ビールテイスト飲料道場2019

ビールテイスト飲料(ノンアルコールビール)

 今年も、身体のデータを捏造健全な状態に近づけるための断酒期間がやってまいりました。 でも、ただ単に飲まないだけじゃ面白くない。 そこで『休肝日のお供』、みんな大好き?ノンアルコールビールを毎晩頂き、稽古を付けていきます。 題して「ビールテイスト飲料道場2019」。7月1日(月)から7月9日(火)までの9日間、 一日一本稽古して参ります。

 今年のラインナップは、ずばり「大手ビールメーカー製造のガチンコ比較」。 これまでの経験(2017年とか)から、 この領域は製法に制約のない輸入物の方がよりビールらしい味わいがすることが判っております。 でも、今回は国産大手縛りでいきます。なぜなら・・・その方が入手が容易だからです! ってかこの手の飲料を探し回って買うのって不毛なのよ。ちょうど9本揃ったし。

 それでは、今回入手したビール大手4社の9本、張り切って稽古を付けて参りましょう。


7月9日(火)

Asahi Healty Style
名称Asahi Healty Style
アサヒ ヘルシースタイル
生産者 アサヒビール
価格104円
購入店 イオン天王町店
原材料食物繊維(難消化性デキストリン)、大豆ペプチド、ホップ/炭酸、香料、安定剤(大豆多糖類)、 酸味料、カラメル色素、酸化防止剤(ビタミンⅭ)、甘味料(アセスルファムK)

 いよいよ明日は人間ドック、というわけで9日間続けてきた「ビールテイスト飲料道場」も今日が最後です。 人間ドックで医者に「酒を飲んではならん」と言われない限り、明日からまたがっつり通常道場に復帰します。

 そんな最後の銘柄に選んだのが、アサヒのヘルシースタイル。これも「トクホのノンアルコールビールテイスト」ですね。 そのトクホ成分に期待したわけじゃなくて、前回の経験から、 意外と悪くないことが想像されたわけです。なので最後の1本に持ってきました。

 色はカラメル色素でビールっぽく仕上がっています。 香りもこれが結構ビールっぽいんだな。原材料に麦芽は使われていないんだけど、香料だけで立派にビールの香りを作り上げています。 そして特筆すべきはこの味わい。なんか旨味というか余韻のようなものがあって、なんとなく満足感があるのね。 この感覚は2年前と共通だったりします。

 この原材料でどうして頭一つ抜け出したビール感が出せるのか皆目見当がつかないけど、 現実問題として師範はこれが一番ビールっぽく感じます。 やっぱりこの手の風味創作力はアサヒが一番長けているのかな。 結果、ビールっぽくないのを求めるのであれば最初の「サントリー オールフリー ライムショット」、 ビールっぽいのが良ければこの「アサヒ ヘルシースタイル」。 結局2年前と同じ結果になりました。

点数67点
全ノンアルコールビール

 ・・・というわけで、今回稽古した大手ビールメーカーのビールテイスト飲料を総括します。

 2年前と比較して格段に美味しくなった・・・わけではなさそうです。  っていうか銘柄も特に変わり無く、美味しさという意味ではあまり変わりなしです。 個別の内容的には良くなったと感じるものもありますが、全体的には「やっぱりこんなもの」って感じです。 現在の製法ではこのあたりが限界なのかもですね。

 今回は稽古対象から外しましたが、このジャンルにおいては輸入品のほうが満足度が高いものが多いと思います。 なぜ輸入品には許される「ビールからアルコール分を除去する」という製法が国産では許されないのか、 師範には全くその理由が理解できません。 手軽に買えるのは国産なんだから、ぜひそういう製法もオッケーにして欲しい、という意見をもって今回のまとめとします。


7月8日(月)

Suntory All-Free Collagen Rich
名称Suntory All-Free Collagen Rich
サントリー オールフリー コラーゲンリッチ
生産者 サントリー
価格93円
購入店 イオン天王町店
原材料コラーゲンペプチド(ゼラチンを含む、国内製造)、 麦芽、ホップ/炭酸、香料、酸味料、カラメル色素、ビタミンC、苦味料、甘味料(アセスルファムK、スクラロース)

 サントリーのオールフリー・シリーズからのラストは「コラーゲンリッチ」。 ピンクの缶がひときわ目を引きます。 「コラーゲンリッチ」の名前の通り、原材料の筆頭はコラーゲンペプチド。 コラーゲンって、経口摂取してもお肌には効果ない(エビデンスが無い)んじゃなかったでしたっけ? 缶にもサイトにも「お肌に良い」とは一言も書かれていないので、法律的には問題ないんでしょうけど。

