなくて、「ようやく読み切った」というのが正直な読後感でありました。 読む人が読めば、感性の鋭さとかが感じられる作品なのかも知れないけど、 師範はその「読む人」には値しないから、こういう重くて暗い小説はちょっと勘弁です。 そういえば前に読んだ作品も主人公は精神障害だったな。 そういう設定は師範は好きになれません。 | ||
| 63点 | ||
| プリズンホテル(1夏・2秋・3冬・4春) | 浅田次郎 | 2012/02/03 |
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ここには何度も登場している浅田次郎の作品。
なんか判りやすくてスイスイと引き込まれるから好きなんですな。
今回は、全4巻の大長編を二週間×2の四週間にかけて読むことにしました。 内容は、ヤクザ屋さんが経営するリゾートホテルを舞台に、 いろんな人間模様が絡み合って云々、というもの。 ヤクザ屋さんが出てくるからといっても内容的には半ばコメディで、 細かい章だてになっていることもあってサクサク気軽に読めます。 基本的には面白可笑しさを纏いながら人と人のつながりについて書かれたものだけど、 主人公である小説家とまわりの女性との関わりはなんかやりすぎだなぁと。 そこに常軌を逸した人格設定が必要か?、と思っちゃいますな。 とはいえ、面白いには面白い。4冊合わせると1,000ページ以上になるんだけど、 ほぼ飽きずに読破できました。 この人の作品は、アイディアの妙というか「間違いなく面白くなる舞台設定」が上手ですなぁ。 | ||
| 83点 | ||
| 絶対安全エージェント | 大沢在昌 | 2011/12/22 |
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こちらも昨年末に読んだ本。 タイトルとか帯とかから判断すると、 なんとなくお笑いに徹したストーリーが読めるのかな、と想像するんだけど、 結果的にはかなり期待ハズレ。 もちろんハードボイルドなサスペンスじゃないんだけど、 かといってお笑いの要素があるわけでもなく、なんか設定が中途半端なんだよなぁ。 というわけで、これまた毒にも薬にもならん的な、 暇つぶしとしては優秀だけどそれ以上の感想を持てない作品でした。 | ||
| 73点 |
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絶対安全エージェント
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| さようなら、婚約者 | 藤堂志津子 | 2011/12/16 |
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昨年末に読んだ本。
もう読んでからずいぶん経つのであまり細かいことは覚えていないけど、
なんだか煮え切らない恋愛ストーリーだったような印象。
なんというか、結果的に主人公は良いようにあしらわれているというか、
読んでいて「あぁ~もう!」って気になります。 というわけで、正直言ってグッとは来ない代わりに特にイヤな気分になるわけでもなく、 あまり印象に残らない小説でした。 | ||
| 72点 |
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さようなら婚約者
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| 波のうえの魔術師 | 石田衣良 | 2011/12/09 |
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↓の東野圭吾氏同様、石田衣良氏の作品も面白いなぁ、と思っております。
「ミーハー」というより「難しい話が苦手」なんですかね。
重い内容の作品でも実際読むとグイグイ引き込まれたりするのもあるけど、
ハズすと通勤時間が苦痛なんで、
どうしても「軽めでハズさなそうな作品」をチョイスしてしまいます。
そのあたりはワインを選ぶ姿勢とはちょっと異なるかもです。 さてストーリーというと、 大学を出て就職もせずプラプラしていた青年が、 ある老人に見染められて投資の世界に入って、 大銀行相手に大勝負、というようなもの。 以前読んだ娼年みたいな半エロ本的なのとは全く方向性の異なる、 かなり硬派なストーリーです。 ただ、文体はあくまで軽いので、 あまりこういう投資の世界とかになじみの無い師範のような人間でも面白く読めます。 予想と違って軽い内容じゃなかったけど、 非常に興味深くてスイスイ読めました。 でも、やっぱり師範は投資なんてのは性に合わないな。 作品中に、「(投資も含めて商売で大切なことは)仕入れた値段より高く売ること」なんて文言が出てくるけど、 短期の投資って儲かった本人以外誰もハッピーにしないからね。 商売で大切なことは「付加価値を付けて買った人に喜んでもらうこと」だと思うのですよ。 | ||
| 78点 |
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波のうえの魔術師
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| 予知夢 | 東野圭吾 | 2011/11/30 |
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やっぱりね、なんだかんだ言ってハズさないわけですわ、東野圭吾氏の作品は。
というわけで、今回借りたのは前回読んだ探偵ガリレオの
続編にあたる作品。第一章から第五章に分かれていて、
それぞれが別の事件なんで推理短編集ですな。 そして、やっぱりこれがまた期待にたがわない内容なわけですわ。 ググッと面白いんじゃなくてサラリと面白い。 科学を利用したアリバイやトリックがあって、 ちょっと興ざめ(謎解きは皆が知っている方法が良いと思うわけです)な部分もあるけど、 全体的にはテンポが良くてスイスイ読めます。 人気作家の作品が面白い、というのは、 ヒネクレモノとしては(「トヨタ車に乗っている巨人ファン」みたいで) なんか居心地が悪い部分はあるけど、事実だからしょうがありません。 下記楽天ブックスのリンクをみたらレビュー数なんと300超! そういうのを見るとますます居心地が悪いわけですが。 | ||
| 78点 |
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予知夢
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| マドンナ | 奥田英朗 | 2011/11/25 |
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この作家さん、奥田英朗氏の作品も初めて読みます。
なぜこれ借りたんだっけ?
裏表紙に書かれている紹介文が、とてもリアリティがありそうだったんで借りたんだっけ?
結構いろんな賞を取っている作家さんのようですが。 内容は、中間管理職のサラリーマンを主人公にして、会社と家庭のあれこれが書かれた短編集です。 書かれている会社の様子がやや古いというか、 ステレオタイプな感じがしないでもないけど、 なんとなく実際にもありそうな設定と出来事が書かれているんで、 スムーズに感情移入できちゃいます。 スケールの大きさとかは全くないんだけど、 なんだかハラハラさせられたりで、面白く一冊読み終わりました。 たまにはこういう小説も良いな、と。 短編なんで物足りなさがあるのは仕方が無いところだけど、 通勤時間の暇つぶしにはもってこいの作品でありました。 この人の他の小説も(あれば)また借りることにしましょう。 | ||
| 80点 |
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マドンナ
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| 枯草の根 | 陳舜臣 | 2011/11/22 |
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結構長いことこのペースで文庫本を読んでますが、
未だに読んだことない作家さんは沢山いるわけで。
そのあたりは未だに飲んだことない造り手が沢山いるワインと同じですな。
というわけで今回の本も初めて読む作家さん、陳舜臣氏(なんと読むのかわかりません)の作品。 ストーリーは、神戸を舞台に繰り広げられる殺人事件の推理小説ですが、 登場人物がほとんど中国人なので、なんとなくテイストが中国風というか、 海外の翻訳小説を読んでいるような感じです。 推理小説ということで、犯人探しに一番の興味が行くわけですが、 この本に関しては犯人はほぼ察しがつきます。 ただ、動機とアリバイは種明かしを読むまでわかりません ・・・というか(少なくとも動機に関しては)そりゃ判らないよね、という内容です。 この作品、江戸川乱歩賞受賞作品ということですが、 感想としては「可も無く不可も無く」といったところでしょうか。 翻訳小説にありがちな(これは翻訳小説じゃないけど)まどろっこしさがあって、 ちょっと読み進めるのに時間がかかってしましました。 | ||
| 75点 |
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枯草の根
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| 愛才 | 大石静 | 2011/11/10 |
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この本の感想に関しては、巻末の解説で久世光彦氏が書かれている文章が一部そのまんまなんで、
引用させて頂きます。 何のことはない。≪愛才≫は、読んで人を不快にし、読み終わって気鬱になるだけの小説だと、 いってしまえばそれでいい<小説>なのだ。 師範も同感です。グダグダと節操の無い人たちがダラダラ書かれている、という、 先日読んだ村上春樹氏の「風の歌を聴け」にも似た読後感。 この人の「四つの嘘」も同じような感じだったけど、 もう少しマトモだったのになぁ。 同じく解説に久世氏曰く「<死臭>がする小説」とのこと。 上手いこと言うねぇ。そしてそれを解説に載せるのもあっ晴れ(作者も自覚があるのかな)。 ともあれ人生の時間は限られているわけで、 よほどのことが無い限りこの方の作品を手に取ることは無いと思います。 | ||
| 48点 |
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愛才
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| 奪取(上・下) | 真保裕一 | 2011/11/06 |
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真保裕一氏の作品は、過去に2冊ほど読んでいて(「連鎖」と「発火点」)、
結構好印象・・・だったような気がしてたけど、
改めて己の感想文を読み返すと「それなり」ですな。
そしてこの作品は上下巻合わせて900ページほどもある大作。
面白なくちゃ困ります。 ストーリーは、偽札作りを頑張る若者と、 それをサポートする人や利用しようとするヤクザ物がアレコレ云々、というもの。 偽札作りに精を出す若者が若干ヒーローっぽく書かれているのが 最初から最後までちょっと引っかかるのと(犯罪礼賛はどうも馴染めない性格です)、 あとやっぱりクドいです。 特に偽札作りに関する製紙方法や印刷方法に関してが。 そのあたりの知識をとても丁寧に取材して書かれているんだろうけど、 そこまで細かく説明する必要があるのかなぁ、と疑問。 あと、『そんだけの集中力があるんなら。 偽札作りなんかじゃなくてもっとマトモなことやればいいじゃん』 という爺の説教みたいな気持ちがあったりで。 ・・・というわけで、 知識吸収という意味ではそれなりに面白かったけど(偽札造りは割に合わないことを痛感)、 長さがある分だけ退屈な部分が多くて、 もう少し絞って短くしてくれたらなぁ、と感じる作品でした。 | ||
| 74点 | ||
| 風の歌を聴け | 村上春樹 | 2011/10/20 |
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いろいろ賞をもらったりで、世間ではとても評判の高い作家さん、村上春樹氏。
師範も超話題作だったノルウェイの森を読んでいるけど、
面白かったものの話題作の割には・・・というのが正直な感想。
今回は彼のデビュー作ということで、もう少しストレートな作品を期待したんですが・・・ これが、結果から言うと『この人いったい何が書きたかったの?』というのが正直なところ。 なんだかウダウダグダグダと文章が続いているだけで、 引き込まれもしないし感心する場面もありません。 そして、なにより好きになれないのが、 一つ一つの表現に無駄な尾ヒレがついていて 「俺っていろいろ知ってるのよ」感がつきまとうところ。 うむー。 薄い本だったので、読み終わるのが苦痛というほどでもないんだけど、 何も得るものはありませんでした。 この小説、映画化もされたりしているみたいなんだけど、 師範にはわからんなぁ。 | ||
| 58点 |
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風の歌を聴け
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| 天使の卵(エンジェルス・エッグ) | 村山由佳 | 2011/10/14 |
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作者の村山由佳氏の作品は、2年前に海を抱く BAD KIDSというのを読んでます。
あまり記憶に無かったんだけど、かなりグッと来て高い点数を付けていた模様。
まぁそれは作品の出来がどうのというより、
師範の個人的な心の琴線に触れたから、というところだと思いますが。 さてこの本ですが、ストーリー的には良くある、 というか現実世界ではほぼ無いんだろうけどフィクションの世界では良くありそうな恋愛物語。 でもね、なんかグッとくるんだよなぁ、この人の作品は。 こんな恋愛を経験したことがあるわけでもなんでもないけど、 なぜか感情移入してしまうあたり、不思議に波長が合う感じ。 また、この小説でも主人公の男の子とその父親との関係を羨ましく感じる部分があったり。 というわけで、理由は良く判んないんだけど個人的にグッと来た作品です。 ただ、世間一般の40歳代のオッサンに薦められるかと言うとそれは違うような。 少女のようにピュアな心を持つ師範ならでは、なんだと思います。 | ||
| 82点 |
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天使の卵(エンジェルス・エッグ)
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| 重蔵始末 | 逢坂剛 | 2011/10/11 |
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久しぶりに歴史モノを。
で、「歴史モノ」って書くとなんとなく史実に即した作品のように聞こえるんで、
「時代劇モノ」と書いた方が良いのかな?
主人公である「近藤重蔵」という方は、実在した人ではあるらしいんだけど。 さてストーリーは、火盗改(かとうあらため)という、 今で言うと警察庁みたいなところの職にある重蔵氏が、 江戸の町で繰り広げられるさまざまな事件を解決していくという、 とてもとても時代劇な内容。 で、やっぱりこれがベタだけど面白いんだな。 日本のハードボイルドって、時代劇の中の方が書きやすいのかもね。 おおっぴらに武器を使えるしね。 作者の逢坂剛氏の作品は、幻の翼という 現代を舞台にしたサスペンス作品を過去に読んでいるけど、 時代劇の方が合っているかも。 現実感が無くても楽しめるからね。 | ||
| 78点 |
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重蔵始末
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| 多国籍企業殺人事件 | 和久峻三 | 2011/10/02 |
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この本は、借りたんじゃなくて頂いたもの。
誰から頂いたかと言うと、いつも本を借りに行く地域センターみたいなところ。
「ご自由にお持ちください」と書かれた箱の中にあったので貰ってきました。
地域センターのハンコとかは押されてないんで、
多分どなたかから寄贈されたんだろうけど蔵書にする選に漏れた、
という感じかな、と。 さて中身はと言うと、作者は(当時)現役の弁護士さんということで、 クライマックスは法廷を舞台にした企業小説的な感じです。 それなりに面白いんだけど、なんとなく違和感があるのは、 主人公のダメっぷり。 作品の中では勇敢で冴えた男の設定になっているんだけど、 なんだか人の言いなりに動いているだけだし、 「こいつ賢いなぁ」と思うような局面も無くて、 ちっともカッコよく感じないのね。 あと「多国籍企業殺人事件」というタイトルもなんかしっくり来ません。 というのも、ストーリーの中心にあるのは自らの保身に汲々とする超ドメスティック企業だから。 というわけで、評価としては「普通」です。 そんなことより、地域センターの蔵書採用基準がどこにあるのかの方に興味がわきました。 | ||
| 68点 |
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| 探偵ガリレオ | 東野圭吾 | 2011/09/15 |
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東野圭吾氏の作品は、結構好きでたびたび借りてます。
やっぱり人気作家というのはそれなりに人気の理由があるわけですな。
今回借りた「探偵ガリレオ」という推理小説もテレビドラマ化されたらしいですな。 そして内容は五つの章に分かれていて、それぞれが科学をベースとした推理小説になってます。 主人公は警察官なんだけど、大学時代の友人である大学助教授がブレインとして活躍する、 といった内容。 設定に「ちょっと無理があるかな?」と思う部分が無いでは無いけど、 いろいろ調べて書いているんだろうなぁ、と感心する部分も多いですな。 というわけで、『深く感銘する』ってなタイプの小説では無くて、 電車の行き帰りにチョロチョロと読んで時間をつぶすにはもってこいのタイプです。 | ||
| 75点 |
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探偵ガリレオ
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| 秋の終りの旅 | 渡辺淳一 | 2011/09/09 |
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渡辺淳一氏が書く小説は、主に濃い男女の恋愛ストーリーと、
医療関係をテーマにしたものとがあるけど、
これは氏が初期に書いた作品で、前者の恋愛系と後者の医療系のちょうど中間くらいな感じ。
短編5つが収録されています。 で、やっぱり医療ネタは面白いな、と。 人の命を扱う分野だからか、必然的に考えさせられる部分が出てくるからね。 日常的に人の死に接さなければならない医療従事者の厳しさが文章の裏からにじみ出てくるような。 そして、この本ではそういう固い医療の話と、 ややビッチな感じの女性を主人公とした恋愛話がミックスされていて、 氏の作風の両面がつまみ食いできる感じです。 初期の作品と言うことで、恋愛系のエロティック度合いはかなり控えめだけどね。 この作品、残念なのは短編集というところかな。 もう少し掘り下げてじっくり書いてもらった方が良さそうな作品もあったり。 でも、長編はハズすと読むのが苦痛、ってのもあるしなぁ。 | ||
| 77点 |
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秋の終りの旅
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| 四つの嘘 | 大石静 | 2011/08/30 |
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ずいぶん更新が開いてしまいましたが、
通勤時間をとある勉強に使ったりしていたので、本自体を読んでいませんでした。
そして、久しぶりに読んだのがコレであります。
久しぶりなんで、リハビリ的に軽いものから読もうかな、という魂胆であります。 ストーリーは、高校時代同級生だった女性4人が、 若い時代に色恋関連でいろいろあって、そして大人になってもいろいろあって・・・というモノ。 なんとなくありがちな展開の中に、「さすがにそれは偶然過ぎるでしょ」って部分もあって、 全体の読後感的には「そこそこ良くできた普通の娯楽小説」という印象かなぁ。 主人公たちのキャラが立っているんで混乱しないし、 難解な部分も特にないんでスルスルと読めはするんですけどね。 巻末の解説によれば、この作品は新聞の連載小説だったらしい。 確かに、部分部分に小さな盛り上がりがちりばめられているあたりはそういう感じですな。 全体的な盛り上がりを設けてくれればもっと良かったんだけどね。 | ||
| 75点 |
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四つの嘘
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| 一九五二年日航機「撃墜」事件 | 松本清張 | 2011/06/17 |
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先々週読んだ、謎001というミステリーのベスト版で、
「やっぱりミステリーは松本清張だな」と感じたこともあって、
この巨匠の作品を借りました。
これはミステリーというより、実際の事件を著者なりに解釈・分析したものらしい。
そういうのってハマると面白い(そして師範はハマりやすい)んですな。 そして内容は、前半部分はいわゆる小説じゃなくて事件の解説的な文章で、 中盤から(架空の?)登場人物を軸にして事件の原因を解明していく、というもの。 ちゃんと状況がわかった上で物語が読めるので、親切な構成だとは思うけど、 大変残念なのは一番最初に種明かしというか推測の結論が書かれちゃってるのね。 だから、謎解き的な楽しさは一切無かったりします。 どうしてこんな風にしたんだろ?と疑問だったんだけど、 解説を読むと著者がこのテーマを取り上げるのって、この本で3回目らしいんですな。 だもんで、以前の解釈と違うことを最初に言っておくべき、と考えたのでしょう。 というわけで、内容的には面白いんだけど、前述したように謎解き要素が無くて、 ミステリーとしてはちょっとねぇ・・・という感じ。 著者としては、読者は以前の著作を既に読んでいることを前提にしたんだろうけど、 師範みたくこれを初めて読む人も居ますから。 | ||
| 72点 |
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一九五二年日航機「撃墜」事件
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| パイナップルの彼方 | 山本文緒 | 2011/06/08 |
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もう一冊の松本清張がとても重そうな本だったので、
一緒に借りるこちらは思いっきり軽そうな雰囲気のものをチョイス。
山本文緒氏の作品は、以前恋愛中毒というのを読んでいて、
結構好印象だった記憶&記録アリ、です。 ストーリーは、一人のOLさんを主人公にして、 先輩や後輩とのイザコザや、友人家族とのアレコレがあって、 どんどんどんどん崩れて行き、最後は何となく適当なところに落ち着く、という内容。 まぁ全く荒唐無稽でないというか、いかにもありそうな話でとっても現実感があるわけですが、 少なくとも爽快感はなくて、なーんかモヤッとした読後感が残ります。 例えば20台後半から30台前半くらいのOLさんだとグッと感情移入出来そうだけど、 師範は遠くから眺めている立ち位置から中に入り込めません。 人がグズグズに壊れていくのを描くのが好きな作家さんなのかな、と想像。 まぁまだ2冊しか読んでいないわけですが。 ともあれ暇つぶしに電車で読む分には、人間関係も飲み込みやすいし難解な表現も無いので、 スイスイと読み進めることは出来てナイスでした。 | ||
| 76点 |
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パイナップルの彼方
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| 謎001 スペシャル・ブレンド・ミステリー | 東野圭吾/日本推理作家協会 | 2011/06/05 | |||
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なんかミステリーのオムニバス版的な本があったので借りてみました。
借りた後でちょっと後悔。というのも、音楽もそうだけどこういうベスト盤(本)を聴く(読む)と、
それだけで満足しちゃって通常版にあまり手が伸びなくなるんだよね。
とはいえ勢いでも借りちゃったものは仕方ありません、謹んで読むのみであります。 結果的に、上に書いたような問題は杞憂で、 「この作家さんの作品はもっと読んでみたいな」と理解するきっかけになってくれて、 案外正解なチョイスでした。備忘録のために(というかそもそもこのページ自体備忘録ですが) 各短編の題名と作家、一行印象を書いておきます。 ・新開地の事件 --- 松本清張 ・母子像 --- 筒井康隆 ・双子の家 --- 赤川次郎 ・緋色の記憶 --- 日下圭介 ・北斎の罪 --- 高橋克彦 ・ぼくを見つけて --- 連城三紀彦 ・手話法廷 --- 小林健治 ・サボテンの花 --- 宮部みゆき ってな感じでありました。 78点 |
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謎001 スペシャル・ブレンド・ミステリー
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| おのぞみの結末 | 星新一 | 2011/05/25 |
