稽古日誌:2005年7月

 所得税増税の話があるそうで。 師範の考えも、新聞各紙の論調に同じく『増税の前にやることあるだろ!』である。 家庭でも一般企業でも、お金が無い時にまず考えるべきは「支出を減らす」ことなのは自明。 構造改革だなんだと掛け声だけはいろいろあるけど、実際はちっとも減っちゃいない。 天文学的な国債残高がある上、 さらに収入の4割以上をその国債でまかなっている今の日本は、 危機的状況を通り越えて限りなく破綻状態に近いのは事実。 そんな状況でちまちま「取りやすいトコロから取る」 所得税増税なんかしたって焼け石に水なのは明らか。 また、所得税増税は税の不公平感をますます助長するのも明らか。 まず、財政予算を半分にするくらいのプランを提示、公務員宿舎等全て売却し、 その上で消費税を含め増税を国民にお願いするのがスジではないか? 財政予算の縮小は景気に悪い影響を与える、なんて言い出すと思うけど、 今の日本で、公共事業が景気に与える影響なんて政府が考えているほど大きくないのではないか? 単に「金を使う楽しみとうまみ」を失いたくないだけでは無いのか?
 ・・・と、らしくもないマジメなこと書いたけど、 ホントに彼らの考えることは納得が行かないんだよね。 「国家を経営している」という観点が欠如しているからか。

翌月分

31日(日)

Mumm "Carte Classique" Sec N.V.
マム "カルト・クラッシク" セック (ヴィンテージ無し)
G.H.Mumm & Cie.
G.H.マム&コンパニー
Champagne
発泡
Champagne
シャンパーニュ
Champagne(France)
シャンパーニュ (フランス)
\3,7802005/07/28 QUEEN'S ISETAN 品川店 サントリー
 本日は師範の誕生日。師範もいよいよ2度目のオトナの仲間入り。 プチ師範代の誕生日も今週の木曜ってことで、今日は一緒にお祝い。 プチ師範代には子供用の包丁を誕生日のプレゼントとしてあげた。 というわけで、本日の祝いの膳のメニューは、鶏の唐揚げ(切って味付けしたのはプチ師範代)、枝豆、中トロとカンパチの刺身、ネギトロごはん。 飲み物もお祝いらしくシャンパーニュをチョイス。 値段的には稽古範囲を若干オーバーしているけど、 シャンパーニュ全般に価格高騰している昨今ゆえ致し方なし。 で、セックという表記は、ブリュット(極辛口)と甘口(ドミ・セック)の中間だとか。 ありそうだけどあまり見かけない存在で、道場へも初登場。
 色はいかにもシャンパーニュな麦わら色。 泡の立ち方もキメが細かく粒が小さく、こちらもいかにもシャンパーニュ。 香りは、イーストっぽさは比較的抑え目で、熟れたリンゴのようなフルーツ香がメイン。 泡モノはフレッシュな方が好きな師範にとっては、どちらかというと歓迎な雰囲気。 味も良い感じに甘酸っぱい。 それほど甘味が強いわけではなく、ブリュットでもモノによればこれくらいはありがちな感じ。
 なかなか好印象、やっぱりワインにとって甘味はそこそこあった方が良いのかも。 ただ、このワインが銘柄を伏せてもシャンパーニュと気付くかと問われると自信が無くて、 良いとこのニューワールド産スパークリングなんかと見分けが付かないかも・・・ ってところが弱い点か。
80点自宅にて

30日(土)