 色は・・・どうでも良いですね、カラメル色素での色付けですからね。 泡立ち&泡持ちは、これまでの中で一番弱いように見えます。 香りはそこそこビールっぽい感じ。2年前に飲んだ時は、まるで化粧品を口に含んだかのような違和感があったけど、 そういう方向性はやめたみたいです。 味わいも普通にビールっぽい感じ、というか香りや味は普通のオールフリーと変わりない気がします。

 泡が弱いのは、コラーゲンペプチドを入れるとそうなるのか、あるいはこういうのを飲む層は炭酸が弱いほうが好きなのかも。 正直言ってもっと奇天烈な飲み物を想像していたけど、案外普通で拍子抜けしました。 それにしても、こういう飲み物からコラーゲンを経口摂取したい層なんているのかね? いたら頭のネジが緩んでそうであまりお近づきにはなりたくない気がします。

点数64点

7月7日(日)

Kirin Perfect Free
名称Kirin Perfect Free
キリン パーフェクトフリー
生産者 キリンビール
価格108円
購入店 イオン天王町店
原材料難消化性デキストリン(食物繊維)、大豆たんぱく、ブドウ糖果糖液糖、ホップ、米発酵エキス/炭酸、香料、酸味料、カラメル色素、甘味料(アセスルファムK)

 「フリー」名称のインフレ化が進み、キリンはパーフェクトなフリーです。 そこそこマトモな原材料を使うキリンフリーの後継がラベルデザインが全く異なる「零ICHI」で、 あまりビールっぽくない原材料の新ラインがラベルデザインを継承した「パーフェクトフリー」、ということでしょうか。 いかにパーフェクトなのか、原材料を確認するとなぜか「ブドウ糖果糖液糖」の文字があって、栄養成分表示には炭水化物5.6gとあります。 でもエネルギー0kcalなんですな。不思議だ。

 さて稽古開始。色は普通です。上手にカラメル色素が使われていますね。泡立ちは弱めで泡持ちも弱め。なんか残念な感じです。 そして更に香りも弱い。香料を手加減したのかな、これまで稽古していた中で一番弱いと思います。 味わいは、まず炭酸が弱いのでビールっぽく無くて、良くも悪くも全然味が無い感じ。なんだコレ?

 なるほど「パーフェクトフリー」とは、香りも味わいもフリーだということなんですね。 ビールの香りや味が嫌いな人向けの商品でしょうか? これに比べれば確かに零ICHIはマトモだわ・・・っていうかこの市場を立ち上げたキリンさん、 いったいどうしちゃったんだろう?って感じです。

点数52点

7月6日(土)

Asahi Dry Zero Free
名称Asahi Dry Zero Free
アサヒ ドライゼロフリー
生産者 アサヒビール
価格104円
購入店 イオン天王町店
原材料食物繊維(難消化性デキストリン(韓国製造)、大豆食物繊維)ホップ/炭酸、香料、酸味料、カラメル色素、酸化防止剤(ビタミンC)、甘味料(アセスルファムK)

 本日のビールテイストは、アサヒのドライゼロフリー。 フリーがゼロなわけだからフリーでは無い、という二重否定ではないようです。しっかし判りづらいね。 ゼロやフリーがインフレして、そのうちマイナスが出て来るんじゃないか?

 加えてですよ、アサヒには「ドライゼロ」があって「ドライゼロフリー」があるわけです。 いったいどう違うのか調べたら、ドライゼロの方はプリン体が0~1.0mgあるのに対し、ドライゼロフリーはキッチリ0mg ・・・ってか微妙~っすね。なんか調べるだけで疲れちゃいました。

 色は結構ビールっぽい色で泡立ちも泡持ちも結構良いように見えます。 香りは、そこそこのボリュームはあるけどビールとは違うなぁ。 柑橘類の雰囲気があるあたり、サントリーのライムショットに近い感じです。 味は、例によって軽い味わいではあるんだけど、薬臭かったりとかはなくて、 単に薄いビール風飲料という感じです。

 ドライでゼロでフリー、徹底的に栄養成分を忌み嫌ったネーミングの割には、 意外と飲んだ感じは普通です。ただ、通常のドライゼロとの住み分けは良く判らないな。 たった1.0mgのプリン体のありなしだけで別銘柄にしたのかなぁ。 単に店舗の棚幅増狙い?