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なんかあまり深く考えず、軽い短編が読みたくなったときに、
星新一氏の作品がまず頭に浮かびます。
SFというよりもっと身近な、それでいて結末にちょっとビックリするような短編。
電車での暇つぶしにはもってこいであります。 ・・・と、それなりに期待しつつ読み始めたんだけど、 正直言って星新一氏の作品としてはイマイチだったかな?と。 なんかどれも途中から結末が読めて、ビックリが無いのね。 以前読んだボンボンと悪夢の方が好印象でありました。 | ||
| 65点 |
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おのぞみの結末
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| 冷えた月 | 谷村志穂 | 2011/05/20 |
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谷村志穂さんの作品は、師範が行く小さな図書館にあるヤツは
コレで全部読んだつもりだったけど、
また新たなのが追加されたので借りました。
そんなに好きなわけじゃない、というか過去の記録を見ると評価低いんだけど、
なんか「コンプリート欲」みたいなのってあるじゃないですか。 そしてそして、読後感もそのコンプリート欲のみを満たした結果と相成りました。 ストーリーは、なんだか意思薄弱な夫婦の煮え切らない不倫物語。 今風っつったらそうなんだろうけど、夫側と妻側、どちらにも共感できないのね。 別に単なる小説なんだから、敢えて感情移入する必要もないんだろうけど、 それだと「ふーん」で終わっちゃうわけで。 もっとお若い方なら楽しめるのかなぁ、こういう小説。 残念ながら人生も半ばを大きく過ぎた師範にはちょっとダメでした。 | ||
| 60点 |
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冷えた月
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| 流転の海 | 宮本輝 | 2011/05/14 |
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作者は、結構好きな作家さんである宮本輝氏で、
戦後の復興期の大阪を舞台とした物語。
読む前までは知らなかったんだけど、
連作のうちの第一部という扱いなんですな。
これ一冊でも結構な厚みがありますが。 ストーリー的には、豪快な性格の主人公が復興する大阪を舞台に再起をはかり、 同時にその妻や家族との関係がアレコレ・・というような物語。 テンポが良くて大変面白い内容ではあるんだけど、 正直ちょっと登場人物キャラクターが飲み込みづらいかな、と。 主人公はズングリした人物かと思ったら実はイケメンっぽかったり、 奥さんは最初は弱々しい感じで書かれているけど実はやり手だったり。 とはいえ結構面白いです、この本。 この先も図書館にあれば読んでみるかな、という感じ。 でも多分無いんだよね。もっと大きな図書館に行けば良いんだろうけど。 | ||
| 83点 |
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流転の海
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| 巴里の門 | 芝木好子 | 2011/05/06 |
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更に知らない作家さんの作品に手を出してます。
今回借りたのは芝木好子さんという女性の方。
調べてみたら、芥川賞作家で文化功労者、亡くなられたのはもう20年も前みたい。
もしかしたら日本人なら知ってて当然の方なのかも。 書かれたのはもうずいぶん昔なのかな、なんだかアンティークな感じのするプチ不倫ぎみな恋愛物語です。 最近の恋愛小説みたく、合ったその日に寝ちゃった、みたいなんじゃありません。 ちょっと昔のパリを舞台に、ジワジワと地味に恋愛が進行していく、というストーリーです。 というわけで、とても興味深い内容だとかビックリ仰天のストーリー展開、とかいうわけではないんだけど、 設定とかに不自然なところがなくて、すんなり読める恋愛小説でした。 | ||
| 73点 |
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巴里の門
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| アヒルと鴨のコインロッカー | 伊坂幸太郎 | 2011/04/30 |
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また、知らない作家さんの作品に手を出してます。
今回借りたのは伊坂幸太郎さんという方。
この作品は「第25回吉川英治文学新人賞受賞作」とのこと。
ワインの「**賞受賞」は信じない師範ですが、
小説のソレは結構信じてます。 ストーリーは、2年の時を隔てた2つの話が交互に語られて、 最後にその2つが結びつく、という感じ。 最初はちょっと読みづらい感じがあったけど、 だんだん慣れて展開が楽しみになっていきます。 また、最初の方はなんだか突拍子も無い人々の話みたいで現実感が無いんだけど、 それも種明かしされれば普通の感覚とそう遠くない世界の話なっていきます。 なるほどなかなか面白いですな。 文章的にちょっと無用な比喩みたいなのがあって、まどろっこしくも感じたりするけど、 ストーリーは結構グッと来ます。まだ数冊あったと思うんで、また別の作品も借りてみましょう。 | ||
| 77点 |
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アヒルと鴨のコインロッカー
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| 嘘をもうひとつだけ | 東野圭吾 | 2011/04/21 |
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ここんとこお気に入りの東野圭吾氏の作品。
よく見ずに借りたら、これ短編集だったんですね。
短編集って、軽く読める代わりに感動するほどの作品には出会えないことが多いので、
どちらかというと避けていたりするわけですが。 そして内容はというと、普通の刑事物推理小説の短編集でした。 事前の予測通り、軽く読めるのは良いんだけど「ふーんなるほど」って感じで、 あまり記憶にガシッと残る作品は無かったり。 でもまぁそれなりに楽しく読めました。 この前に読んだ特攻の話がかなり重めだったんで、 それと比べるととても軽く読めます。 250ページくらいの分量なんだけど、早い人なら1日で読めちゃうんじゃないかな。 | ||
| 74点 |
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嘘をもうひとつだけ
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| 指揮官たちの特攻 ~幸福は花びらのごとく~ | 城山三郎 | 2011/04/16 |
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たまにノンフィクションというか、
史実をベースにした小説が読みたくなります。
というわけで、太平洋戦争について書かれたものを借りて読むことにしました。
ちなみに、師範の立ち位置は、右でも左でもなくニュートラルです。 読んでみると、この本は「史実をベースにした小説」ではなくてほぼ「史実」ですね。 一見戦争礼賛みたいなタイトルの本だけど、 中身は全く逆で、戦争の狂気の前に若い命を失わざるを得なかった人々の悲哀が、 丁寧な調査のもと冷静なタッチの文章で綴られています。 特に、戦争終結を知らずに(でも多分感じ取って)特攻に飛び立った兵士の判断には、 強く心を打たれました。 というわけで、とても勉強になる本でした。 娯楽的要素は無いわけだけど、こういう本も読まなきゃダメだよね。 | ||
| 76点 |
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指揮官たちの特攻 ~幸福は花びらのごとく~
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| ドールズ | 高橋克彦 | 2011/04/11 |
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例によって文学の世界に疎い師範は、
この「高橋克彦」さんという作者の方はご存知ありませんでした。
あとがきによると、日本のホラー小説の第一人者的な方だとか。
いやー、知りませんでした。 というわけで、内容的にはかなりホラー寄りのミステリー、 でもホラーといってもスプラッターなものではなく、 ジワジワと内側からくる怖さです。 そして、その怖さがだんだん薄らいでいくというか、 怖いというよりミステリー(不思議)な感じに変わって行きます。 テンポはやや間延びしている感はあるけど、なにより設定が面白いので、 飽きずに最後まで読めます。エンディングも良いしね。 普段はどちらかというと荒唐無稽な小説より現実感のある小説の方が好きな師範ではありますが、 これはこれで面白いと思いました。 ってか、なんだか書いてることが小学生の読書感想文だな。 人様の文章を云々するなんて100年早うございます。 | ||
| 77点 |
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ドールズ
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| チーム・バチスタの栄光(上・下) | 海堂尊 | 2011/03/30 |
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この、「チーム・バチスタの栄光」という作品は、
一時期映画化されたりTVドラマ化されたりで、名前は知っていました。
ただ、『きっとこジャレた喫茶店がコーヒー淹れる選手権で勝ったりするトレンディ・ドラマだろ』
なぁんて考えてました。「バチスタ」を「バリスタ」と勘違いしてますな(恥)。
で、書棚にあるのを見つけ、裏表紙の紹介文を見るとまるで違うし(当たり前)、
案外面白そうなので読んでみました。 内容は、心臓手術を行う大学病院内部で起こる異変に対し、 追求を進めるうちに云々、という医療ミステリーです。 で、これがかなり面白い。適度に専門的で適度に軽くて、登場人物のキャラも立ち過ぎるくらい立っていて、 ハラハラ&ワクワクしながら読み進められます。 やはり作者が現役の勤務医というのがミソですかね。 先日読んだパイロット・イン・コマンド同様、 現場を知っている方がその現場をベースとして書いた小説は読み応えがあります。 というわけで、とても満足度の高い長編小説でした。 敢えて難点を探すとすれば、作品の名前のみならず作者のペンネームも、 やっぱり『こジャレたコーヒー店のトレンディ・ドラマ』と勘違いしそうな点でしょうか。 | ||
| 85点 |
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チーム・バチスタの栄光(上・
下)
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| 異人たちとの夏 | 山田太一 | 2011/03/18 |
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そして、もう一冊の「平易で娯楽っぽい」本がコレ。
山田太一といえば、
「ふぞろいの林檎たち」の脚本家ですね。
TV番組とかに疎い師範でも、その番組は何度か見たことがあります。
そういう脚本家さんの作品なんで、およそ純文学的だったりはしないだろう、という目論みであります。 さてストーリーはというと、TVドラマの脚本家である主人公が、 ひょんなことからアッチの世界の人(異人)と接触して云々、というもの。 設定自体は非現実的なんだけど、内容的には現実にもありそうな、という感じでナイスです。 平易で娯楽的、まさにその目的にピッタリ合っております。 というわけで、大感動のストーリー!ってんじゃないけど、 しんみり面白い小説でした。 それにしても、脚本家な方が書いた小説って特徴があるよね。 エンディングの部分に、まるでドラマのスタッフロール中に流れるような、 書かなくても良い後付け的な部分があって。 以前読んだ向田邦子さんの作品にも同じ印象を感じました。 | ||
| 80点 |
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異人たちとの夏
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| パイロット・イン・コマンド | 内田幹樹 | 2011/03/14 |
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先週&先々週、どちらかというと複雑だったり純文学っぽかったりという本を読んで、
「師範にはムズカシすぎる」という印象を受けたので、
今週はもっと平易で娯楽っぽい本を二冊。
そのうちの一冊がコレ。元パイロットだった作者の処女作ミステリー、とのこと。 ストーリーは、密輸や殺人といった事件と、旅客機の事故とがからんで進行していくわけだけど、 そのうちの旅客機側の描写とか展開はお見事。 さすが元パイロットなだけあって、臨場感とかビシビシ伝わってきます。 反面、事件側がちょっと突っ込みが甘いというか、 いかにも「絵に描いたストーリー」な感じなのが残念。 とはいえ判りやすくてハラハラさせられて、なかなか面白い小説でありました。 特に航空関係は興味があるしね。というのも、 実は師範は若かりし頃パイロットになろうと考え、航空大学校を受験したことがありました。 あいにく二次試験(身体検査※)で落ちたんだけど。 こういうのを読むと、「パイロットなんてならなくて良かったなぁ」と負け惜しみを言いたくなります。 (※:特に師範の身体に障害があったわけじゃないけど、身体検査の競争率が3倍、ちょっと何かあると落ちる試験でした) | ||
| 80点 |
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パイロット・イン・コマンド
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| 比叡 | 瀬戸内晴美 | 2011/03/05 |
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今週は女流作家2連発であります。
ちなみに瀬戸内晴美さんの作品は、
昨年秋に純愛という小説を読んでおりましたが、
借りるときは全く忘れてました。まったくもって貧弱な記憶力の師範であります。 で、これが長いのよ。ページ数的には文庫本300ページくらいなんで、それほどでもないようなんだけど、 とにかくストーリーの展開が緩慢で情景描写の尾ヒレばかりでイライラするくらい長い。 内容的にも「で?それがナニ?」という感じで、ホント時間を無駄にしたなぁ、という読後感。 唯一興味深かったのは、後半に出てくる熊本県玉名出身の尼僧の言葉。 それがリアルに熊本弁で、師範は懐かしかったけど一般の人には意味が判んないんじゃ?と心配したりして。 仏教的な内容は師範には全く判らないので、全部を判らせるつもりはないのかもですが。 というわけで、「読んで損した」一冊。こういうのを「純文学」という言うんですかね? 純粋に文章を学問するための作品なのかな? そういうの、師範には不要です。 もっと楽しめる内容の小説をプリーズ、です。 | ||
| 38点 |
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比叡
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| 顔に降りかかる雨 | 桐野夏生 | 2011/02/28 |
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この作品は、女性作者によるハードボイルド作品、と帯に書かれていたんで、それに興味があって借りました。
ハードボイルドって、日本を舞台にすると難しいと思うんだよね。
拳銃は使えないし湿っぽくなるし。 さて内容はというと、探偵を父に持つ主人公の女性が、友人のヤクザがらみのトラブルに巻き込まれ・・・という内容。 全体的なストーリー構成は良いし、場面場面での緊張感も良いんだけど、 いかんせんちょっと長くて飽きるかも。 あと、ネオナチとの繋がりがなんか良く判らなかったなぁ。 ストーリー全体に厚みを持たせたくてそういうのを絡めたのかも知れないけど、 正直師範程度の脳味噌だと、そのあたりで内容がボヤケちゃった感じがしました。 全体的には好きな感じなんで、もう少し簡潔に、シンプルに書いて頂ければ・・・ なんて思っちゃいました。 Web上の書評なんかを見ると世間様は結構絶賛しておられるので、 師範の脳味噌レベルが低い、ってことなんでしょうが。 | ||
| 74点 |
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顔に降りかかる雨
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| 「超」怖い話(A) | 平山夢明 編著 | 2011/02/19 |
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同時に借りた下の「ふてえ奴(下)」が厚い本だったので、
もう一方のこれは薄くて軽く読めそうなヤツを、ということでチョイス。
怖い話は良いんだけど、この本みたいに「超」なんて付いてると、
かなりマユツバな気がしつつ借りたわけだけど、果たして中身はというと・・・ これがね、残念ながら面白くないのよ。ちっとも怖くないし。 これくらいの内容だったら、Webで「怖い話」でググッた方がもっと怖いヤツが読めるような。 あとがきとか見ると、なんとなく作者というか編集者の方々がビビッちゃってる感もあるのね。 だもんでぼかした感じが強すぎて実話感が薄くて、かつ似た様な話ばかりになっててつまんないんですよ。 なにより、このくらいの内容なのにタイトルに「超」を付ける感性がねぇ。 やっぱり本は普通に小説読んだ方が面白いですな。 『事実(なのかな?)は小説よりもつまんない』です。 | ||
| 40点 |
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「超」怖い話(A)
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| ふてえ奴(上・下) | 清水一行 | 2011/02/04, 02/16 |
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清水一行氏の作品は、主に企業とか政治を舞台にしたリアルな物語が多くて、
師範の好きな分野の一つです。
そして、この「ふてえ奴」ってのにも以前から興味があったんだけど、
いかんせんちょっと厚めなんで2週間で上下読みきるのは難しい気がして躊躇しておりました。
というわけで、2週間に1冊ずつ(+別の薄い1冊をブッキング)というスタイルで借りてみて、
まずはその上巻から。 ストーリーは、金沢で神童と呼ばれた少年が、 東京に出てきていろんな苦労を味わいながら徐々に台頭を現して・・・というものの序盤が上巻。 波乱万丈で面白いんだけど、少なくともこれまで読んで来た清水一行氏の小説とはかなり傾向の違う、 リアルはリアルなのかもしれないけど娯楽性に富んだ作品です。 特に、下半身系のネタがそこここに散りばめられているあたりがとっても娯楽的。 というわけで、まずは前半読了。 下巻も続けて借りてきます。 このあとどんな風に展開していくか、とても興味を持たせてくれる作品です。 ・・・というわけで下巻も続けて借りました。 下巻も、上巻と同じでテンポ良く波乱万丈のストーリーが展開されていきます。 ただ、テンポは良いけどちょっと盛り上がりには欠けるかな。 なんかずーと同じテンポで同じテンションの内容が続いていく感じです。 とはいえ、上下巻合わせると800ページ以上ある小説だけど、 読み飽きすることなく引き付け続けてくれるのはさすがでありました。 | ||
| 80点 | ||
| 自殺倶楽部 | 谷村志穂 | 2011/01/26 |
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最近(隣駅まで歩くので)電車に乗ってる時間が短いため、
読書量があまり多くありません。というわけで、薄い本を探していたらコレを発見。
ときどき読んでいる谷村志穂さんの作品。
そんなに好きなわけじゃないけど、なんとなくたまに読みたくなるわけであります。 さて内容はというと、高校生のグループが集団自殺を企てて、 主人公の女性はその記録役(記憶役)にされて・・・というストーリー。 なんか深い精神世界を語りたいのかも知れないけど、 少なくとも師範には全然伝わってこなくて、なんとも退屈。 高校生くらいの「青臭いカッコ良さ感」は判るけど、なんだか『だからナニ?』なんだよなぁ。 というわけで、今年初の「読んで損した」一冊。 薄い本なので、2日ちょっとで読み終えられたのがせめてもの救いかな。 この方の作品、借りている地域センターにはもう文庫本は無かったはずなんで、 とりあえずしばらく読むことは無さそうです。 | ||
| 40点 |
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自殺倶楽部
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| 暗鬼 | 乃南アサ | 2011/01/20 |
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また知らない作家さんの作品に挑戦、ということで、選んだのは「乃南アサ」さんという女性作家のもの。
カバーの著者紹介を見ると、師範より5歳ほど年上の方らしい。
ちなみにこれは平成5年に初版発行された作品です。 ストーリーは、旧家に嫁いだ女性がその家族の異質さに気付いて調べていくうちに大変なことになって・・・ というもの。 なかなか興味深い設定で、物語自体は良いんだけど、いかんせんテンポがまどろっこしいのよ。 なんかテレビの情報番組なんかによくある『そこにはなんと!・・・続きはCMの後』みたいな無駄な引っ張りを感じて、 ちょっとイラッと来る部分があります。 というのも、布石が置かれ過ぎていて、先の展開がある程度読めちゃうんだよね。 「あー、ここは洗脳してるんだなぁ」とか「きっとこの人たちはこういう関係だよね」というのが前もって判っちゃうので、 早くその種明かしにたどり着きたいもどかしさがあります。 でもまぁ面白い作品ではあったかな、と。 また借りるかと問われれば、ストーリーの面白さが別の作品でも味わえるなら借りたいし、 まどろっこしさが別の作品でも感じられるならもう結構、という感じ。 | ||
| 75点 |
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暗鬼
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| 美しき凶器 | 東野圭吾 | 2011/01/14 |
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東野圭吾氏の作品は、
先日読んだレイクサイドが読みやすくて理解しやすくて好きだったですが、
この正月にTVドラマ「赤い指」ってのを見て、
『やっぱり面白いよねぇ、この作家さん』と再認識、
原作を借りようと思ったけど師範の行く小規模な図書施設にあるわけもなく、
代替品として借りたのがこの作品。 ストーリー的には、ドーピングの過去を持つ元スポーツ選手4人が、 その過去を抹消しようとして云々というもの。 設定的にはなかなかリアリティがあって良んだけど、 いかんせんこのスポーツ選手に復讐を企てる女性の能力が荒唐無稽なのが残念。 SF・サスペンスって言うんですかね、こういう分野。 娯楽小説としてはそれなりに面白いんだけど、そういうのを求めてたんじゃ無いんだよなぁ。 というわけで、ちょっと期待ハズレではあったわけだけど、 いろいろ引き出しの多い作家さんでもあるな、ということを感じました。 また別のも借りて来ようっと。 | ||
| 75点 |
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美しき凶器
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| 死化粧 | 渡辺淳一 | 2010/12/17 |
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渡辺淳一氏の作品は、
夜に忍びこむものとか
野わけとか読んでいて、
とりわけグッと来るものではないけどまずまず手堅い、というか軽く読むには最適、
という印象があります。
この年末の忙しい時期、あまりはまり込む作品もどうかということで「暇つぶし」狙いという、
作者の方には甚だ失礼な目的で借りたわけですが・・・ さて内容は、医療と死をテーマにした短編が4編。 これが、暇つぶしに読もうと思った心がけを大きく裏切られる、内容的に非常に重い作品ばかり。 (今回改めて知ったわけだけど)元は外科医だった作者の視点で捕らえた医療と死、読むものの心にグイッとくさびを打ち込んできます。 特に、師範の場合は3年半前に父を癌で失っているんで、 非常にいろいろと考えさせられました。 というわけで、借りた目的とは大きく方向が違ったけど、大変興味深い小説でした。 なんだか、中年の不倫物語を書いている人とは全く別人みたいな印象です。 | ||
| 88点 |
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| 霧のレクイエム | 阿刀田高 | 2010/12/09 |
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阿刀田高氏の作品を読むのは初めて。
たしかミステリーをいろいろ書いていて、いわゆる文壇ではかなり偉い人じゃなかったっけ?