La saulas "Pinot noir et gamay" 2003
ラ・ソーラ "ピノ・ノワール・エ・ガメイ" 2003
Christian Venier
クリスチャン・ヴニエ
Rouge
Touraine
トゥーレーヌ
Loire (France)
ロワール (フランス)
(\3,000)2005/07/09 ゴトー酒店 伊藤忠商事
 本日の夕食は、牛のタタキ、鶏のハツの甘辛煮。 鶏のハツ(心臓)って美味いよね。大抵はレバーに一個付いているんだけど、 たまにハツだけがパックされて売られてると無条件に買ってしまいます。 で、ワインはちょっと贅沢して、ゴトー酒店で買った最近流行のビオの造り手の一本を。 品種はピノ・ノワールとガメイなんで、パストゥグランと同じ。 アルコール度数は15%、フランス産ワインでそこまで高いアルコール度数は師範は見たことが無い。
 さて抜栓。コルクの裏は、思いっきり酢みたいな酸っぱい匂い。 でもこういう匂いって、ワイン本体とは関係ないことが多く、 このワインもそう。 で、ワインの色はやや薄め。ブルゴーニュっぽい感じの赤紫。 香りは、確かにパストゥグランっぽいイチゴみたいな感じが強い。 ビオ・ワインらしい温泉みたいな香りもちょっとだけ。 口に含むと、甘げなカラメルっぽい香りも感じる。 味は、渋味が核になって、その回りを甘酸っぱさが包むような層になった味わい。 こういう雰囲気って、香りも味も置いとけば開くと思い、 せっかくの休日ってこともあってチビチビ飲んで。
 抜栓後2時間くらい経つと目論見通り変化してきて、 甘香ばしい感じが増してくるし、層をなした味わいもだんだんその境界が溶け合ってきた。
 抜栓直後だとそれほど大したワインじゃないんだけど、 抜栓後時間が経つとズンズン良くなってくる。 「自然派」を謳っているワインって、そういう傾向があったりしますね。 中には抜栓直後はとても温泉臭が強いものもあるし(このワインはそうでも無かったけど)。 ともあれなかなか満足度の高いワイン。
81点自宅にて

29日(金)

Barbaresco 2001
バルバレスコ 2001
Soria
ソリア
Rosso
Barbaresco
バルバレスコ
Piemonte (Italia)
ピエモンテ (イタリア)
\1,4252005/07/09 関内 サンタムール カツミ商会
 台風が去った後、夏らしい空が続く関東地方。 気温は高いけど比較的サラッとしているというか、 夜は窓を開けていればそれほど寝苦しくなくて案外過ごしやすい毎日 ・・・なんて本題とは関係ない季節の語りあたりから入るなんてジジイへの道まっしぐらですな。 で、ワインはイタリア産。DOCGバルバレスコでこの値段はかなり安いと思う。 果たしてまともなバルバレスコかどうか興味深いところ。 ちなみに料理は、豚肉の生姜焼き風ソテー、 野菜炒め、オクラの酢の物。
 色は、濃いっちゃ濃いけど赤みが強くて、 ガーネットというかややオレンジがかった雰囲気の混じった色合い。 香りのボリュームは弱め。 ツンッとした汗臭いような雰囲気は、昔ながらのイタリア産に共通しているように感じる。 味は酸味がメイン。ほんのり甘味と軽い渋味はあるけど、 バランスとしては酸味が特攻隊かつ後方支援。
 不味いわけじゃないんだけど、 バローロ/バルバレスコに期待するガツン!とした存在感は無くて、 バルベーラ・ダルバあたりの「一応ピエモンテの赤なんですけど」な感じ。 ま、このDOCGの昔ながらの姿ってのはこんなもんだったのかも知れないけど。
69点自宅にて

27日(水)

 いよいよO氏の渡米は今週末、ということで3度目/最後の壮行会。 O氏、N氏、師範の男3名でしんみりと。

 適当に寿司でもつまみながら飲みますか、ってことで銀座のまんまる鮨(一号店)という店へ。 場所は、高級ブティックが建ち並ぶ銀座の並木通り、 フレンチの名店として名高い「ロオジェ」が入る資生堂ビルの斜向かい、という一等地。 でも、「寿し屋の勘八」の廉価版店でということで値段は比較的お手頃。 予約しようと思って電話したところ、予約不可とのこと。 でもまぁ週末や忘年会新年会、歓送迎会の時期でも無いし適当に入れるでしょう、 ってことで予約無しでゴー。 ちなみに左隣の中華屋を挟んでそのとなりには二号店もありました。
 店内はカウンターのみ。店に入って左右にカウンターがあり、 それぞれ15席くらい、トータル30人くらいのキャパ。 師範らが入店した7時半頃には丁度満席くらいだった感じ。 我々が座ったのと反対側のカウンターには、 淡いグリーンの薄いドレスに身を包んだ(ホントに「身を包んだ」って感じの)、 同伴でご出勤前と思しき女性が。 いやー、自分自身を「価値ある商品」として認識している女性ってのはオーラがありますな。 こういう人をそういう店(彼女らの仕事場)で見てもあまり違和感無いけど、 公道(師範が人待ちで店の前にいるときその方が道の向こう側から出現したので)や、 こういう普通の店の中で見るとものすごい存在感があります。
 ・・・閑話休題。
 食べたのはまずつまみで、
お通し(魚の唐上げ?)
刺身三点盛り(コチ、カイワリ、中トロ)
アゲマキ貝を焼いて
アナゴの白焼き
岩牡蠣
あたりを(もう一品くらい頼んだかも)。
そのあと旬握り・桐ってのを注文、その内容が(左写真手前から左→右の順で)
ウニ、ボタンエビ、数の子、アナゴ、中トロ、白身(シマアジ?)、アジ、生タコ、アサリの味噌汁
で、最後に追加で
ツブ貝、新子(二枚付け)
を貰って (刺身とアナゴを除いて全て三人前注文)。