点数64点

7月5日(金)

Suntory All-Free
名称Suntory All-Free
サントリー オールフリー
生産者 サントリー
価格93円
購入店 イオン天王町店
原材料麦芽(外国製造)、ホップ/炭酸、香料、酸味料、カラメル色素、ビタミンC、苦味料、甘味料(アセスルファムK)

 「ビールテイスト飲料道場」も中盤。 平日はアルコール飲まなくても別に平気だけど、週末はちょっと堪えドコロですな。 自分へのご褒美が無いとなかなかね~

 そんな週末の入り口に選んだのが、サントリーの定番「オールフリー」。 "All Free"だと英語で「全部タダ」だと思うけど、英語圏じゃ売らないのかな? ともあれ缶にはなかなか立派なことが書かれています。曰く
『私たちには信念があります。天然水の採れる地でしか、ビールをつくらないことに。』
だそうです。でもこれビールの要素もFreeでビールじゃ無いしなぁ。

 さて稽古開始。色はとてもビールっぽい小麦色、そして泡立ちもそこそこ立派です。でも泡持ちはやっぱりイマイチですね。 香りは結構ビールっぽい気がします。サントリーというよりキリン?みたいな雰囲気。 香料が入っているのでそういう香りのデザインなんでしょう。 味わいは、口に含んだ瞬間がビールっぽい分、後にサーっと引く感じが残念というか、 「あぁやっぱり違う~」となってしまいます。

 麦芽とホップというマトモな原料に、香料苦味料甘味料を加えて結構上手にビールの風味をコピーできていると思うんだけど、 その分同じ土俵で比較してしまってがっかりするタイプですね。 「だから私はライムショット」派なんですよ。あれは脳が比較しようとしないから。

点数65点

7月4日(木)

Sapporo Plus
名称Sapporo+(Plus)
サッポロ プラス
生産者 サッポロビール
価格105円
購入店 イオン天王町店
原材料難消化性デキストリン(韓国製造)、大豆ペプチド、ホップ/炭酸、香料、酸味料、苦味料、カラメル色素、安定剤(大豆多糖類)、酸化防止剤(ビタミンC)、甘味料(アセスルファムK)

 サントリー → アサヒ → キリンと来たらサッポロを選ばない訳にはいきませんので本日はサッポロ プラス。 サッポロのノンアルコールビールはこれ以外にも麦のくつろぎとかプレミアム アルコールフリーとかあるようですが、 行きつけのスーパーには置いてなかったのね。そのあたりにもサッポロのマーケティング力の弱さが露呈している気がしないでも無かったり。

 さてこの商品、「史上初!トクホのノンアル」だそうです。 原材料を見ると難消化性デキストリンとか大豆ペプチドとか、およそビールを造るとは思えない名前が並んでいます。 でもトクホですよ。そもそもなぜこんなん飲んでいるかというと、ガチ健康体な数値にしたいからであって、 それにわずかでも貢献してくれるのであれば喜んで飲みましょう。

 色は薄め・・・っつても「カラメル色素」の色だから、濃いのを有り難がっても仕方が無いんですがね。 泡立ちも泡持ちも非常に弱く、写真撮るそばから泡が消えていきます。 香りは、金属っぽさはそれほどでもなく、穀物と柑橘類の香り。これも「香料」ですから有り難がっても・・・です。 口に含んでも泡立ちの弱さは確実で、酸味料と苦味料で構成された化学の味わいです。

 薬と思って飲むべきビールテイスト飲料でしょうか。 「そうまでして健康になりたいか!」って感じです。 それにしても、サッポロはなぜこんなの造ってるんだろ? 高級ブランド「ヱビス」を擁するんだから、 ノンアルなんか見向きもせずに高級路線で押すわけにはいかないんですかね?

点数58点

7月3日(水)

Kirin Zero Ichi
名称Kirin 零ICHI
キリン ゼロイチ
生産者 キリンビール
価格93円
購入店 イオン天王町店
原材料麦芽(外国製造)、水あめ、食物繊維、米発酵エキス、ホップ/炭酸、香料、酸味料、調味料(アミノ酸)、乳化剤

 そもそも、ノンアルコールビール・ブームのさきがけは、「キリン フリー」だったと記憶しています。 もちろんそれ以前にもタカラのバービカンとか輸入物はあったけど、一般の飲食店にも置かれるようになったのはキリンが最初だったかと。 そんな「キリン フリー」の後継がこの「零ICHI(ゼロイチ)」ですね。 銘柄名として猫も杓子も「なんとかフリー」(※)を名乗る中、 キリンフリーの名を捨て当社の主力銘柄「一番搾り」製法を取り入れ、独自の価値感を与えたい意思が感じられます。