と、いまだにその程度の作家知識な師範であります。 というわけで、そういう有名な人ならさぞかし面白い作品を書いているんじゃないかと期待したわけですが、 結果的には「なにコレ?」でした。 というのも、あまり血の巡りの良くない師範の脳みそによる読解能力では、 結末が判りません。推理小説で、犯人を言い当てる部分がスッポリ無くなった感じ。 作者な方には、いろいろと引いた伏線がきちんと繋がるストーリーが思い描けていて、 「これくらい当然理解できるでしょ」なのかもですが、師範には理解できませんでした。 でもね、正直師範は嫌いというか、ダメだと思うんだなぁ、こういう作品。 「結局作者もどうまとめて良いか判んなかったから余韻を残すふりしてお茶を濁したんじゃねぇの?」 と思っちゃいます。 | ||
| 28点 |
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| レイクサイド | 東野圭吾 | 2010/12/02 |
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この「東野圭吾」氏という作家さんは、最近の流行作家なんですかね?
新聞の広告なんかでもしばしばお名前を拝見します。
乱読日誌でも過去怪笑小説というのを読んでいるけど、
それは自体それなりだったんで、今度はちゃんとしているっぽい小説を。 ストーリーは、子供の中学受験のために別荘地に4家族が集まって、 そこで殺人事件が起こって・・・という内容。 (師範も子を持つ親だけど、ここに登場するような教育ママ/パパの心境はイマイチ理解できないことは置いといて) 緊迫感のある展開と意外な結末にはなかなか感心させられます。 3日間くらいの出来事をテンポ良く書き上げてあって、 読むほうもテンポ良くて2日くらいで読んじゃいました。 判りやすくて面白い、流行作家なのはさもありなん、という作家さんですな。 なんか小難しい文章や情景描写をひねくり回す作家さんなんかより、 師範はこういう作品が好みであります。 | ||
| 85点 |
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| 憑神 | 浅田次郎 | 2010/11/30 |
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浅田次郎の作品は、過去いろいろ読んでいて、どれもハズさなくて面白い。
今回借りてみたのは時代小説。きっと面白いはず、と期待して読み始め。 で、結論的にはやっぱり面白い。 幕末の「ついていない」侍に貧乏神・疫病神・死神がとり憑いて・・・というストーリー。 着眼点が面白くてテンポが良くて、 登場人物のキャラクターもハッキリしていて覚えやすく(歴史モノでは重要)、 スイスイ読めます。 ただ、贅沢を言えば結末がなんかグッと来ないというか、 どんでん返しが無くて予定調和な感じはするけれども。 というわけで、読後感の良さよりも読んでる途中の楽しさが味わえる一冊。 本からなにか教訓や発見を得ようとしているわけではなく、 通勤時間の暇つぶしを求めている師範にはこれで十分。 | ||
| 85点 |
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| 亡国のイージス(上・下) | 福井晴敏 | 2010/11/19 |
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この作品、昔から気にはなっていたんですが、
一冊500ページ強の上下巻という量なんでなかなか手が出せず、
意を決して上下巻それぞれ2週間ずつわけて借りました。
通勤電車での読書だとそれくらいかかっちゃう長編小説です。 内容は、国の都合で子供を殺害されたイージス艦艦長が、 北朝鮮の工作員と組んで国家に復讐をしかける、というもの。 こんな風に書いちゃうとなんか薄っぺらい感じだけど、 それなりに重みのある動機付けになっています(ただ、艦長以外の動機は弱い気はしますが)。 そして、政治もからんでバイオレンスもあって、 どんでん返しの連続で、なかなか先の読めないストーリー展開にグイグイ引きこまれます。 結局4週間かかったわけだけど、飽きることなく読ませてくれます。 というわけで、非常に楽しめる作品でありました。 映画にもコミックにもなった作品だけど、確かに映像化したくなる気持ちがわかります。 また、この作品が本当に言わんとするところも、 世の中の見方として参考になる部分もあります。 昨今の米軍基地や尖閣諸島問題もあるし、 日本として安全保障問題をどうしていくのか、 リスクも含めて考えるべきときが来ているように感じます。 | ||
| 87点 | ||
| 純愛(上・下) | 瀬戸内晴美 | 2010/10/23 |
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心がピュアな師範は、恋愛小説なら純愛小説が読みたいわけですよ。
そこへ持ってきて、コミュニティ・センターの本棚にこのタイトルを発見したわけですよ。
こりゃ借りて読まないわけにはいきません
(白状すると、本のカバーに書かれた説明書きで、
いわゆる純愛小説じゃないことは読む前から知ってたわけだけど)。 で、内容的には薄っすら想像したとおり、 純愛小説とは無縁の、複数の不倫カップルがドロドロになって壊れていくストーリー。 なんだかなぁ、逆説的な意味で付けたのかね、このタイトル。 ただ、舞台(というかこの小説が書かれた時代)が30年くらい前なんで、 ちょっと違う世界の話みたいな感じであまり生々しく感じないのはよろしゅうございます。 それにしても、どうしてこうも世の中には不倫を扱った小説が多いんですかね? 小説だけじゃなくて実際多いのかね?この世の中。 身の回りであまりそういう例を見ないのは、師範が鈍感なだけなのかしら? | ||
| 73点 | ||
| エンジェル | 石田衣良 | 2010/10/09 |
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この作者の作品は、娼年、池袋ウエストゲートパーク
と読んでいて、文章とストーリーはそんなにグッと来るわけでも無いというか軽い感じなんだけど、
意外と読後感は悪く無いので別の作品を。
というのも、師範が通うコミュニティ・センターに結構いっぱい置いてあるのね、この人の作品が。 ストーリーは、殺された主人公が幽霊となって現実世界に現れて・・・ という、昔流行った映画「ゴースト」にちょっと似たような内容。 最初の方はなんとなく漠然としてダラダラした感じで読み進めるのが辛かったけど、 中盤以降は情景もつかめて面白くなってきます。 そして、やっぱりこの人の作品は読後感が悪くないのね。 殺人事件だしヤクザなんかも出てくるし、 憎しみ充満になりそうなストーリー設定なのに、 なんか最後は「みんなちょっとずつ悪かったのね」みたいな感じ。 この作家さんの作品、最初の一冊はちょっとアレだったけど、 3冊読んでみて意外とアタリなものが多い気がしてきました。 あまり肩肘張らずに読めるんで、選ぶものに困ったときはまた借りちゃうような気がします。 | ||
| 80点 |
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| 太陽の季節 | 石原慎太郎 | 2010/10/01 |
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この作品は、さすがに師範も知っている現東京都知事である石原慎太郎氏のデビュー作。
弟である石原裕次郎氏が映画で主人公を演じたりしたということでも有名なタイトル。
しかし師範は映画を見たこともなければこの小説を読んだことも無かったし、
ある意味一世を風靡した作品らしいので、大人の嗜みとして読んでみることに。
表題作と他4作からなる短編(中編?)集であります。 で、結論から言うと師範の嗜好とはほとんど合わなかったわけだけど、 まぁ「その時代に衝撃を与えた」というのは判らんでもないかな? 要するに最近の薄らカッコイイ尻軽小説の元祖という感じなのでしょう。 なんだかどうでも良いことにカッコ良さを見出して、 人の迷惑顧みずそれに命を賭けるのがカッコイイ、というような感じ。 石原慎太郎氏、東京都知事としての発言はキレがあって押しの強さもあって、 ときどき胸がすく思いをすることもあるんだけど、 基本的には無責任(新銀行東京問題とか)でカッコつけ(対近隣諸国発言とか) というのはこういう作品からも感じられるような。 そういった意味では読んだ甲斐はあったかな? 作品自体は全然つまんないんですが。 | ||
| 53点 |
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| マークスの山(上・下) | 高村薫 | 2010/09/25 |
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この作家さんの作品は、
以前「黄金を抱いて翔べ」という作品を読んでます。
結構スリルがあってサスペンスがあって、という作品を書く人だな、という印象があって、
今回は2冊組の長編(直木賞受賞作品)のコレを読んでみることにした次第であります。 結果、なかなかスリルがあって面白い小説ではあったんだけど、 いくつかグッと来ない点が。 一つは、まず犯人が精神的に障害がある人物だということ。 そういう人が犯罪起こすストーリーって、動機その他「なんでもアリ」なのが否めなくて、 ちょっとズルい感じがするんですな。 あと、警察内の序列がよく理解できません。 巡査部長と係長と警部、いったいどういう序列になっているのか基礎知識が無いから、 人間関係の面白みが半減です。 もう一つは、結果的になぜそういう強い力が働いたのかが良くワカランです。 国・政府としてそんなに守るべき登場人物群とも思えないんだけど。 というわけで、2冊700ページに匹敵する満足感があったかと問われれば微妙なところ。 こういう大長編よりも、キュキュッと焦点の絞れた中編くらいが師範には丁度良いのかも知れません。 | ||
| 77点 | ||
| 大君の通貨 -幕末「円ドル」戦争- | 佐藤雅美 | 2010/09/10 |
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ここまでいろいろ読んできて、師範は「史実に基づいた物語」が好き、という傾向を感じております。
というわけで、その手の小説を探していたところ、
この佐藤雅美さんという人の作品にそういうのが多いことを発見。
この方、女性の作家さんかと思ったら、男性みたいです。 内容は、幕末の時代、日本が開国する際、 円とドルとの取引をめぐる丁々発止を記述した歴史経済小説。 なるほどねぇ、開国を迫る側の理念やエゴ、開国する側のヘタレな姿勢なんかが判るのと、 幕府崩壊のもう一つの(真の?)理由が判って非常に興味深い。 ただ、「史実に基づき」過ぎ、というか物語性が弱くて、なんだか伝記を読んでいるみたいなのが残念。 歴史を知ると言う意味では大変興味深い小説でります。 が、師範の嗜好としてはちょいと方針変更。 師範が好きなのは「史実に基づいて、それを面白く脚色して読ませてくれる物語」であります。 | ||
| 72点 |
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大君の通貨 -幕末「円ドル」戦争-
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| 十万分の一の偶然 | 松本清張 | 2010/09/03 |
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「松本清張氏の作品はハズさない」というのを、
先日バンドのメンバーで飲んだ際にDsのFj氏に聞いたので、
また借りてみました。
前回読んだのは黒革の手帖で、
それも大変おもしろかったしね。 ストーリーは、新聞で賞を取った報道スクープ写真が、 偶然撮れた写真じゃなかったことをあぶりだしていくもの。 設定はなかなか興味深いんだけど、 ストーリーの展開にしてもそのトリックにしても、 なんとなく最初から想像が付いちゃうのが残念。 なんだか読んでてビックリ感が無いんだよなぁ。 突然出てくる大麻の話も、直接事件に関係ない写真の大家をアレしちゃう話もなんか違和感があるし。 というわけで、ハズシてはいないけどアタリでもない、という内容でした。 この方の人間の描き方は鋭いと思うんだけどね。 ま、図書館にはまだ読んでない松本清張作の本がたくさんあるんで、 ぼちぼち読んでいきましょう。 | ||
| 75点 |
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十万分の一の偶然
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| 破線のマリス | 野沢尚 | 2010/08/27 |
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この方の作品は、過去に3冊稽古済み
(コレとコレとコレ)。
スリリングでリアリティがある作品を書く大変好印象な作家さんだし、
これが小説家としてのデビュー作(かつ受賞作)らしいので大期待。 内容的には、テレビ局のニュース番組で映像編集を行う女性を中心に、 報道被害とか事件とかもろもろが絡んでいくストーリー。 例によってスリリングでリアリティがあって、 特にこの作者の方が身を置いていたテレビの内側の暴露モノ的な感じもあって、 なかなかグッと来る物語ではあるんだけど、 欲を言えば結論というか解決のしかたに若干無理があるかな、と。 最終的に犯行の動機と必然性があまり浮かび上がって来ない感じ。 というわけで、面白い内容ではあるけど期待したほどではなかったかな、というのが正直な印象。 この人の作品、本を借りているコミュニティ・センターにはもう(文庫本では)無いのが残念。 | ||
| 82点 |
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破線のマリス
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| 塩狩峠 | 三浦綾子 | 2010/08/20 |
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北海道での鉄道事故を扱った話ということを裏表紙の紹介で読んで、
どちらかというとそういう「史実を基にしたフィクション」みたいな作品が好きな師範ゆえ、
これは良いかも、と借りたもの。 ストーリー的には、その大半が上記の事故で殉職した主人公の生い立ちと、 キリスト教の信者となるまで/なって以降の軌跡。事故のことは後半の1/10にも満たない量。 師範の好きな純愛物語的な要素もあり、結構楽しめはするんだけど、 誤解を恐れず言えばちょっと「宗教礼賛色」が強すぎるのね。 もともと作者の方も信者で、 この作品はキリスト教関連の機関紙に連載されていたものということで、 そりゃもちろんそういう内容になるのは仕方ないんだけど、 特段の信仰心を持たない師範にとってはちょっと「鼻白む」感じが否めないんですわ。 殉職した主人公は、信仰心から身を挺したのではなく、 職務上の責任感から身を挺したと解釈したほうが師範的には立派な行動に思えるわけです。 面白くなかったわけじゃないんだけどねぇ~。 巻末によくあるこの作者さんのほかの作品リストを見ても、 どうもキリスト教関連の作品が多いみたい。 だもんでリピート借りするかと言えば微妙ですな。 | ||
| 78点 |
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塩狩峠
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| レッスンズ | 谷村志穂 | 2010/08/12 |
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この作者さんの作品は、比較的登場回数が多くて、
「海猫」の上下巻と、
「アイ・アム・ア・ウーマンというのを既に読んでます。
これまでの作品は、「若い男女が考えることは全てアッチ方面」といった感じで、
性にモラルの無い人たちのストーリーが多かったわけで、
この「レッスンズ」というタイトルの作品もきっとそうかなぁ、と思ってたわけですが。 で、結論から言うと師範の予想は大きく裏切られ、 これまで読んだこの人の作品に頻出した性表現はほとんどありませんでした。 内容的にはなんだか私小説っぽくて、人に読ませるためにというより自分のために書いた、 という感じであります。 若い女性の不安定な感じは良く伝わってくるんだけど、 いかんせん師範は若い女性じゃないんで、そこに感情移入は難しいわけで。 というわけで、つまらないわけじゃないけど、なんとなく他人事というか「ふーん」という感じの読後感。 キレイな表現とかは上手い作家さんだと思うので、 この方の純愛小説みたいなのを読んでみたいものであります。 | ||
| 69点 |
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レッスンズ
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| 熱欲 | 堂場瞬一 | 2010/08/09 |
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そもそも資源量の限られた行きつけの図書室で、
サスペンスっぽい作品の新たな鉱脈を探るべく手に取ったのが、この堂場瞬一さんという方の作品。
似たような感じの作品が数冊あるんで、
もしナイスであれば良いなぁ、と。 ストーリーは、過去に暗い影をもつ刑事さんが、 マルチ商法詐欺の事件解決のためにちょっとハードボイルドに奮闘する、といったもの。 色恋がらみもサイドストーリーとしてちょびっと。 で、読んだ感想的には「もう一歩踏み込んでくれればなぁ」という感じ。 主題のマルチ商法摘発も、サイドの恋愛も、 なんとなく盛り上がりに欠けるというか中途半端な感じが禁じえないなぁ、と。 あと、タイトルと中身もなんだか一致していない感じ。 正直ちょっぴり期待ハズレ。 どうやらシリーズ物らしいんで、話の前提をいろいろ理解していないことが原因かも。 とはいえそれなりにテンポ良く読める作品だし、 テーマによってはもっと突っ込んでくれることを期待して、 この方のほかの作品にも手を出してみましょう。 | ||
| 73点 |
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熱欲
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| 天女湯おれん | 諸田玲子 | 2010/07/26 |
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今回は旅行が一週間弱あるので、借りた本は一冊のみ。
普通は旅行というと逆に本を持って行ってゆっくりしたりするんだろうけど、
師範の場合旅行中の空き時間は稽古日誌の準備で大忙しなんで、旅行中に本を読むゆとりはありません。 というわけで、旅行前に読み終わったのがこの本。 知らない女流作家さんの作品で、江戸時代の銭湯を舞台にした娯楽歴史モノ。 江戸自体の庶民の風俗みたいなのが伝わってきて、 適度に軽快で読みやすく、適度(+αくらい?)に艶っぽく、 なかなか楽しめました。 歴史モノは、難しい名前の登場人物がたくさん出てくると急に「コレ誰だっけ?」ってなるんだけど、 この作品はまだ把握可能な数の登場人物で、 それぞれのキャラも立っていて前を見返す必要なくてナイスです。 | ||
| 80点 |
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天女湯おれん
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| 私たちが好きだったこと | 宮本輝 | 2010/07/16 |
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宮本輝氏の作品は、最近優駿を読んで好印象、
だもんで二匹目のドジョウを狙ったもの。
雰囲気からして、優駿の中の恋愛小説フレーバーを抜き出したようなものだと思ったのですが・・・ 結論から言うと、優駿のようなすがすがしい感じはあまりなくて、 結構ドロリとした恋愛ストーリー。 昔テレビで放送されていた「男女7人夏物語」のもうちょっとフシダラ版、といった感じ。 恋だの愛だのといった時代をとうの昔に過ぎ去った師範にとっては、 『人様に金銭的迷惑かけといてなにが優しさだか・・・』と説教のひとつも垂れたくなります。 ・・・と、ストーリーに対してはあまり親近感とかは感じないわけだけど、 軽く読める恋愛物語としてはまずまずの内容でした。 でも、カタブツな師範はもう少し「簡単には脱がない」恋愛モノを欲しております。 | ||
| 70点 |
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私たちが好きだったこと
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| 城をとる話 | 司馬遼太郎 | 2010/07/09 |
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この歴史小説の作者、司馬遼太郎氏の作品は、
2年前このページの最初に読んでます。
そこでは『そのうち別のも読んでみましょう』なんて書いているのに、
次に読んだのが2年後。
というかね、司馬遼太郎とか柴田錬三郎とか山本周五郎とか山田風太郎とか、
歴史小説の作家さんってなんか似た名前が多くないですか? ストーリーは、タイトルの通り、ある武士が単身(+出会う人々の協力を得て) 築城中の城を奪いに行く、という話。 話の前半は仲間集めのフェーズで、なんとなく童話の「桃太郎」みたいな感じ。 その勢いでスパーッと城を奪取しちゃうのかと思えば、 後半は非常に混乱してゴッチャゴチャ。 それがリアリティなんだと思うけど、若干残念な読後感。 とはいえ結構楽しめる作品でありました。 ただ、なんとなく歴史小説には痛快活劇的なものを求めちゃうわけで、 そして前半の感じはそういうストーリーを想像させるわけで。 | ||