 どれか凄いのがあった、ってわけじゃないけど、 全体に質や高く仕事がキレイ。 お手頃価格の店とはいえ、 競争の激しい土地で舌の肥えた人たちを相手にしている店はやっぱり違うなぁ、という印象。 自宅近所の寿司屋とは明らかにレベルの違う内容で満足満足。

 酒は、各人生ビールを三杯ほど飲んだ後、

喜久泉 特別醸造 生(300ml)
を一本。ビールは美味かったけど清酒はまぁ普通でした。 ・・・というか、この店は清酒のラインナップがとても少なくて、 こういう小瓶で提供できるものしかなかったみたい。そのあたりが残念といえば残念。
 お会計は、トータルで23,000円弱。 廉価版店とはいえとりわけ安いわけじゃないけど、内容を考えると結構満足度は高かった。

 ・・・で、この店はレシートをくれるんで(それ自体は明朗会計でうれしい)、 店を出た後で良く見たら、 一本しか頼んでいない喜久泉が2本で計上されている。 それと、せっかく「ぐるなび」で出力していった10%割引クーポンを使い忘れた (最初に出したら『お会計の時で結構です』と言われてそのまんま)。 それら両方のミスが無ければ実際はあと3,000円くらい安く済んだはず。 そういうのがあるとちょっとガックリきちゃうんだよなぁ。 当然後者は自分側に責任があるんだけど。

 その後、寿司でおなかが一杯になった後はかなりオーセンティックなバーに流れて、 極めて甘い香りのモルト・ウィスキーとか、 フォンセカの10年ものトウニー・ポルトとかを飲んで、 O氏の無事の渡米と今後のご活躍を祈りましたとさ。


26日(火)

Wente "Riva Ranch Reserve" Chardonnay "Arroyo Seco Monterey" 1999
ヴェンテ "リヴァ・ランチ・リザーヴ" シャルドネ "アローヨ・セコ・モントレー" 1999
Wente Vineyards
ヴェンテ・ヴィンヤーズ
White
Monterey (USA)
モントレー (アメリカ合衆国)
頂き物 (ハンドキャリー)
 今日は台風襲来にて早めに帰宅。 ゆえに本来は休肝日の予定だったけど、週の後半に移動して今日は飲むことに。 ワインは、先日飲んだ赤と同じ造り手&境遇の白ワインで、 2年半前の稽古はコチラ。 赤はかな~りヘタッてはいながらギリギリで保ってたけど、さて白はどうか、と。 料理は、ポトフと鶏の唐揚げ、食後にチーズ(コンテ)と干し葡萄。
 色は濃い目のレモン色・・・って、前回の印象と同じ。この2年半では特に変化しなかったのかも。 香りは、ビスケットに熟れきった柑橘類を乗せて、 ハチミツとメープルシロップをかけ、高菜の古漬けをトッピングしたような、 なかなか複雑な香り。 5年前のワインなんで若干の古漬け風味は仕方ないとして、 それ以外は特に熱の影響を受けた痕跡は感じられない。 味も健全な感じ。酸味が無いんでなんとなく物足りない感じは禁じ得ないけど、 それでも大きくバランスを崩しているわけではなく、イケてるワインの範疇。
 正直言って師範の感覚器では、 このワインが置かれた3年の常温保存という環境の影響はほとんど感じられなかった。 ニューワールドのちょっと古くて良いワイン、といった印象。 っていうか、ブラインドで出されればブルゴーニュ南部のワインと勘違いするかも。
 ・・・というわけで、新たな定説が生まれました。 それは、『赤ワインは常温保存は難しいけど白ワインは問題ない』ということ。 もちろんこのワインだけの話かもしれないけど、 こういうのってそうそう複数種試すことは不可能 (「リアルワインガイド」だってブルゴーニュ赤とボルドー赤の赤2種のみ)なんで、これが真理です。 もし違ってて、白ワインをダメにする人がいたらあらかじめ謝っておきます。スミマセン。
79点自宅にて