「なんとかフリー」というと、どこかの大学で破廉恥問題をやらかしたサークルを彷彿とさせますな。

 それでは先駆者に対し敬意を表し、謹んで稽古していきます。 色は、普通のビールよりちょっと濃いめかも。麦芽の焦がし方ですかね。 泡立ちはそこそこありますが、スーッと消えていく感じです。 香りはとても金属的。ステンレスを削ったような香りです。 味わいも、真鍮を舐めたような金属的な酸味が最初にあって、中盤は軽くて頼りなく、後味に残る甘味に違和感を感じます。

 えーっと、「一番搾り製法」がどこに貢献しているのか、さっぱり判りませんでした。 香りや味わいの金属感は、売れている(らしい)アサヒのドライゼロを真似た・・・とは考えづらいけど、なんだかそっちの方向性です。 デジタルにゼロかイチかで言えば、イチ寄りのゼロですね。

点数62点

7月2日(火)

Asahi Dry Zero
名称Asahi Dry Zero
アサヒ ドライゼロ
生産者 アサヒビール
価格93円
購入店 イオン天王町店
原材料食物繊維(韓国製造,国内製造)、大豆ペプチド、ホップ/炭酸、香料、酸味料、カラメル色素、酸化防止剤(ビタミンC)、甘味料(アセスルファムK)

 2本目は、スーパードライが看板商品のアサヒビールから、そのスーパードライに酷似したデザインのドライゼロ。 とにかくこのメーカーは「ドライ推し」みたいですね。 個人的にスーパードライは、あの金属を舐めるようなキンキンした感じが好きでは無いんですが、 ノンアルコールだと下手に甘ったるいよりも良いかも、と期待して稽古しました。

 色は全く普通のビールと変わりない感じです。泡立ちも悪くないけど、やや泡のキメは粗くて泡持ちも弱い感じです。 香りもビール、それもスーパードライっぽいだよな。ちょっとだけ柑橘類みたいな付け香がある点が違うけど。 味わいは、あの軽いスーパードライからアルコールを抜いたんで更に軽く薄っぺらになった感じ。

 まるで「アルコールを抜いただけのスーパードライ」ですな。 "Japan's No.1 Non Alcohol"と書かれていますが、スーパードライがお好きな方には受けるのかも。 そんな風味の飲み物を、麦芽を使わず食物繊維と大豆ペプチドで実現する技術力たるや凄まじいですな。 美味い不味いは置いといて・・・ってかやっぱりスーパードライ同様苦手です。

点数63点

7月1日(月)

Suntory All-Free Lime Shot
名称Suntory All-Free Lime Shot
サントリー オールフリー ライムショット
生産者 サントリー
価格93円
購入店 イオン天王町店
原材料麦芽(外国製造)、ホップ/炭酸、香料、酸味料、カラメル色素、ビタミンC、苦味料、甘味料(アセスルファムK)

 一本目に選んだのは、サントリーのオールフリー "ライムショット"。 なぜこれを最初にしたのかというと、普段の休肝日に飲んでいるのがこの銘柄だから。 この「ビールとは似ていない感」が好きなんですよ。 というのも、ビールに似たノンアルコールビールだと、脳が騙されて「不味いなぁこのビール」って感じる部分があるんですね。 でもこれはほとんどビールっぽくないのでそれがありません。 更にビールっぽさを消すために普段は氷を入れて飲んでますが、 今回は比較に意味があるので、他のノンアルコールビールと同じ条件、普通にグラスに注いで飲むことにしました。

 いろはかなり薄め、澄んだ白ビールくらいかも。でもそんなこと泡が弱いのね。泡立ちは悪いし泡持ちは無いに等しい。 でもそれって、余計な増粘剤を入れてない、とも言えますな。 香りにビールの雰囲気はほとんど無くて、ライムサワーみたいな雰囲気。 味わいにもビールとは似ても似つかず、苦味はほぼ無くて酸味がそこそこ。 この手の飲料にありがちな変な甘味や金属っぽさが無いのは良いですね。

 やっぱりビールっぽくない、でもそれが良いんだな。 スッキリ爽やか大人の清涼飲料水といった感じです。 「ノンアルコールビールなんてマズくて飲めるか!」という方にお薦め。 だってビールな感じしないですから。

点数68点