| 78点 |
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城をとる話
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| 妻の女友達 | 小池真理子 | 2010/07/01 |
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一緒に借りた(この前に読んだ)作品がやや重めの内容だと想像されたので、
もう一冊の方は軽め狙いで。
推理作家協会賞受賞の表題作を含む傑作サスペンス6編とのこと。
作者の小池真理子さん、なんかそういう政治家さんが居たような気がするけど多分別な人と勘違いしてます。 内容的にはとっても予想通り、軽めの推理?サスペンスでありました。 日常に潜む狂気とか、ちょっとした運命のいたずらとか、 そういうのを主題に構成された短編で、難しいことを考えずに楽しめます。 通勤電車の中で読むにはちょうどいい感じ。 でも欲を言えば、もう少し「おぉ!」っと思うような展開の作品があれば良かったかな? 全然ジャンルは違うけど、星新一の短編なんかみたいにね。 | ||
| 76点 |
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妻の女友達
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| 明日の記憶 | 荻原浩 | 2010/06/25 |
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またまた読んだこと無い方の作品を。
師範が利用している図書館は、地域センターみたいな小さなところということもあって、
単行本の蔵書はやや古めのものが多いんだけど、この本は比較的新しく2004年の作品。 ストーリーは、普通に働いていた50歳の男性サラリーマンが、 若年性アルツハイマーに罹患して徐々に記憶を失っていく、というもの。 記憶を無くして行く恐怖、そして家族に迷惑をかけるであろう将来、 そういうことを考えながら苦悩する主人公。 これがリアリティがあるというか、いつ自分が同じ立場になってもおかしくないわけで、 非常に身につまされます。 もし自分が同じ立場に置かれたら、何を心のよりどころにして生きていくんだろう、 と大変考えさせられる作品。 やっぱり健康が一番だよね、ワイン飲むのももう少し減らさないと・・・ と読んだ直後は思いますが、すぐ忘れちゃいます。師範もこの病気の初期症状か? なんて、病気の重さを考えたら軽々しく言えない気分。 | ||
| 88点 |
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明日の記憶
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| 光射す海 | 鈴木光司 | 2010/06/18 |
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鈴木光司という作者さん、知らない方でしたけど、後で知ったら映画で話題になった「リング」の作者の方みたいです。
といっても師範はその「リング」という映画を見たことがあるわけでもないんですが。 内容的には、自殺未遂で精神的障害を負った女性を中心に、 精神科医の不倫があったり、元彼のマグロ漁船でのトラブルがあったりと、 一見とっても取り散らかったようなストーリー構成だけど、 意外と違和感無くスイスイ読めます。 また、登場人物のキャラクターがハッキリしているんで、 「この人誰だっけ?」ってのが無く、もう記憶力が減退の一途を辿る師範にとってはありがたいです。 ちなみに、この小説の鍵を握るのが「ハンティントン舞踏病」という難病。 前々回読んだ幻の翼の「ロボトミー」といいコレといい、 知らないことが多いです。 というか、そういう一般人が知らないことを持ってこないと、 新たなミステリーは書きづらい、ということなのかなぁ。 というようなことは置いといて、結構楽しめる作品ではありました。 | ||
| 78点 | ||
| 活動寫眞の女 | 浅田次郎 | 2010/06/12 |
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結局選ぶ本に困ると浅田次郎を選んじゃいます。
「小説の大衆食堂」なんて自称されてますけど、この人の文章は判りやすくて入り込みやすくて、師範は好き。
確かJALの機内誌にエッセイを書いておられた(おられる?)と思うけど、
それもファンでした(です?)。 さてこの本のストーリーは、京都の撮影所を舞台に大昔に亡くなったはずの女優さんが幽霊で出てきて、 それに青年が恋をして・・・というもの。 魅力的な幽霊が、現実の人間と関わる話は、この人の大ヒット作「鉄道員(ぽっぽや)」 と相通じるものがありますな。 全体がかもし出す、優しくも物悲し~い感じもなんか似ています。 そういった意味では、ちょっと既視感はあったのが残念といえば残念。 というわけで、普通に面白い小説でありました。 やっぱりハズサナイよね、この人の作品は。 図書館には「プリズンホテル」という全4巻の長編があるけど、 それに手を出すか悩むところ。 | ||
| 76点 |
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活動寫眞の女
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| 幻の翼 | 逢坂剛 | 2010/06/04 |
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またまた知らない作家さんの知らない作品をジャケ借り。
こういう時って、たいてい本の厚さ(300頁前後)→短編集でないこと→扉の解説、
という感じで範囲を狭めていきます。今回もまさにそういう感じで手にした次第。 ストーリーは、公安関連の警察間を主人公に、 隣国や政界トップまで巻き込んだ巨悪を明らかにして・・・ というような内容。 でも、なんとなく大風呂敷を広げすぎというか、 設定に無理がある部分が多いような気がするんだよなぁ。 まるで映画化を意識したようなスリル満点の場面展開だけど、 反面地に足が着いていない感じ。 特に後半、「ロボトミー」という脳外科手術の話が中心になってくるんだけど、 そういう事実が過去あったことを知らない読者(師範)にとっては、 なんか非現実的な話に感じられてしまうわけで。 そういうとこがちょっと残念だったかなぁ。 あと、タイトルの意図するところもイマイチ掴めず。 この作品には前作があるみたいなんだけど、それを読んでないからちゃんと理解できないのかも。 だとすればタイトルでそう判るようにしてくれないと、であります。 | ||
| 73点 |
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幻の翼
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| 消えた女 | 藤沢周平 | 2010/05/28 |
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歴史モノの作家さん、藤沢周平氏の作品を読むのはこれで3度目。
歴史モノって、短編か、すっごい長編(のような短編の集合体)が多いので、
良い感じに長編って意外と少なかったり。
そんな中、この方の作品はボリューム的にちょうど良い感じであります。 ストーリーは、もと岡っ引きだった主人公が、知り合いに頼まれて人探しをする中で、 いろいろな事件に出くわして、という内容。 前半は結構リアルというか、なかなか犯人の手掛かりが掴めず地味な状態が続くんだけど、 後半になるとパパパーッと解決しちゃう印象。 なんか理由が飲み込めない部分あったり、 特に黒幕の命運があまりにあっけないというか、もったいない感じ。 なんだか、頁数に制限があったか、あるいは次回作に早めに着手したかったか、 そういうストーリー以外の理由でそうなっちゃった感じが否めなかったり。 とはいえハードボイルド歴史モノという感じで、なかなか楽しめました。 この作品もいわゆる続き物があるみたいなんで、再読候補であります。 | ||
| 77点 |
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消えた女
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| 氷河民族 | 山田正紀 | 2010/05/20 |
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久しぶりにSF小説を借りてみました。
作者は山田正紀という方、知らない作家さんです。
初版が昭和55年ということで、30年も前の作品であります。
そういう「昔のSF」って、将来像がヘンテコだったりして違和感ありまくりな場合も多いわけですが。 この小説の場合は、SFといっても未来の話が出てくるわけじゃないので、そういう違和感はあまりありません (といっても「地球は氷河期に進む」というのは懐かしいですな。今は「地球は温暖化する」ですから)。 全体的にSFというより、ちょっとSFチックなサスペンス物、といった感じ。 設定はなかなか面白く、内容的にも興味深く読めるんだけど、 なんか話の途中で起こる「事件」「アクシデント」の類がなんとなく唐突なのが残念。 『どうしてそこで殺されちゃうの』『どうしてそこで助かっちゃうの』ってのが、 最後の種明かしを読んでもなんかしっくり腹に落ちないんですな。 ともあれまずまず楽しめた作品でした。 こういう、「あまり荒唐無稽でないSF小説」ってのはなかなか良いかも。 といっても誰がそういうのを書いているのか知らないし、 少ない図書館の在庫からでは選びようがないのも事実ですが。 | ||
| 75点 |
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氷河民族
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| 愛を乞うひと | 下田治美 | 2010/05/13 |
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連休中も1冊借りていたんだけど、惜しむらくは既にココにも掲載済みの本でした。
ってかそういうのを避けるためにココに書いてるのに、全く効果なし。はぁ。
というわけで気を取り直して連休明けから読み出したのがこの一冊。
作者さんも知らない方だし作品名も始めて聞くものだし、というまったくランダムに借りたものであります。 タイトル的にはまた男女の恋愛モノ、それもまた不倫がどうのこうの・・・ というのを想像しそうだけど、実際は違ってこの愛のテーマは「家族愛」です。 というとほのぼのしてそうなんだけど、実際はかなり凄惨な虐待シーンがいっぱい。 そんな感じではありますが、内容的にはかなり面白く、グイグイッと感情移入させられる作品でありました。 | ||
| 80点 |
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愛を乞うひと
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| 求愛 | 藤田宜永 | 2010/04/23 |
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いきなりですが、小説における「XX賞受賞作品」は、
ワインにおける「XX賞受賞ワイン」よりも遥かに信憑性があると考えております。
というわけで、この小説は直木賞作家の藤田宜永による島清恋愛文学賞受賞作品であります。 ストーリーは、怪我でリハビリ中の野球選手(独身男性)と、同じく怪我でリハビリ中のピアノ奏者(既婚女性)が、 チチクリ合ったり相手のことを嫉妬したり、最後には・・・という内容。 そんなに内容的な重さはなくて、それなりに楽しめはするんだけど、 どうしても第三者的な見方になってしまうというか、入り込めないんだよなぁ。 なんかあまりに性に軽薄というか、モラルが無い点が特にね。 ・・・と、不倫小説に毎度感じる「感情移入できない」問題が残念。 大人の恋愛小説というと、どうしてこうも不倫ネタばっかりになっちゃうんだろ? そういった意味では、 先日優駿みたいなのは珍しいのかも。 | ||
| 74点 |
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求愛
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| 魔笛 | 野沢尚 | 2010/04/19 |
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過去、リミット、
深紅と読んできたお気に入りの作家、
野沢尚氏の作品。カバーの説明からは、新興宗教が絡んだの爆弾事件で云々といったような、
なかなかセンセーショナルでタッチーな内容が想像され、ワクワクして読み始めたわけですが・・・ これがとてもグッドな内容で、最初のワクワクが最後まで途切れませんでした。 設定も面白く、スリリングで、400ページ以上ある長編だけど全く飽きることがありません。 巻末の解説によれば、書き上げられた当時はあまりに内容的にヤバすぎて (新興宗教がらみの事件から日が浅すぎて)、 賞の選考から漏れたとか。そういうことも「さもありなん」と思わせる深い内容です。 いやー、これは楽しめる小説でした。 サスペンス/ミステリー/ハードボイルド、どのジャンルでも一級品ですな。 でも自殺しちゃったんだよねぇ、この作家さん。 そう思って読むと、ますます鬼気迫るものが感じられます。 | ||
| 92点 |
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魔笛
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| 優駿(上・下) | 宮本輝 | 2010/04/08 |
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間に大阪旅行が入った関係上、一ヶ月ぶりの更新であります。
今回借りたのは、宮本輝の優駿。吉川英治文学賞の受賞作品で、
映画かもされたベストセラー。
なんとなく2冊の厚さが2週間の通勤電車で読むのにちょうど良さそうだったんで、
あまり期待もせず借りましたが。 これがなかなか楽しめる作品でありました。 基本的に競走馬に関連する話がメインなんで、競馬好きだったらもっとたのしめるんだろうけど、 そういう知識抜きでも結構楽しめます。 競走馬の成長を軸に置きながら、人間模様あり恋愛ドラマあり企業策略ありで飽きさせない構成、 かつそれらがいい感じに繋がってて散漫な印象もありません。 あとこの作品、最初から映画化を意識してたんじゃないかと思われるくらい、 人物像のキャラが立っていて情景描写が巧み。 というわけで、上下合わせて700ページくらいある長編作品だったけど、最初から最後まで飽きずに楽しめました。 こういうのですよ、読みたいのは。宮本輝さんはリピート確実であります・・・ とか書いてたら、この人の作品以前も読んでました。 記憶力なし。 | ||
| 88点 | ||
| 夜に忍びこむもの | 渡辺淳一 | 2010/03/10 |
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渡辺淳一氏の作品は、以前「野わけ」という不倫をテーマにした作品を読んだことがあるけど、
この作品もまた不倫がテーマ。また、この人の作品で有名な「失楽園」もまた不倫がテーマだったと思う。
好きなんですかねぇ、不倫が。 さてさて内容はというと、妊娠したといって不倫相手を騙す女性と、それに翻弄される男性の物語なんだけど、 意外と面白かったかな。 不倫自体がテーマというより、不妊に関する現代の事情がテーマみたいなところもあったし。 でもやっぱり感情移入はできないですなぁ、真面目な師範には。 今や純愛小説の新しいものなんてのはないんですかね? | ||
| 77点 |
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夜に忍びこむもの
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| 金閣炎上 | 水上勉 | 2010/03/06 |
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金閣寺がお坊さんの放火によって消失、という事実は、以前何かの本を読んで知っていました。
というわけで、なんとなく既視感というか既読感があるような無いような・・・という感じで読み始めたわけですが・・・ 最後にあとがきを読んで、以前読んだことがあったのは三島由紀夫が書いた「金閣寺」であることが判明。 遠い記憶を呼び覚ますと、三島氏は放火をした主人公を中心にその心象風景を描いたのに対し、 この水上氏の文章は放火をした僧の周辺をくまなく調べてドキュメンタリータッチで描く、 という差があります。 三島氏の金閣と水上氏の金閣、どっちが好きかというと、今となっては良くわからんわけですが、 この水上さんのはちと重いというか、読み進めるのにパワーが必要ですな。 三島由紀夫というメジャー作家と同じ題材を捕らえるということで、 思いっきり気合の入った調査を基にして「どうた!」ってな文章なんでしょう。 | ||
| 66点 |
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金閣炎上
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| フランス料理の手帖 | 辻静雄 | 2010/02/25 |
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「安ワイン道場師範」でありますから、当然フランス料理には興味があります。
最近はあまり食べにも行けないけどね・・・ということで、
ちょっとでも食べた気になれれば良いな、と思い読んでみました。 内容的には、想像通り「フランス料理に造詣の深いおっさんの知識披露」。 だいたいの内容は理解できるけど、ソースの種類とか、一部わかんないところもあり。 そんなことより一番気になったのは(以下引用) <略>・・・どんなに高くてもいいから、いちばん古い酒を持ってこい、とイバリ散らすお客様があった。 挙句のはてに、こちらも若いから、それならというわけで1806年のシャトー・ラフィット・ロトシルド(ポイヤック)をあけて、 一本五万円なりを勘定書につけてさしだすと、・・・<略> まぁずいぶん昔の話だとは思うけど、良い時代もあったんだなぁ、と。 というわけで、ちょっと昔、まだ日本人にとってフランス料理なんかあまりなじみの無かった時代のお話。 それはそれで適当に興味深く読めましたとさ。 | ||
| 75点 |
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| コンセント | 田口ランディ | 2010/02/19 |
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またまた全然知らない書き手さんの作品を。
後で調べたところでは、この作家さんはインターネット上で6万人の読者を持つコラムニストとのこと。
だからといって文章が横書きになっているわけでもなく、体裁は普通の小説といった雰囲気ではあります。 ストーリーは、兄の衰弱死をきっかけに、 その理由とかを調べていくうちに精神的いろいろなことがあって、というもの。 なかなか面白くはあるんだけど、こういう精神的に「ちょっとヤバい人」をテーマにするのって、 ややズルい気がするんだなぁ。 その行動に誰もが納得する明確な理由が要らないから。 あと、こういう今風のストーリーに出てくる今風の女性主人公って、 なぜかみんなこうもビッチ、というか尻軽女なのもなんだかねぇ。 ・・・と、批判めいたことを書いてはおりますが、 小説としては結構楽しめました。一箇所だけ背中がゾクゾクっとするところもあったし。 ただ、また借りるかと問われれば、 似たようなテーマ(どうもこれは「三部作のうちの一冊」という扱いらしい)であればもう結構、かな。 | ||
| 81点 |
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コンセント
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| 寒椿 | 宮尾登美子 | 2010/02/15 |
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1年ちょっと前に読んだ「鬼龍院花子の生涯」の作者、
宮尾登美子氏の作品。女流文学賞だったかの入選作品とのこと。 ストーリーは、高知の芸妓子方屋で幼い頃から一緒だった4人の女性の生涯を、 それぞれに綴った連作。 「鬼龍院花子の生涯」もそうだったけど、 この人の女性を見る目の鋭さ/冷徹さは尋常じゃないですな。 なんか小説というよりドキュメンタリーを読んでいるような気分になります。 だもんで、大きな物語やサスペンスがあるわけじゃなく、 ストーリーが淡々と進んでいくんで、エンターテイメント性はちょっと欠ける気がしますが。 好き嫌いは置いといて(師範は「やや好き」くらい)、 非常に個性のある文章を書く人だなぁ、と思いますな。 内容が濃くて重いんで、ページ数の割には読むのに時間とパワーを必要とします。 | ||
| 78点 |