24日(日)

Chablis "Les Trois Chenes" 2004
シャブリ "レ・トロワ・シェーヌ" 2004
Francois Leloup
フランソワ・ルループ
Blanc
Chablis
シャブリ
Bourgogne (France)
ブルゴーニュ (フランス)
\1,3302005/07/09 関内 サンタムール カツミ商会
 「高ワイン道場」が明けて翌日、通常通り「安ワイン道場」に復帰。 料理は、マグロのカマの香草焼き、真鯛と本マグロの刺身、肉じゃがなんかを。 香草焼きはグリルで焼いたんだけど、昨日みたく炭火で焼いたら更に美味しかろうなぁ、なんて思いつつ。 で、ワインはすっきり系を狙ってシャブリを。 お店のコンセイエ曰く「すっきりしていて非常に高品質」なシャブリとのこと。
 色はほぼ無色に近い白木の色。 香りはかなり弱い。なんとなーく柑橘類の香りがしないでもないくらい。 二杯目三杯目となると、 ワインの香りというより口に付着したマグロの匂いがグラスのフチについて(汚ねぇ)、 そっちの方が支配的な感じ。 味は、良くも悪くもサラリと軽快。 アルコールの摂取具合的には、おやつの時間に富塚さんちから貰った自家製のキュウリを肴にビールと焼酎を飲んで、 夕方からこのワインを飲み始めたのにサクッと飲み終われるくらいの軽さ。
 己の出自が葡萄であることをひた隠すような、キリリと辛くシャキッとしたワイン。 軟派な香りや肉感的な膨らみなんて一切無し、あくまで一本気。 で、師範はそういうワインはあまり好きではない。 やっぱ女性的で柔らかいのが良いよねぇ。
67点自宅にて

23日(土)

 本日は、門下生七十七号・富塚毅さんちでのワインパーティーに一家でお呼ばれ。 参加者は、ピアニストのNさんご夫婦とMちゃん、 ロマネスク芸術に造詣の深い元社長の
ほあぐらさんご夫婦、 主催者の富塚さんご夫婦とTくん/Mちゃん/お母様、 貧乏人代表で師範/師範代/プチ師範代/プチプチ師範代の4家族総勢14名。 そのうち飲む人は7名。 大邸宅の、ピアノが2台(1台はグランド・ピアノ!)置かれたとてもとても広いリビングダイニングで、 フォアグラとか庭の炭火で焼かれた子羊とかを食べながら、 食後はジャズやクラッシックのピアノとかの生演奏を聴かせて頂きながら、 という普段の師範の生活から考えるとなんだかまるで住む世界の違う飲み会。

Scharzhofberger Kabinett Riesling 1993
シャルツホーフベルガー カビネット リースリング 1993
Egon Muller
エゴン・ミューラー
Weiss
Scharzhofberger Kabinett
シャルツホーフベルガー カビネット
Mosel-Saar-Ruwer (Deutsche)
モーゼル・ザール・ルーヴァー (ドイツ)
(富塚さんから) 入船屋酒店
 まず参加者の皆さんが揃う前に(当日は地震で電車が止まったり)ちょろっと飲んでますか、 ということで開けていただいたのがコレ、ドイツの豪腕造り手エゴン・ミューラーの名醸畑カビネット。 ドイツに暗い師範、 この造り手のワインは地域名のリースリングと稽古したことあるのみ。 気になるお値段は4,000円強だったとのこと。
 色は、キラッキラに輝くレモン色系の黄金色。 グラスに注がれた時点でまずこのワインがタダモノではないことが判る。 香りも凄い。リースリングらしい灯油っぽい香りからレモンっぽい柑橘類の香り、 更には松みたいな樽じゃない木の雰囲気が感じられる。 味は、ドイツの名醸モノとしては甘さ控えめだと思う。 ただ、エキス分はバッチリ。酸もしっかりしているのに酸っぱくない。
 いやー大独逸連邦共和国バンザイであります。 カビネット・クラスでもこのパフォーマンス、それより上はいったいどうなってるんだろ?って感じ。 より甘くなってるだけ、だったら師範にはこれくらいが丁度良いかも。
(85点)富塚さん宅にて