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| 甲賀忍法帖 | 山田風太郎 | 2010/02/04 |
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この作品は、先日読んだ秀吉妖話帖と同じ、
山田風太郎氏の作品。
こうやって「読んで記録して」を続けていると、
自分の好きな作家さんというのがだんだん判って来て、本選びが楽になりますな。
ただ、この人の作品は師範が行ってる図書館にはもう無さそうなのが残念だけど。 さて内容的には、二組(伊賀と甲賀)の忍者グループ10名ずつが、 お互いを忍術で殺しあう、というストーリー。 前回の「秀吉妖話帖」よりも更に荒唐無稽、 史実なんてあってない様な世界だからか、まったくもって漫画のような内容です。 そして、前回のよりもお色気シーンは若干控えめ。 娯楽小説としては良く出来ていて、飽きずにスイスイ読めるけど、 なんか「感動」とか「共感」とかは全く別の世界。 しっかり濃いけど飲みやすいチリ産の安カベルネ・ソーヴィニョンみたいな本です(って突然のワインネタ)。 | ||
| 80点 |
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甲賀忍法帖
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| 深紅 | 野沢尚 | 2010/01/29 |
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以前、リミットという作品を読んで、
なかなか面白いなと感じた作家さんの別の作品。吉川英治文学新人賞受賞とのことで、
まぁハズさないだろうと思ってましたが。 内容的には、殺人事件の被害者家族である一人の女性と、 加害者家族である一人の女性が繰り広げるサスペンス。 巻末の解説にも書いてあるけど、前半部分の緊張感は凄い。 とてもリアリティがあって、まずグイグイと引き込まれます。 その後も、ややテンポはゆったりになってくるけど、 正気と狂気の境目を主人公らがさまよっている感じが伝わって、大変面白く読めます。 欲を言えば、ラストがあまりにアレレ?って感じなのと、 いくつか最後まで判らない(子供らまで殺した動機とか)部分があって消化不良に終わる感はあるけど、 総評としては「かなり満足」でありました。 | ||
| 89点 |
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深紅
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| 池袋ウエストゲートパーク | 石田衣良 | 2010/01/21 |
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この作者の作品は、このページを始めた頃「娼年」という作品を読んでます。
この小説がデビュー作とのこと。
デビュー作って大抵気合が入っているわけで、まずはそれを読んでみよう、と。 内容的には、池袋の街を舞台に一人の青年がいろいろと活躍する、というストーリー。 設定自体はありがちなのかもだけど、まずなんといっても文章のテンポが良くて読みやすい。 装飾的な情景描写も適度だし、登場人物のキャラが立っているので、 ストーリー自体をきちんと追えるのも良し。 なんだか格闘モノの人気マンガを読んでいるような、そういう気持ちでサクッと読めます。 この石田衣良さんという方、前回と今回の小説を読んだ印象から「若い人かなぁ」と思ってたけど、 実際は師範よりも5つも上の方なんですな。 こういう若い文章を書けるってのは凄いなぁ。 ちなみに巻末の(他の方による)解説は、とっても上から目線で物知り自慢。 せっかくの良い作品を台無しにされてなんだか読んで損した気分。 読まない方が吉です。 | ||
| 83点 |
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池袋ウエストゲートパーク
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| 光る壁画 | 吉村昭 | 2010/01/14 |
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この作者の作品は、昨年の今頃「高熱隧道」という作品を読んで、
スリルとリアリティがあって大変面白く読めた記憶アリ。
ということで、別の作品を借りてきました。 内容的には、胃カメラを開発した人々の実話を基にしたストーリー。 あとがきによれば、主人公の私生活部分は創作らしいけど、それ以外はほぼ実話とのこと。 だもんで、とってもリアリティがあって、荒唐無稽な感じは一切無く、 同じくモノ造りをする身としても違和感なくワクワクしながら読めます。 ただ、胃カメラというモノ自体が今では当たり前かつ仕組みが単純だからか、 主人公らが解決しようとしている課題の解決法が見えちゃうわけで、 「そう来たかぁ」というビックリ感が無いのが残念。 また、主人公の私生活部分って、本筋にはほとんど関係ないんだけど、 なんとなくそっちも(良い意味で)気になってしまうんで、作品としては成功している感じ。 ・・・というわけで、前回ほどの「グッと来る感」は無かったけど、 これはこれで楽しめました。 ただ、この「光る壁画」というタイトルはちょっとどうだろ? 電球の光を当てて胃の内壁を撮影する物語だからそうしたんだろうけど、 なんかちょっと違うような気がしないでもありません。 | ||
| 86点 |
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光る壁画
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| 秀吉妖話帖 | 山田風太郎 | 2010/01/07 |
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年末年始は実家に帰れば本はたくさんあるんで(全然読まなかったけど)、
コチラに帰ってきて以降の一週間、通勤電車で退屈しないようにと借りた一冊。
秀吉関連の話は、先日ココで読んでるんで、
別の視点の話も面白かろう、と。 内容的には、まるで安手のちょっとエッチなVシネマの台本を読んでいるような、 やや荒唐無稽だけどスイスイ読める娯楽歴史小説。 それにしても秀吉っー人はどれを読んでもの好色漢な書かれ方をされてますな。 うらやましい限りで。 内容的には決してグッと来るような話じゃないけど、 これくらいの荒唐無稽具合とこれくらいのお色気具合は、 単純なオッサンたる師範が読むにはちょうど良いようで、とても楽しく読めましたとさ。 | ||
| 86点 |
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秀吉妖話帖
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| 天国はまだ遠く | 瀬尾まいこ | 2009/12/22 |
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同時に借りたもう一冊が厚めの本だったんで、「薄いやつ軽いヤツ・・・」
ということで選んだのがこの本。
著者の瀬尾まいこさん、知らない方であります。カバーの著者紹介を読むと、
師範よりも10歳ばかり若くて結構可愛らしい方みたいで、
更にWikiで調べたら現役の中学校の先生らしいですな。 内容的には、自殺しようと思いつめた女性が田舎の空気や人情に触れて思い直す、 という単純?なストーリーなんだけど、これがなかなか良いんですわ。 なんだか、教科書に載っているいろいろな小説の良い部分を集めたような、 すがすがしくて判りやすい文章で。 薄い本ではあったけど、スイスイ読めて一日で読み終わり。 読後感も良くて、なかなかナイスな小説でありました。 | ||
| 85点 |
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天国はまだ遠く
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| 連鎖 | 真保裕一 | 2009/12/21 |
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・・・というわけで、前回読んで結構面白く、
他も読んでみたいと感じた真保裕一氏の作品をまた。
この作品は「第三十七回江戸川乱歩賞受賞」らしいので、きっと更に面白いはず、と。 前半部分はかなり好調。前回読んだのと同様、登場人物の個性ははっきりしているし、 「これからどう展開していくんだろ?」という期待感でスイスイ読める。 でも、後半がちょっとね。まず自殺に見せかけるトリックがあまりに無茶。 あと、なんかいろんなことを詰め込みすぎで、 いったいどこがどう繋がっているのか、読んでてこんがらがっちゃいます。 師範の理解力が乏しいせいかとも思ったけど、 後書きに、賞の選者から似たような評価を貰ったらしいんで、師範だけでもないみたい。 なんかもう少し内容を絞って、シンプルに書いてくれればもっと楽しめたのに・・・と思っちゃいますな。 まぁそれじゃ「連鎖」というタイトルにはならないんでしょうけど。 | ||
| 72点 |
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連鎖
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| ガラスの階段 | 津村節子 | 2009/12/10 |
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この作品は、まったく知らない作家さんだし聞いたこと無い作品だし、
加えて本のカバーをめくった部分によくあるあらすじもなくて、
まったく「手に取ったものを借りた」状態。 ところがどうしてこれがなかなかグッと来る作品でした。 タイトル通り、「ガラスの階段」を歩む女性のストーリーで、 結末はとても報われない感じ。 でも、ヒタヒタと迫ってくる精神的な恐さとかがビシッと書き込まれていて グイグイ引きこまれてあっという間に読み終わりです。 あまり文章読解力の無い師範だから、 変に含みを持たせたものとか話の尾ヒレが多いものとかじゃなくて、 こういうストレートな作品が読みたいわけです。 津村節子さん、この人はリピート確実。 | ||
| 87点 |
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ガラスの階段
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| 発火点 | 真保裕一 | 2009/12/08 |
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久しぶりに600ページ弱の大作に挑戦。真保裕一氏の作品は、この乱読日誌では初登場だけど、
確か以前に読んだことあるはず。でも何を読んだかを覚えていない。
こういうことを無くすために自分の参考にしかならないこういうページを作っているわけであります。 ストーリーは、犯罪被害者として好奇の目にさらされて来た青年が、 いろいろな出会いを経ていっぱしのオトナになっていく、という内容。 読み始めた時点では、登場人物像が明確で、余計なことがあまり書かれていない文体も良くて、 スイスイ読めて「これからどうなっちゃうんだろ?」とワクワク感が感じられて、大変好印象。 でも、半分過ぎたあたりからちょっと全体に冗長な気がしてくるのと、 結末がちょっと期待ハズレ。 動機がなんだか弱い気がするんだよなぁ、そこが残念。 とはいえなかなか面白く読めました。文体とか文章運びは好きな感じなんで、 他の作品を読んでみたくなります。 | ||
| 79点 |
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発火点
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| トパーズ | 村上龍 | 2009/11/28 |
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師範の読書生活は、通常2週間に2冊の文庫本を借りるんだけど、
来週末は予定でふさがっていることもあって、今週は1週間に2冊。
ということで、200ページ程度の薄手のものを、ってことで、選んだのが下の「伊豆の踊り子」、
もう一冊がコレ。
昔"Ryu's Bar"だかの番組でお顔はよく拝見していた作家さんだけど、
著作を読むのは初めて。 で、感想から言うと、『変な趣味の男と頭の弱い女たちを主人公にした散漫なエロ小説まがい』としか感じられないな。 これがベストセラーだったとのこと・・・およそ信じがたいけど、 もしそうだとすると師範には日本人の感性が理解できなかったりします。 もちろん、全然ダメってことじゃなくて、 そこここに感性の鋭さを感じる部分があったり、 風俗嬢という存在を通して現代社会の俯瞰を試みているんだろうとは思うけど、 状況だけ提示しておいて主張が感じられないから、 読者は傍観者でしかいられないのね。 あと、文章にしても、 句読点を使わずダーッと書かれてたりするんだけど、そういうの読みにくくて嫌いです。 というわけで、これまた読んで損した一冊。 なんだかここんとこハズしてるなぁ、と。 まぁ出来損ないのエロ本と思って読む分には暇つぶしにはなったりするけどね。 | ||
| 42点 |
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トパーズ
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| 伊豆の踊り子 | 川端康成 | 2009/11/26 |
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ご存知ノーベル賞作家である川端康成の、誰でも知ってる名作であります。
でも、師範は読んだこと無いし、映画も見たことが無いので、新鮮な気持ちで大きな期待を胸に読んでみることに致しました。 まず、表題作の「伊豆の踊り子」は、 『んー、なるほどねぇ。確かに若い頃、短い間に凄い勢いで人を好きになることあるよね』とは共感したけど、 それ以上胸に迫る感動なし。 以降の「温泉宿」はなんだか言いたいことがよくわからないし、 その次の「抒情歌」に至ってはまるで理解不能。 こりゃダメだと思いつつ、最後の「禽獣」は意外と面白く読めました。 で、トータルの印象はというと「なんか散漫としていて良くわからん短編集」ということに。 加えて、三島由紀夫が書いている巻末の解説が更に気取りまくってて最悪。 まぁそういう文章の良さが判らんようでは師範は小説家や評論家にはなれませんな。 | ||
| 38点 |
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| 黄金を抱いて翔べ | 高村薫 | 2009/11/20 |
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というわけで、↓の作品があまりにダメダメだったんで、やっぱり師範は日本人、
日本人作のサスペンス物で口直し。作者の高村薫さんという方の「日本推理サスペンス大賞」受賞作。 ストーリーは、普段は普通に働くアングラな男たちが、銀行から金塊を奪うべく計画、実行。 その過程でいわゆる「北」やら何やらが絡んでくるという、サスペンスの王道。 ちょっと暗喩的な表現が多くて、脳ミソの回転が鈍ってきた師範には人間関係がいまいち理解できなかったりするけど、 それでもハラハラドキドキのサスペンス感は十分に楽しめる。 この作者は、女性で国際基督教大卒、外資系商社勤務の経験を持つ方らしいんだけど、 電気設備とか爆弾とか、そういう男くさいことの記述がえらく詳しい。 手を抜かずに調査取材して書いているなぁ、というのがビシバシ伝わります。 ICUの卒業で外資系勤務で、となると、普通は英語とかそっちの文化とか詳しくて、 そういうことを詳細に書きたがりそうなもんじゃないですか、でもこの作品は一貫して男くさくて、それがまた好印象。 飽きさせないストーリー運びで、なかなか楽しめる一冊でありました。 | ||
| 82点 |
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黄金を抱いて翔べ
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| Saltimbocca 死を招く料理店(トラットリア) | ベルンハルト・ヤウマン | 2009/11/16 |
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外国の小説ってほとんど読まないんで、たまには読んでみるか、と。
料理とミステリー、どちらも好きなんでそう大ハズシはしないでしょう、と思ったんだけど・・・ これがね、ホント読み終えるのが苦痛なほどつまらない小説でした。 まず、本筋に関係ない余計な記述が多すぎ。「多すぎ」なんてもんじゃなくて大半がそう。 西洋ではこれがウィットに富んだ文章なのかもですが、島国日本人には大変苦痛。 あと、内容もイマイチ。主人公である推理小説家が書く非現実世界と、実際に主人公が住む現実世界が絡み合う内容は、 なかなか着眼点は面白いと思うけど、いかんせん同じ名前の人物が登場するとわかりにくい。 あと結末が最悪。非現実側は「ふーん」と納得はするけど、現実側は「えぇ?そんな終わり方?」って感じ。 とにかく読んで損した。あーあ、これでまた外国のに手を出すことはしばらくないだろうなぁ。 昨年読んだアガサ・クリスティとかこれとか、なんかハズレばっかり。 | ||
| 23点 |
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| 王者の妻(上・下) | 永井路子 | 2009/11/06 |
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ここんとこ歴史小説を読んでいなかったんで、歴史モノ狙い。
でも、あまり歴史歴史した文体のヤツって気分でもないんで、
比較的口語体に近そうな中からコレをチョイス。 そしてこれが非常に面白く読める歴史小説でありました。 基本的に史実に基づいて書かれているようで、 事実は小説よりも奇なり、でありますな。 師範が小学生くらいのころ、 NHKの大河ドラマで豊臣秀吉の妻を主人公にした「おんな太閤記」という番組があったけど、 そのおぼろげな知識があったからか、登場人物とかがすんなり頭の中に入っていって大変読みやすく、 かつ一歩踏み込んだ内容がとても興味深うございます。 内容もさることながら、 平易な文章で、ときどきト書き的に解説が入って、というタッチは非常に読みやすいです。 永井路子さん、またあったら借りてみよう。 | ||
| 90点 | ||
| あざやかな退任 | 高杉良 | 2009/10/20 |
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この作者の作品は、
以前会社蘇生という企業小説で読んだことある方。
これまた帯によればそういう内容っぽいんで、リアリティのある企業小説がまた読めれば良いな、と期待して。 で、結論から言うと、今回も非常に楽しめました。 解説にも書いてあるけど、導入部分とタイトルとでストーリー自体は判っちゃうわけ、 それでも面白い(解説には「刑事コロンボの面白さ」と説明されている)。 企業のトップ間の丁々発止ってのはこんな感じなのかぁ、と大変興味深く読めます。 あと、最終的には勧善懲悪的な結末なわけで、 それもまた読後感として収まりが良いんですな。なんか時代劇を見ているような感じ。 もちろん、実社会でこんな「創業者の遺志」に縛られる人事/経営ってのは御免こうむりたかったりしますが。 ともあれやっぱりグイグイと引き込まれる作品ってのはリアリティがあるよね。 この作者の作品は(貸してくれる施設に)あと数冊あったように思うんで、 コンプリートしちゃいたい気分。 | ||
| 85点 |
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あざやかな退任
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| アイ・アム・ア・ウーマン | 谷村志穂 | 2009/10/16 |
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この作者の作品は、乱読日誌を書き始めたころ、
海猫(上・下)という長編を読んでます。
他の作品も読んでみたいと思ってたんで、借りてみたわけですが・・・ とにかく内容がねぇ。典型的「ホントのオレはビッグなんだ」な不良黒人と、 それになんだかんだい言いながら付いていく今風の日本人女性の、思いっきり爛れたラブストーリー。 なんだかとってもありがちなシチュエーションなんだけど、 正直言って唾棄したくなる世界。 もちろん、登場人物にモラルが有る/無いが、作品の良し悪しを左右するわけじゃないんだけど、 なんか、馬鹿げた価値観に付いていけないというのが正直な感想。 前回読んだ作品の感想で、『「田舎の人はそういうこと(いわゆる男女関係)しか楽しみが無い」と言われている感じがする』 と書いたけど、この作品では都会の人もそういうことしか楽しみがないみたいに書かれているわけで。 まぁ一貫してはいるけど、なんかね。 | ||
| 69点 |
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アイ・アム・ア・ウーマン
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| 雲から贈る死 | 夏樹静子 | 2009/10/08 |
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夏樹静子という作家さん、名前は聞いたことあります。
でも、推理小説とかミステリーとかそういうのが得意な人じゃなかったかしら・・・
というような極めてぼんやりした認識しかありません、ハイ。 読んでみると、ミステリー物にありがちな『そんなん有り得ねぇー』みたいな無理な展開も無く (一部やっぱり偶然に頼っているようなところはあるけど)、 それでいてハラハラするようなストーリーで、スイスイと読み進められます。 ただ、なんというか泥臭い人間模様みたいな、 そういうのが無くてグイッとあと一押しが足りない感じではあったけど。 ともあれなかなか良く出来ていて楽しめる作品だと感じました。 やたら荒唐無稽とか、知識自慢が鼻につく感じとか、字数を増やしたいだけのような無意味な情景描写とかが無いのは良いね。 | ||
| 79点 |
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雲から贈る死
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| 行きずりの街 | 志水辰夫 | 2009/10/05 |
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またまた知らない作者の小説を。裏表紙には「日本冒険小説協会大賞受賞作」とあるので、
さすがにこういう評価は「ワインコンクールX賞受賞」よりはずいぶん信憑性があると思い読んでみることに。 前半は、ストーリーの進み具合が遅くて、なんかかったるいペースだったけど、、 後半はちょっとテンポ良すぎというか、ガガーッと場面が変わってちょっと落ち着き無い感じ。 あと、この手の小説はどれもそうなんだけど、なんか偶然の遭遇が多すぎません? そういう部分で感情移入を阻害するというか、『そりゃ有り得ないっすよ』と一歩引いちゃうのが残念。 とはいえ前半から後半にかけて大きく盛り上がって、読後感は悪くない作品。 あと、独特の比喩が上手いなぁと思うのと、 女性との関わり方の描写もグッと来ました(エロティック系ではありませんけど)。 | ||
| 76点 |
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行きずりの街
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| 快楽の動詞 | 山田詠美 | 2009/09/25 |
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作者の山田詠美という方に対しては、この業界をほとんど知らない師範でも
「なんとなくエロで背徳な小説を書く人」という認識はありました。
そういうの読むのは嫌いじゃないし(爆)、
サラッと読めそうな短編集で、手頃な厚さだったんで借りてみた次第。 で、読んだ結果はというと、もちろん読む人によっていろいろな受け取り方がありましょうが、 少なくとも師範にとっては「読まなきゃ良かった、まったく時間のムダ」レベルの駄文。 『性をサラリとナチュラルに書ける自然体なワタシが、 格式ばった文学界やステレオタイプな性を独自の視点でバッサリ切っちゃいます』 ってなところなんだろうけど、なんか鼻持ちならんというか悪意に満ちているというか、 読んでるハナから「判ったからもう良いよ」と言いたくなる感じ。 この作者さん、なんか嫌なことでもあったんですかねぇ。 いわゆる作家さんの業界から爪弾きにされているとか、コテンパンに批判されたとか。 なんだかとても読後感の悪いエッセイで残念。 | ||
| 32点 |
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快楽の動詞
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| 過労病棟 | 高任和夫 | 2009/09/17 |
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全然知らない著者の作品を、ほぼ行き当たりばったりでタイトル借り。
これがまた図書館利用の醍醐味でもありますが。
調べたところ、主に企業小説を中心に書く作家さんで、
三井物産の社員と作家の「二足のわらじ」で著作していた方らしい。 ストーリーは、銀行の支店長として働いていた主人公が、 突然の倒れて入院して、自分の人生についていろいろ考える、というもの。 それなりに面白くはあるんだけど、もう少し銀行内部の事情に突っ込んで欲しいし、 主人公の心象を表したような情景描写がちょっとうざったいし、 結末があまりに「・・・で?」ってな印象があって、なんとなく欲求不満で終わるのが残念。 あとがきによれば、この作者も主人公と同じ病気で倒れた経験があるらしい。 なるほどね。そういうのを書きたい心理はとても理解できるけど、 出来上がった小説が魅力的かというとちょっと別。 本来商社マンだった人らしいんで、そっち系の物語のほうが面白いかも。 | ||
| 72点 |
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過労病棟
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| 「No」と言える日本 | 盛田昭夫/石原慎太郎 | 2009/09/13 |
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その昔、大変有名になった経済エッセイ。もうあれから20年経つんですな。
結局ちゃんと読んだこと無かったんで、子供らが「こどもログハウス」で遊んでいる間の暇つぶしにと借り手読んだもの。
1時間ちょっとあれば読み終えられます。 で、いきなり内容総括すると、 『20年前の、まだ自国の技術を妄信していた日本からの、 ちゃんと現状認識はできていないけどいくらか正論を含んだ米国との国交批判』といったところかな。 ここで批判されている20年前の米国同様、 日本でも物作りや技術を軽視して、あっという間にアジアの中で埋没する地位になるとは、 ご両人も想像つかなかったことでしょう。 なんだか懐かしいな、日本も良い時代があったんだな、 と遠い昔を想うような気分になるビジネス書。 | ||
| 70点 |
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「No」と言える日本
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| 敦煌 | 井上靖 | 2009/08/26 |
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ここんとこ週末は九州に帰省したり軽井沢に行ったりで、
いつも本を借りているコミュニティ・ハウスに行く機会がなかったんで、
道場のわずかな本棚から師範代所有/師範は未読の本から選んだのがこの本。 タイトルから受ける勝手な先入観で、 中世中国の文化みたいなのが悠々と紹介される物語かと思っていたら、 どちらかというとチャカチャカと忙しく戦争している中国が舞台でした。 それはそれとして、物語としては結構興味深い内容で、 人名や文章が難しくちょっと読みづらい文章ではあったんだけど、最後までスーッと読めました。 ・・・って、なんだか小学生の読書感想文以下の文章だな。 でも、ここに内容書いちゃうのもどうかと思うしね。 まぁ比較的メジャーな小説だし、そもそもココ誰も見てないページだろうから、 ネタバレの心配する必要なんて無いんだろうけど。 | ||
| 78点 |
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敦煌
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| 楢山節考 | 深沢七郎 | 2009/08/07 |
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楢山節考、いわゆる姥捨て山の話ってのは知っておりました。
200ページ以下の薄い本だし、短編集なんで楢山節考以外の物語りもあるんで、
「黒革の手帖」を読み終わったあとの場つなぎとして、なんとなく借りてみました。 一本目の「月のアペニン山」・・・なんだかとっても謎な結末。 最後に「サスペンスの練習に」とある。 ってこれ練習?そんなん出版しちゃうの? 二本目「楢山節考」、当然有名なだけあって迫力と読み応えのある物語。 三本目「東京のプリンスたち」・・・なんか何が言いたいのか不明。 最後の「白鳥の死」・・・正宗白鳥氏との親密な交流を自慢したかったのでしょうか? というわけで、表題作以外は全くグッと来ない内容で、 たった200ページ弱でも読み終えるのがやや苦痛。 素人読書家な師範にとってはもっとシンプルに訴えてくる小説の方が良いようで。 | ||
| 53点 |
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楢山節考
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| 黒革の手帖(上・下) | 松本清張 | 2009/08/05 |
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推理小説家としてあまりにも有名な松本清張氏によるサスペンス物。
なんかTVドラマ化とかもされていたと思うけど、
幸い師範はそのドラマを見ていないんで、純粋にストーリーを楽しむことができます。 で、これが大変面白うございました。 「したたか」とか「生き馬の目を抜く」ってな感じで、 バンバンとのし上がっていく主人公、でもちょっと調子に乗りすぎじゃない? と読む側が思い始める頃から風向きが変わって、最後はなかなか壮大なオチ。 松本清張さん、やっぱり有名なだけのことはあるな、と。 推理小説って、頭を使うのが面倒だったりするんで(ってどんだけモノグサ)、 こういうサスペンス物みたいなのでも楽しませてくれるのは大歓迎であります。 | ||
| 88点 | ||
| 一茶 | 藤沢周平 | 2009/07/24 |
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この作者の歴史小説は、以前コレを読んだことがあり、
歴史モノとしては平易な文章でとっつきやすかった印象あり。
その方の書かれた小林一茶の伝記小説がコレ。 まず、師範は小林一茶を大きく誤解しておりました。 飄々とした作風の俳句が多いんで、 俗世間から離れた徹底的な風流人だと思ってたら、全く違うんですな。 貧乏で、俗物で、厚かましくて、とても人間くさい人物だったもよう。 その心境としては、今に生きる我々にも通じるものがあって、 グイグイッと思いっきり感情移入させられる作品。 こういう、知的好奇心がくすぐられ、かつ感情移入ができる小説って好きなんですな。 基本的には伝記なんだろうけど、とても読みやすく書かれています。 読んだこと無い人/小林一茶は「やせがえる・・・」の句ぐらいしか知らない人(読む前の師範)にはお薦めであります。 | ||
| 82点 |
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一茶
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| 怪笑小説 | 東野圭吾 | 2009/07/15 |
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短編より長編の方が満足度が高い、と判っちゃいるんですが、
やっぱりパッと借りてパッと読むとなると短編に手が伸びちゃうわけで。
というか、師範が本を借りるコミュニティ・センターには短編の在庫が多い印象。
世の中の単行本の比率がそうなっているのかな?
ともあれ今回借りた短編集は、元電気メーカーエンジニア、現ミステリー作家である東野圭吾氏の作品。 読んでみると、まぁ内容はタイトルから想像されるように良くも悪くも軽くて浅い短編集、といった感じ。 星新一からSF色を抜いて現代風に色付けした、という感じかな。 それにしても「怪笑小説」というタイトルはどうだろ? こういう、「笑」とか「ユーモア」とかがタイトルにあって、笑えた作品って無いんだけど。 とはいえまぁまぁ楽しめる作品で、会社の行き帰りの電車3日で読み終わり。 巻末に本人による各作品の解説が付いているんだけど、 それがやたらマジメなのが逆に面白かったり。 本職?はミステリー作家な人らしいんで、今度はそういうのを借りてみよう。 | ||
| 71点 |
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怪笑小説
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| 葬った首 | 清水一行 | 2009/07/09 |
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これまで読んだ中で、
コレが好印象だった作家さんの短編集。
いわゆる社会モノに加えて、推理小説的な作品も収録。切れ味鋭い短編が読めるかと期待したんですが・・・ やっぱり短編ってのは難しいのかもね。 複雑に絡み合った人間模様みたいなのを表現するには当然ながら字数が少なすぎて、 事件の一部分だけを切り取るような格好になっちゃうんで。 そういう作風がメインの人なら良いんだろうけど、 やっぱりこの作家さんはグイグイとストーリーを書き上げていく作品の方がグッと来るわけで。 短編、電車で読むには切どころが良くてつい借りちゃうんだけど、 読んだあとの満足感という意味では長編にはかなわないなぁ、と。 | ||
| 72点 |
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葬った首
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| 海を抱く BAD KIDS | 村山由佳 | 2009/07/05 |
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師範と年齢も近い村山由佳という方の作品。
主人公であるサーファーの男子高校生と優等生の女子高校生、
それぞれの視点で交互に語られていく恋愛小説。 前半は、「あぁまた『ノルウェイの森』みたいな変人の恋愛物語かよ」に思えたんだけど、 話が進むにつれ彼らの心情が理解できるようになっていき、 読み終わりにはグッと心を掴まれているという、なかなか興味深い読後感。 女性の作家さんなんだけど、若い男性の心理をよく掴んでいるなぁ、と感心する部分もあったり。 ちなみにこの本で、一番心にグサッと来たのが、 主人公男子高校生の父親が癌で亡くなるシーン。 変な感覚かもだけど、父の死の前にオロオロするこの主人公がちょっと羨ましかった。 これを読んで、2年前師範の父が他界した時を思い出した。 この本に出てくる父親と違って、あれこれ言わない父だったけど、自分は何も言わな過ぎた。 もっとキチンと父の死に向き合えば良かった。 遠くに住んでいることを言い訳にせず、いい歳して照れたりせず。 | ||
| 87点 |
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海を抱く BAD KIDS
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| 地球の落とし穴 | 広瀬隆 | 2009/06/26 |
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『続発する怪事件の裏に潜むトリックを解き明かす、驚嘆のノンフィクション・エッセイ』
という本の裏表紙に書かれた紹介に惹かれて借りたもの。
前回のバカの壁に引き続き、
いわゆる識者のエッセイ。 読んでみると、やや散漫ながら掘り下げは深くて、「なるほどねぇ」と感じるところは多い。 ダイアナ妃まわりの人間関係とか、米国軍需産業/化学産業の周到なビジネス・プランとか、 知らなかったことがいくつか知れてそれはそれで大変興味深い。 でもね、この人の『昔は良かった/今はダメ、なんでもかんでも文明否定』 なスタンスは読んでて正直ちょっと鬱陶しい。 警鐘を慣らすのは大切だと思うけど、その警鐘が鳴りっぱなしでうるさく感じる。 また、『最近の世の中は・・・』的な前提がどうも師範は好きじゃなくてね。 師範の感覚では、なんだかんだ言って現代の日本は「有史以来最も良い時代」だと思っているから。 (外部リンクだけど)「反社会学講座」のこの説の方がしっくり来る。 ちなみに、上記「反社会学講座」に『戦後最もキレやすかったのは、昭和35年の17歳です。 』 と書かれていて、それって1943年生まれ。 で、この本の作者、広瀬隆氏も1943年生まれ。 やっぱりキレやすい人っぽい文章だもんね、となんだか納得。 | ||
| 69点 |
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地球の落とし穴
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| 特報社会部記者 | 島田一男 | 2009/06/18 |
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例によって手当たり次第に読む本を選ぶわけだけど、
この本もまさに「ジャケ借り」。
都会の高層ビルの夜景写真を背景に腕組みするキチンとスーツを着た男性、
といった感じのモダンな表紙なんで、
キレ者の新聞記者が鋭く社会をえぐっていくようなストーリーを期待したのですが・・・ まず拍子抜けなのは、登場人物の会話がとっても「べらんめぇ調」なこと。 なんだか落語みたいな雰囲気で、少なくとも表紙のイメージとは正反対。 それに加えて、それぞれの事件が短編で突っ込みが浅く、 トリックや動機があまりに薄っぺらいこと。だいたい犯人想像ついちゃうし。 正直言って、読む前の予想からは大きく期待ハズレ。 解説によれば、やっぱりえらく古い時代の作品。それにこの表紙はナシだよね。 電車通勤のヒマ潰しにはまずまずだけど、先を先を読みたくなるというより、 読み終えるための義務感で読み進めている感じ。 | ||
| 61点 |
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特報社会部記者
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| バカの壁 | 養老孟司 | 2009/06/11 |
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いつもは文庫本のコーナーばかりを見ていたんだけど、
ちょいと新書版のところに目を移すと、「新書」ってだけあって?新しめのタイトルが並んでいることを発見。
・・・って発見てのも大げさですが。
その中で見つけたのがコレ。一時期流行ってましたよね、この本(と思って調べたら大ベストセラーだったようで)。
「バカの壁」とはいったい何か、興味があって借りたわけですが・・・ 結果的に、著者の得意分野であろう脳の構造と行動の関係が書かれている部分(まん中あたり)は大変興味深い。 その前後にある、その知見をベースに社会科学に結び付けている部分は、面白くはあるけどなんだか胡散臭い。 こういう、ある分野で業績をなした人が、 その知識の上から見下すように社会科学(たいていの場合は社会批判)するのって、 なんかこうグッと心に訴えてこないんですな。単なるヒネクレかもですが。 というわけで、脳関連の部分が80点、それ以外の部分が70点、文章量に応じて点数つけると73点。 それに『こういう扇動的なタイトルだとウケるでしょ』ってあざとさが見えて2点減点 ・・・まぁ普通の「カシコイ人のエッセイ」でした。 | ||
| 71点 |
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| 会社蘇生 | 高杉良 | 2009/06/04 |
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ここまでいろいろと読んできて、やっぱり師範は現代の経済小説みたいな、
リアリティのある作品が好きみたいな気がする。
というわけで、図書館で裏表紙の解説?を眺めつつ選んだのがコレ。
『商社再建に賭ける男たちの感動の長編!』らしい。 会社更生法適用とか、聞いたことはあるけど実際は知らない会社再建のプロセスとかを、 物語を通じて知ることが出来るのは面白い。 でも、物語としてはちょっと出来すぎというか、上手いこと行き過ぎでストーリーが単調なのが残念。 あと、主人公の弁護士さんが凄い手腕だと周りから賞賛されまくってるんだけど、 読む側からしたら「大したことしてないんじゃね?」と思えるんだよなぁ。 特に奇策とか目からウロコの行動があるわけでもなく、 そんな程度のアクションでホントに倒産会社を再建できるの?と感じてしまう。 とはいえなかなかリアリティがあって、面白い作品ではありました。 作品としての出来はともかく、師範はやっぱりこういう系統の内容が描かれているのが好きみたい。 | ||
| 72点 |
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会社蘇生
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| 頭の中がカユいんだ | 中島らも | 2009/05/26 |
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「中島らも」という方、破天荒な生涯を送り酒に飲まれて亡くなった方、という認識はあったけど、
実際のその著作もそれ以外の作品も目にしたことが無かったわけです。
というわけで、図書館の本棚にその名を見つけて、同じ酒飲みとしてちょいと読んでみようかな、
と思ったわけです。 さてさて読んでみると、表題作はまぁ想像通りというか想像以上の支離滅裂具合。 あとがきを読むと、酒と睡眠薬飲んでラリッた状態で一気に書いたんだとか。 なるほどねぇ。 でも、支離滅裂ながらなんか引き込まれるというか、 癖になる感じがあって、そのあたりがこの作者の人気なのかも。 あと、本質的に頭が良過ぎて、周りの目が気になり過ぎる人なんだろうなぁ、 というのがグイグイ伝わってきます。 ちなみに表題作以外は比較的マイルド内容。 この本は中島らもの事実上最初の本ということで、 まだ作家としてのスタイルを確立する以前の作品らしい。 確立した後のも読んでみたいけど、残念ながら地域センターの図書室には無いんだよね。 まぁ買ってまで読もうとは思わないわけでして。 | ||
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頭の中がカユいんだ
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| 五分後の世界 | 村上龍 | 2009/05/22 |
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「限りなく透明に近いブルー」とかが有名な人気作家 村上龍氏の長編小説。
裏表紙には『著者自ら最高傑作と語る衝撃の長編小説』と書かれている。
穿った目で見ると、そういう謳い文句をつけなきゃいけない不人気作ってことかも・・・と思いつつ。 ストーリーは、 第二次大戦後日本が降伏せずにゲリラ国家となっている別の世界へ主人公が紛れ込み、 そこで戦闘とかいろいろ体験する、といったもの。 テーマとしては面白いと思うんだけど、いかんせん文章がクドい。 戦闘シーンなんて飽きるほど長い。 音楽のシーンもぜんぜん情景も音も頭に浮かばず理解不能。 作者の美学というか「何をよしとするか」に馴染めないんで、そのクドさ/長さが単純に苦痛。 あとがきを見ると、たしかに著者自ら最高傑作って書いてますな。 「書きたいことを遠慮せず書いたー!」ってことなんですかね。 ファンなわけでもない読者からみたら、 作者の自慰行為を見せられているようでうヘェ、って感じ。 | ||
| 55点 |
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五分後の世界
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| 聖域の殺人カルテ | 由良三郎 | 2009/05/14 |
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作家とは別の本業を持つ方が書く小説ってのは、
その本業の世界が深く描かれていて興味深いものが多い印象があります。
この作者は、本来お医者さんでウィルス学の権威とのこと。
そういう方が書くウィルスと医学にまつわる推理小説、ということで大変期待したのでありますが・・・ 正直言ってちょっと期待しすぎたかな、と。 まず推理小説で一番重要なトリックが「なにそれ?」な感じ。無理っしょ、そんなの。 次に、期待した専門性の深さがあまり感じられなくて残念。 もちろん深すぎると訳わからんのだろうけど、「へぇ~」と読んで得した気になる点が無いんだよね。 加えて、殺人の動機も薄いし、人物の心象も子供っぽくてなんだかなぁ、という感じ。 医者や学者なんてそういう子供っぽいものなのよ、 というのを描きたいのかも知れないけどね。 というわけで、つまらないわけじゃないけど期待したほどでもない、というのが感想。 医療モノだったら以前読んだ帚木蓬生氏のコレとかの方が、 深さもスリルもあってナイスでした。 | ||
| 68点 |
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聖域の殺人カルテ
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| 花の降る午後 | 宮本輝 | 2009/04/23 |
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芥川賞受賞作家 宮本輝氏の大ベストセラー、らしい。
恥ずかしながらこの作家さんもこの作品も全く知りませんでした。
っていうか、いまさら「恥ずかしながら」も無いですな。 内容は、神戸のフレンチ・レストランを舞台に繰り広げられる、 サスペンスと恋愛モノが入り混じったストーリー。 そもそもは新聞連載の物語を単行本化したらしい。 確かにそんな感じ、というか、 前半と後半では作者の「こういうのが書きたい」という意識が大きく違ってきているんじゃないかと。 前半ではサスペンスの種を沢山撒いて、今後これらがどう結びついていくのか期待させるけど、 後半はほぼ恋愛物語、サスペンスの方は強引にギュギュッと纏めちゃいました、って感じ。 前夫の子とか、なんのために撒いたか判らない種もあったり、 登場人物が多すぎて誰が誰やらわからなくなったり、ややとっちらかった印象。 でもまぁそこそこ面白かった。 フレンチ・レストランが舞台なんで、 料理やらワインやらがちょっと出てきたりするあたりもなんとなく興味深うございました。 | ||
| 72点 |
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花の降る午後
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| 寿司屋かみさん おいしい話 | 佐川芳江 | 2009/04/14 |
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実際に街のお寿司屋さんのおかみさんをされている著者による、
寿司にまつわるエッセイ。だいたい書いてあることは想像付くんだけど、
なんかいつも図書館の棚でこの本に目が留まるので、まぁ読んでみるかとチョイス。 というわけで、書いてあることはほぼ想像通り。 仕込みはこうやって、とか、こういうお客さんが、とか、 寿司屋の日常がパラパラと、という内容。 それでも「この人ほんとうに寿司が好きなんだなぁ」とか「自然体のエッセイだなぁ」とか、 読後感は悪くない。 寿司に関する著述といえば、師範的には第三春美鮨の長山一夫氏が書かれた 江戸前鮨 仕入覚え書きの方が、 (Webで全部公開されているにもかかわらず)ずっと重くて内容が濃いと思う。 でも、こういう軽いエッセイもまぁ悪くない。行き帰りの電車2往復(1時間半程度)で読み終わり。 | ||
| 70点 |
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寿司屋かみさん おいしい話
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| 野わけ | 渡辺淳一 | 2009/04/03 |
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ワイン好きな人間にとっては、
シャトー・マルゴーや川島なお美さんが出た「失楽園」の作者として有名な渡辺淳一。
この作品も「失楽園」と同様に不倫がテーマ。
「失楽園」、テレビドラマ版では部分的にちょこちょこっと見たかな。
映画版は見たこと無いし小説も読んだこと無いけど。 小説の内容的には、上司と不倫する若い女性の視点で書かれたものなんだけど、 なんかこう感情移入できないというか、だからどうしたというか、 主人公の行動にイライラするというか、現実離れした内容に違和感を覚えたりとか、 なんだかんだっで個人的にはあまりグッと来なかったり。 この手の人間関係を描いた作品は、主人公に共感できないと楽しめないですな。 読みやすさという意味で、出勤途中の暇つぶしとしてはまずまず合格。 でも、電車の中以外、寝る前の時間とかにも読みたいってほどじゃない内容。 あくまで「個人的に」だけどね。不倫している女性とかにはググッと訴えるものがあるのかも知れません。 | ||
| 68点 |
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野わけ
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| ユーモア小説集 | 遠藤周作 | 2009/03/31 |
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狐狸庵先生こと遠藤周作の短編集。
だいたい、「ユーモアなんとか」とか「おもしろナニナニ」とか「爆笑うんぬん」とか、
タイトルにそういう面白げな文字が入っている本って、一般に面白くないわけですが。 で、この本も(少なくとも師範にとっては)その一般論に漏れない内容でした。 有名な作者だけに、もうちょっとピリリとスパイスの効いたのが読めると思ったけど、 こういう短編だったら(SFがメインになるけど)やっぱり星新一の方が数段上手かも。 まぁユーモアの技法がどうの、というより、 書かれた時代が古いので感性が合わないって部分もあると思うけど。 ちなみに、カバーには『抱腹絶倒の作品集』とあります。 いつ誰が書いたのか知らないけど、この本で「抱腹絶倒」は無いでしょ。 誇大広告にもほどがある・・・って実はコレ、出版社のユーモアか? | ||
| 63点 |
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ユーモア小説集
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| 桃から生まれた桃太郎 | 向田邦子 | 2009/03/18 |
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放送作家としてとても有名な向田邦子。
この小説は、放送台本を小説化されたもの、とのこと。
小説から映画/ドラマ化されるのはよくあるけど、
その逆はあまり無いよね、ということで。 さて読み始めてみるとこれが非常に読みやすい。 やっぱり台本がベースになっているからか、無駄な情景描写とかがなくて、 ストーリに直接関係無い文章が少ないからかも。 反面、(特に後半)「これ台詞とト書き?」ってな感じの部分もあって、 ちょっと文章自体を客観視してしまう感もあったり。 あと、ストーリー展開としては基本的にテンポが良くてナイスなんだけど、 後半のハッピーエンドがちょっとクドイかな。 ドラマとしてはそういうふうに終わったほうが座りが良いんだろうけど、 小説としてはやや蛇足感アリ。 というわけで、(文字が大きめということもあり) 300ページ弱の本だけど通勤とか寝る前とかの1日半くらいで読み終わり。 軽く読める小説でありました。 | ||
| 78点 |
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桃から生まれた桃太郎
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| 友よ、静かに瞑れ | 北方謙三 | 2009/03/06 |
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北方謙三、師範の実名となんとなく近いこともあって興味はあったけど、
これまで読んだこと無し。
「なんかカッコつけた印象なんで、作品もそんな感じだろうなぁ」というのが読んでない理由だけど、
本を読む敷居が低くなった今、ちょっとトライしてみるかな、と。 さて読んでみると、確かにカッコつけた話の内容。 でもね、場面設定とか主人公とかが地味というか小物。 田舎の温泉街での揉め事が舞台で、主人公は徒手で戦ったりするんですわ。 正直設定に無理があるし、ターゲットも小さいし野望/得るものも小さい。 果ては女性の絡み方がなんだかイマイチ良く理解できなかったり。 やっぱり日本の現代でハードボイルドってのは難しいのかなぁ、と思ったり。 そういった意味では今コツコツと読んでいる 眠狂四郎無頼控なんかの方がずっとハードボイルドでクール。 現代小説は、やっぱり企業小説とかの方がスケールがデカくて現実感があって良いような。 | ||
| 69点 |
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友よ、静かに瞑れ
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| 月光 | 井上靖 | 2009/02/19 |
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全くもってランダム借りした一冊。
作者の井上靖氏って、「しろばんば」って作品で有名だったよね、という程度の知識。
こういう借り方でグッと来る本にあたると嬉しいよね~という気分で。 内容的には、師範らが生まれる前くらいの時代を舞台とした恋愛小説。 ちょっとこじれた純愛モノなんだけど、なんとなくまどろっこしいというか煮え切らないというか、 感情移入できずに「あーじれったい」という気分になっちゃうなぁ、と。 解説を読むと、元は女性向け雑誌に連載されたものだとのこと。なるほど納得。 恋愛がまだずっとピュアな時代の、ずっとピュアな心を持った人たち向けの小説。 でもまぁそれなりに面白くて、行き帰りの電車のみ、3日半くらいでサクサクッと読めました。 ただこれで井上靖氏の作品を知ったことにはなんないだろうね。 | ||
| 70点 |
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月光
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| 眠狂四郎無頼控(一~五) | 柴田錬三郎 | 2009/02/13~05/09 |
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聞いたことはあっても読んだことは無かった歴史モノの大ヒット作、
「眠狂四郎」シリーズを読んでみることに。
「無頼控」だけで六巻もあるんで、面白ければいっときコレに集中できるな、と。 で、読んでみるとこれが面白いんだな、「娯楽時代劇」的な要素タップリで。 元が週刊誌の連載だったからか、基本的に事件ごとの短編集で読みやすいし、 時代モノ特有の文字や言い回しの難しさもそれほどでもないし。 更には「面白すぎない」のも良いというか、 一気に一冊読むというより、通勤の間に一話二話、寝る前に一話二話という読み方にピッタリ。 というわけで、これから毎回一冊はこのシリーズを借りて読むことにしましょう。 まず、一冊目の「無頼控(一)」では、狂四郎の境遇や人となりが概ね読み取れる。 というか、一冊目にして親をアレちゃうし出生の秘密も明かしちゃうのね。 今後の五冊でどういう展開を見せるのか、心配だったり楽しみだったり。 次なる二冊目、脇役として鼠小僧次郎吉が出てきて、舞台は京都が中心。 なんだかますます荒唐無稽さが際立ってきていて、漫画のようなストーリーですな。 さて三冊目。なんか女性関係なんかで眠狂四郎のクールさがマイルドになってきて、 ちょっと人間臭くなってきたような。それ以外はずっと同じタッチ。やや読み飽き気配。 そして四冊目。正直かなり飽き気味。 登場人物が語る視点で書かれている編もあり工夫の跡は見られるけど、 基本的には同じような出来事の繰り返し。 なんだか目が文字のうわっつらを舐めるだけというような状況。 ここまで4冊続けて借りてきたけど、次はちょっと間を空けます。 二ヶ月空けて五冊目。やっぱりちょっと飽き気味。 というか、他の本に比べてページの進みが遅いんだよね。 言い回しが古くて、何を言いたいのか咀嚼しながら読むのに時間がかかっているんですな。 話の内容としては相変わらず、面白行っちゃ面白いけどワンパターン。 | ||
| 86~75点 | ||
| ノルウェイの森(上・下) | 村上春樹 | 2009/02/06 |
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師範が学生の頃だったかな?、大変に流行した小説。
ちょっと感性豊かな読書好きは皆この作品を読んでいる
・・・みたいな雰囲気が嫌いで読まず嫌い。
というか、そもそも本なんて読まない人間だったしね。 さて読んだ感想は、「ふーん、なるほどねぇ~、でもちょっとズルじゃない?」ってところ。 確かに面白いし、先が見えない感じでページもグイグイ進む。 ただ、その「先の見えなさ」は、心を病んだ人の行動に由来するものなのがねぇ。 難解な推理小説の犯人が宇宙人でした、じゃつまらんでしょ、と。 まずそれがズルいと感じる点。 また、作者は、 読者に対していろいろな受け止め方をさせようと目論んでいる節があるけど、 それまたズルく感じる。敢えてあいまいにしてメッセージの主張を避けているように感じちゃうわけです。 とはいえやっぱり話題になった本だけあって面白いっちゃ面白いですな。 性表現が巧みなのもあるのかな? それほどストレートには描写されていないんだけど、 なんだかとってもエロいし。 | ||
| 80点 |
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ノルウェイの森(上)、
ノルウェイの森(下)、
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| 高熱隧道 | 吉村昭 | 2009/01/22 |
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昭和初期、黒部第三発電所建設のため、黒部渓谷に沿ったトンネルを掘るため難工事を題材にしたドキュメンタリー。
タイトルの通り高熱を発する岩盤やその他災害に見舞われた極限状態でのストーリー。
面白くって、一日で読了。 記録文学、かつ極限状態ということで、 以前読んだ八甲田山 死の死の彷徨と相通じるものがあります。 でも、こちらのほうがより近代/より現実的で、強く心を揺さぶられるというか、 身近なものとして伝わってくる感じ。 八甲田山の方は「軍隊ってのは脳ミソ腐ってるから・・・」ってな感じで、 一歩引いた目で見ちゃうからね。 その点こちらはある意味『プロジェクトX』的な面もあって、 惹きこまれまくります。 それにしても、「人の命が地球より重い」なんて、平和な世界の平和な環境でのみ通用する話なんですなぁ。 人命は大事と知りつつ人命を道具として使わざるを得ない側の苦悩と欺瞞が、 この作品を通じてグッと胸に迫ってきます。 というわけで、今回借りた2冊(コレと↓)はどちらもアタリ。 2009年の読書運はなかなかツイているようであります。 | ||
| 92点 |
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高熱隧道
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| 動機 | 清水一行 | 2009/01/16 |
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昨年腐蝕帯という作品を読んで、
企業モノも読んでみたいと思い借りた一冊。
銀行の取締役になる男性が、
ある疑いからマスコミのスキャンダルの標的となってしまい、
その後の人生は・・・というストーリー。
で、これが面白い。 師範には銀行トップの人事がどうなってるのかなんて知りもしないし縁もないけど、 「そういうこともあるのかも」と思わせる設定。 登場人物もある意味ほんとに居そうな人間臭さで、 思わずストーリーに引き込まれてしまう内容。 やっぱり師範は、こういういかにもホントっぽいというか、 荒唐無稽ではない小説が好きなんですな。 こりゃちょっと図書館にあるだけ読んでみますかね、この作家さんの作品。 | ||
| 90点 |
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動機
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| 芥子のかおり | 津本陽 | 2009/01/08 |
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年末年始は図書館の本を借りませんでした。
従ってこの本は借りたんじゃなくて、昔買って本棚にしまってたのを引っ張り出してきて読んだもの。
年末に読んだ深重の海と同じ著者だったから、
どんな感じだったかなぁ、ということで。 で、結果的には「なんだかなぁ」という作品でした。 深重の海と比べると緊張感も無くダラダラとした展開で、最後には「オチは?」と聞きたくなる内容。 導入部分はなんだか純愛物語みたいで良いんだけどね。 以前読んだときはなかなか面白く感じたんだけどなぁ。 不思議なものであります。 | ||
| 68点 |
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芥子のかおり
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| 誘われて | 森瑤子 | 2008/12/28 | |||
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ここんとこ恋愛小説を読んでいなかったし、短編集だと軽く読めるかな、と思い選んだ一冊。 で、結論から言うと「単に軽い恋愛短編集」以外に表現しようがない作品。 どれを読んでも『はぁそうですか』という以外にないというか・・・ やっぱり短編で読ませるのは難しいのかなぁ。そういう意味では星新一は凄いのかも。 60点 |
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誘われて
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| 深重の海 | 津本陽 | 2008/12/23 |
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津本陽という人の作品は、
本を買わない師範をして珍しく買った「芥子のかおり」という小説で知っていた方。
それは現代の物語だったけど、どちらかというと歴史小説の作家さんだったんですな。
本作品は第79回直木賞受賞作品。 内容は、のっけから緊張感のあるシーンで、その緊張感と絶望感がずっと最後まで続いて、 最終的には主な登場人物はみんな死んじゃう、という極めて悲劇的なストーリー。 救われないけど読み応えはたっぷり。 ただ、会話のみならず文章全体に当時の方言が使われているので、 正直読みづらいのが難点。400ページ弱の文庫本だけど、普通の2倍くらい読み進めるのに時間がかかりました。 | ||
| 79点 |
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深重の海
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| 憑かれた女 | 横溝正史 | 2008/12/11 |
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金田一幸助シリーズで有名な横溝正史。この作品は1冊に3編が収録された中編?集。
探偵はまだ金田一幸助ではなくて由利先生。 横溝正史は映画でしか見たこと無かったけど、 怨念をベースとしたオドロオドロしい作品、というイメージ。 で、この小説はどうかというと、確かにこちらもオドロオドロしい。 でも、怨念みたいなものがなくて、比較的純粋な人間関係のもつれがベースになっていて、 理由がちょっと単純。 そのあたりは、作者も成長して後年の作品はより高度な仕上がりになったのかな (えらく上から目線だけど)。 横溝正史、ドラムF氏から推薦された「獄門島」とか、 後年のを中心にもっといろいろ読みたいんだけど、 借りてる簡易図書館には数冊しかないんだよなぁ。それが残念。 | ||
| 75点 |
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憑かれた女
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| ボンボンと悪夢 | 星新一 | 2008/12/04 |
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昔よく読んでいたSF短編の巨匠、星新一。
ドラムのF氏のmixiで話題に出ていたんでちょっと読んでみることに。
300ページ弱に短編38本収録。 1話目の「椅子」って短編に読み覚えアリで、実はその昔読んだことがあったみたい。 それ以外はうっすらとしか記憶が無かった。 まぁそういう文章です。サラリと読めるショートショート。 1話が10ページ未満のものがほとんどなんで、電車で読むには大変好都合だし、 書いてあることに修飾の尾ひれが少なくストレートなのは好印象。 本一冊のためにこれだけのネタを生み出すのは大変なご苦労だったとは思うけど、 やっぱり読後感は軽く印象弱め。本質的に儲からない商売なんですな、ショートショートって。 | ||
| 75点 |
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ボンボンと悪夢
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| 時雨のあと | 藤沢周平 | 2008/11/27 |
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江戸時代の下級武士/庶民の暮らしを題材にした短編小説。 短編ということもあるとは思うけど、とっても軽く読める文章。 歴史モノの割には名前なんかも覚えやすいし、 取り上げられるテーマも恋愛感情とか親子愛とかの普遍的(今の時代と差が無い)ものだし。 その分、心にグッと来る要素も少なめだけど。 ともあれ読みやすい歴史小説を書かれる方みたいなんで、 長編も読んでみたくなる・・・ とか言いつつ、書架の前に行くと知らない作家さんを優先的に読みたいからなぁ。 | ||
| 74点 |
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時雨のあと
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| 恋愛中毒 | 山本文緒 | 2008/11/20 |
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恋愛モノが読みたくて、適当に探していたら「吉川英治文学新人賞受賞作品」の文字が目に入り、
借りてよんでみることに。ワインの「ナントカ金賞」よりは信憑性があるんだろうからね。 で、結論から言うと大変面白い物語でした。 普通の、というかどちらかと言うと地味で目立たなくてお堅い感じの女性が、 狂気に走る様(過去走った様)を2つのエピソードで同時に練り上げて行く構成は、 実際に人間が壊れていく過程を見るようで非常にリアル。 無駄に修飾的な文章もあまりなくて、グイグイと読めました。 この作者は直木賞も受賞されているみたい。そっちも読んでみるかな?という気にさせる一冊でありました。 | ||
| 82点 |
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恋愛中毒
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| 暗渠の連鎖 | 森村誠一 | 2008/11/13 |
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森村誠一の推理小説は、師範の父が大好きで、実家に帰ると今でもたくさんあったような。
大学時代とかに親のを借りて読んだとき意外とエロティックで、それが親の印象と合わなかった記憶あり。 さてこの小説はというと、レイプ犯罪を題材に選んでいるとということで、 性を扱ってはいるけど「エロティック」というのとは別の世界。 内容はというと、やっぱりどうしてもこの手の推理小説モノにありがちな、 「ねぇよそんな偶然」ってのがテンコ盛りで、あまり小説の中に入り込めないのが残念。 とはいえそこそこ面白い、というか現実に起こったら怖いな、と感じさせる本でありました。 でもなぜタイトルが『暗渠の連鎖』なんだろ? 事件が連鎖して起こってはいるけどなぜ『暗渠』? 未解決の(表に出ない)事件が連鎖しているから?ちょっとよくわからんです。 | ||
| 75点 |
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暗渠の連鎖
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| 姫椿 | 浅田次郎 | 2008/11/07 |
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また借りてしまいました、浅田次郎。「小説の大衆食堂」を自称される方だけあって、
とにかく読みやすいしね。特に今回借りたのは短編集、読みやすさ5割増し(自分調べ)。 というわけで(ってどういうわけだ?)、想像した通り非常に読みやすく、すんなりページが進む1冊。 個人的には最後の「永遠の緑」がグッときたかな。 枝葉末節な情景描写が多くて、 いったい何が言いたいのか/どこがストーリー本筋なのか判らない作品が多い中、 この人の文章はあまり飾り気がなくて好印象。 ・・・っていうか、電車の中で朝晩20分ずつ読む文章としては、 こういうのが合っているのかもですな。 | ||
| 76点 |
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姫椿
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| 鬼龍院花子の生涯 | 宮尾登美子 | 2008/10/31 |
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聞いたことあるタイトルで、「確か映画化されていたよね」と思ったら、
夏目雅子主演の有名な映画だったようで。 タイトルから想像するストーリーは『鬼龍院花子という切れ者の姐さんが、 裏の世界の敵を相手に、時に刀で時に色仕掛けでバッサバッサと切り倒し、 立身出世ついには首領の座を・・・』 という印象なんだけど、 物語に出てくる鬼龍院花子は恐ろしくだらしなくて何の取り得も無い女性。 というか、ページも半分近く進まないと登場しないし、 およそこの本の主役ではなかったり。 任侠モノの世界を礼賛したりするストーリーですらなくて、 なんか義理とか仁義とかの不条理、馬鹿らしさだけが伝わってくる内容。 多分きっとそれが作者の意図なんでしょう。 映画は見て無いけど、きっと原作とは違う味付けになっているんだろうな、と。 だってこれをそのまま映画化したら「田舎のオマヌケヤクザ一家」になっちゃうからね。 | ||
| 67点 |
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鬼龍院花子の生涯
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| 腐蝕帯 | 清水一行 | 2008/10/24 |
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大蔵省の上級官僚である主人公を軸に、政・官・財の腐蝕を書き出した社会派の小説。 この作者、官僚が嫌いなんだろうなぁ、というのがヒシヒシ伝わる内容。 もちろん、われわれ民間人で官僚が好きな人間なんて居ないと思うんだけど、ここまで徹底してコキ下ろすかね、という感じ。 主人公は、チビで醜男でギラギラした出世欲以外には特に才能も無く、 接待が好きで結果汚職まみれて落伍、という、 普通はある意味「胸がすくストーリー」のはずだけど、 あまりにあまりな人物設定にちょっとヒク感じ。 『いかに官僚といえど出世する人物はもう少し「ナニか」があるだろう』 なんて考えるのは師範が甘ちゃんだからか? ストーリー的にはやや無駄な部分も多く感じるね。殺し屋とか要らないと思うし、 娘の描き方も中途半端だし。 「登場人物すべて悪人」というのも読後感的になんだかなぁ。 最初主人公の現状を書いて、途中はそこに至る経緯を書いて、 最後に破滅へ向かう部分を書くという、3部構成はなかなか面白いけど。 企業小説がメインの方らしいんで、他の作品も読んでみるかな。 | ||
| 68点 |
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腐蝕帯
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| エンド・ハウス殺人事件 | アガサ・クリスティ | 2008/10/17 |
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誰もが知る推理小説の大御所、アガサ・クリスティの作品。
名探偵エルキュール・ポワロが、英国南部の邸宅で繰り広げられる事件の謎を解く推理小説。 「推理小説では犯人らしくない人が犯人」ということで、 師範の推理はアタリ。でも、理由とかは皆目想像出来なかった、 というか与えられた情報だけで犯人探しをするのはあまりに無理がある設定。 種明かしの部分を読んでも、『有り得ないよ、そんなの』の連続。 うーん、これがあの大御所クリスティの「初期を代表する長編」なんだろうか? ちょっと期待ハズレだった一冊。 | ||
| 64点 |
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エンド・ハウスの怪事件新版
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| 嫉妬の香り | 辻仁成 | 2008/10/10 |
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建築関係のプロジェクトへの参画をきっかけに、
二組のカップルが嫉妬し破局し、という退廃的な恋愛小説。 うーん、正直読みづらい、というか読み進めるのが苦痛。 なんか書いてある出来事一つ一つに修飾の尾ひれがついていて、それが邪魔くさい。 『オレってこんなに物事に詳しいし、感性豊かなのよ』ってのが鼻についちゃってイカンです。 ま、こういうストレートに「カッコいいでしょ」って文章やシチュエーションに鼻白む思いを感じるのは、 自分が歳を取ったってことかもしれないけどね。 ちなみに、アマゾンのレビューをみると賞賛ばかり(楽天は意味不明ばかり)。 みんなアフィリエイト狙いのレビューなんでしょうなぁ。 | ||
| 56点 |
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嫉妬の香り
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| 娼年 | 石田衣良 | 2008/10/01 |
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会員制ボーイズクラブに誘われて働き始めた青年が、
いろんな女性との体験を通していろいろいろ考えるという、半ばエロ本な小説。 詰まるところ「上品なエロ本」で、 展開の面白さとかテーマの存在感とかはあるようなないような、ではあるんだけど、 読後感が悪くない。 どうしてかなぁ、と思ったら、登場人物に一人も悪人が居ないのね。 みんなやさしい。 こういう人物の描き方で小説一本書き上げるのは大したもんだ、と思ったり。 200ページちょっとしかないし、性的描写を読むのは嫌いなほうじゃないから(笑)、 スイスイーッと読めてしまう本。そんなところで。 | ||
| 69点 |
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娼年
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| 長い坂(上・下) | 山本周五郎 | 2008/09/26 |
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平侍の子に産まれた主人公が、
頑張って頑張って城代家老にまで出世する物語。 歴史モノではあるけど、文章が現代の言葉に近く読みやすい。 ストーリーも、超人的な知力・体力・精神力を身に着けた主人公が、 苦悶しながらも目前の障害を取り除いていくというある意味胸のすく物語で、 人間くさいヒーローものを読んでいるようで、なかなか面白い。 ただ、なんだか感情移入できないだよなぁ。自分が怠け者だからかもしれないけど。 側室や奥方といった女性に見せる弱さにホッとするというか、 なんだかんだで女性との仲の良い会話の部分の方が好きだったり。 ・・・と、ヒネクレた読後感は置いといても、 歴史を舞台にドラマティックな物語を読ませてくれる山本周五郎、 他のも読んでみたくなりますな。 それにしても450ページ2冊を会社の行き帰りだけで読むのはちょっとしんどい。 これからは2冊借りるんだったら薄めのを、厚いのは1冊にしとこう、っと。 | ||
| 80点 | ||
| リミット | 野沢尚 | 2008/09/08 |
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誘拐犯罪の捜査に加わった婦人警官が、自分の子供も誘拐され、
それを警察の力に頼らず取り返そうとする刑事モノのサスペンス。 設定もなかなか面白く現実味もあり、アクションや推理小説の要素もあり、 非常に楽しめた一冊。 特に、子を持つ親にとっては誘拐をテーマにされると思わず感情移入せざるを得ないし。 もちろん、ストーリーを成立させるために犯人達の行動や心理に不可解な点があったり、 主人公がちょっとスーパーウーマン過ぎたりもするけど、 600ページがスイスイと進んでしまう魅力がありました。 読んだ後で知ったけど、作者の野沢尚さんは2004年に44歳で首吊り自殺で亡くなったそう。 この小説が書かれてわずか6年後。 命を賭けて子供の命を取り返す主人公を描いた作者が、自分で自分の命を絶つとは・・・ とても残念。合掌。 | ||
| 85点 |
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リミット
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| 地下鉄(メトロ)に乗って | 浅田次郎 | 2008/08/28 |
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SFに入れて良いのかな?地下鉄の駅でタイム・スリップして自分の家族の過去を見に行く物語。 この作者の作品は、以前「鉄道員(ぽっぽや)」を読んだことがあるけど、 まず読みやすいね。チャッキチャキの娯楽小説、という感じで。 深く考える必要なくスイスイーっと読めちゃいます。 その分、ストーリーに重みが無くてグッと胸を打たれるようなことは無かったり、 ちょっと展開が強引だなぁ、と思う部分もあったりするけどね。 「これ、映画化されてそうだなぁ」と思って調べたら、 案の定そうでした。なんか知らず知らずに映画化された本ばかり読んでる気がする今日この頃。 八甲田山は当然として、 海猫もそうらしいし。 | ||
| 79点 |
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地下鉄(メトロ)に乗って
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| 八甲田山 死の彷徨 | 新田次郎 | 2008/08/20 |
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映画であまりにも有名なテーマの原作。 極限状態で壊れていく人間、 遠慮の無い描写にグイグイ引きこまれていきます。 話のスジとしては、 軍隊軍隊した悪役上司が居る方が遭難して、 シンプルで民間人の登山みたいな方が走破するのが、 判りやすいけどちょっと予定調和な感じ。 ほぼ史実に基づいて書かれているんだろうから、 その結果を云々してもしょうがないんだろうけどね。 あと、帰還後に銃を始末する話あたりは余計に思うんだけど、 やっぱり当時の軍の姿を書き上げるには必要だったのかなぁ。 映像化された作品も有名なんで、 テレビかなんかで映画が放送される機会があったら、ぜひ見たいな。 DVD借りてきても良いかも。 | ||
| 77点 |
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八甲田山 死の彷徨
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| 臓器農場 | 帚木蓬生 | 2008/08/15 |
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新人看護婦を主人公に、臓器移植にまつわる医療の不条理と人間のエゴを描いたサスペンス長編。 著者が現役の医師ということもあって、 医療関係の描写はたいへん深い。 こういう、物語を通して「本物の裏」みたいなことが窺い知れるのは楽しい。 テーマである「無脳症の乳児からの臓器移植は善か悪か」、確かに深い問題だなぁと。 暗めの話題ながら若い女性が主人公なためか雰囲気は明るくて、スイスイとページが進むんだけど、 主人公と医師との恋愛感情なんか余計というかとってつけた感じがして残念。 タイトルと前半の夢のシーンで無脳症児を栽培?しているのがわかるのはちょっと興ざめで残念。 ともあれなかなか面白くて読み応えのある一冊でありました。 こういう、実際にありそうな内容のサスペンスもの、また探そうっと。 | ||
| 80点 |
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臓器農場
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| 海猫(上・下) | 谷村志穂 | 2008/08/01 |
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北海道の函館とその周辺を舞台に、女三代に渡る恋を描いた長編小説。 燃えるような恋心というか、そういう情念みたいなのの描き方は見事で、 悲しいほどにメラメラ燃え上がる恋の炎を感じはするんだけど、 その恋愛の対象が兄弟の配偶者だったり、親戚だったりなんで、 なんだか感情移入出来ないんだよなぁ。 だって実際の自分の周りを考えると有り得ないからねぇ、そういう状況。 あと、エロティックな場面が多すぎる感じもちょっと。 いや、そういうの好きではあるんですが、 性描写が中途半端な割にはシーンの数が多くて、なんか食傷気味。 「田舎の人はそういうことしか楽しみが無い」と言われている感じがするのもねぇ。 ウブな師範にとっては、恋愛モノならもう少しプラトニックな方向か、 エロティックでも普通な人間関係な方向の方が感情移入しやすくてよろしいようです。 | ||
| 73点 | ||
| 新装版 王城の護衛者 | 司馬遼太郎 | 2008/07/18 |
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幕末の日本をテーマにした短編集。表題のほかに4話収録。 史実を元に書かれた歴史モノって、なんとなく好き。 読んで楽しいことに加えて、「へぇ~、そうなんだぁ」と勉強になるから。 この本も、短編全て幕末の物語で、薩摩藩長州藩がなにを目指していたのか、 幕府はそれにどう対応したのかが物語を通じて判るのが興味深い。 ただ、歴史モノは名前が読みづらい/覚えづらいのが難点。 だって現代じゃあり得ない漢字の読み方するからね。 松平容保(まつだいら かたもり)の「かたもり」て。 『「月」と書いて「ルナ」と読みま~す』な最近の子バリの読みづらさ。 「コレって何て読むんだっけ?」と前に戻って読み返すのが億劫なんだよね。 著者の司馬遼太郎、 有名すぎるくらい有名な人だと思うけど、 サクサクとテンポの良い文章で良いですな。 そのうち別のも読んでみましょう。 | ||
| 75点 |
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by 師範