Krug Vintage 1989
クリュグ ヴィンテージ 1989
Krug
クリュグ
Champagne
発泡
Champagne
シャンパーニュ
Champagne (France)
シャンパーニュ (フランス)
(ほあぐらさんから) (不明)
 社長業をリタイアされて悠々自適の生活をされているほあぐらさんがお持ちになったのは、 泣く子も黙る高級シャンパーニュ、クリュグのヴィンテージもの。 本日のまずはメインを張る一本。 自慢話っぽくてアレだけど、クリュグのヴィンテージは18851989と稽古済み。 果たして5年の歳月は師範の嗜好に変化をもたらしているか、自分でも興味深いところ。
 色はシャンパーニュとしては相当濃い。 上の独逸産がレモン色系黄金色とすれば、こっちは赤銅色系黄金色。 香りはまさにクリュグ。 普通一般のシャンパーニュとは全く趣を異にするぶっちぎりのタクアン香。 甘くてコッテリで退廃的な香りは、他ではなかなか経験できないと思う。 でもって味も柔らかでマッタ~リ。 やや泡が弱く感じられたのは、グラスに注がれてから飲むまで時間があったからかも。
 とにかく「これぞクリュグ」であります。 世にクリュギストなる熱狂的なファンが居るのも十分に納得がいく孤高の存在感。 ただ、師範はやっぱりシャンパーニュはもっと軽快なのが好きかなぁ。 安上がりな味覚であります。
(78点)富塚さん宅にて

Pouilly-Fuisse "Chateau Fuisse" 2000
プイイ・フュイッセ "シャトー・フュイッセ" 2000
Ch. de Fuisse (J.J.Vincent)
シャトー・ド・フュイッセ (J.J.ヴァンサン)
Blanc
Pouilly-Fuisse
プイイ・フュイッセ
Bourgogne (France)
ブルゴーニュ (フランス)
(富塚さんから) モトックス
 テーブルにはまだ前菜がいっぱい並んでいたんで、白をもう一本いきましょう、 ってことで富塚さんが選ばれたのがコレ。 ブルゴーニュ南部プイイ・フュイッセの白で、造り手は当地の第一人者ジャン・ジャック・ヴァンサン。
 色はどうだったっけ?あまり覚えてないけど、 前の2本が非常に特徴的だったのに比べればとっても普通の色だったような。 香りは、南部ブルゴーニュのシャルドネに特徴的な蜜っぽい香りがある反面、 まるでソーヴィニョン・ブランみたいなグレープフルーツっぽい香りがある。 なんとなく草原みたいな涼やかな感じは、ロワールみたいでもあるなぁ、と思ったり。 で、口に含むと今度は火薬みたいなミネラルっぽさ(「フリンティ」というのかな?)が感じられて、 なかなか面白い。そういえば樽はほとんど感じなかった。
 ボリュームは中程度ながら、なかなかいろいろな要素を見せてくれて楽しいワイン。 こういうワインって、大人数でちょっとずつよりも一人か二人でじっくり一本、 って飲み方の方が合うかもです。
(76点)富塚さん宅にて

Brouilly "Cuvee des Fous" 2003
ブルーイィ "キュヴェ・デ・フゥ" 2003
Jean-Claude Lapalu
ジャン・クロード・ラパリュ
Rouge
Brouilly
ブルーイィ
Bourgogne (France)
ブルゴーニュ (フランス)
2005/07/09
 師範が持参したのは「狂人のキュヴェ」と名づけられたクリュ・ボージョレのブルーイィで、 コレの上級版。 さるお方に分けて頂いたもので、 ボージョレのくせにその価格は道場稽古範囲を大きくオーバーするもの。 先日飲んだ格下のものでも果実味爆弾だったんで、 こういう変化球も面白かろう、ということでこのワインを持参することに。
 色はまるでニューワールド産のようなどす黒い青紫。 フィルターをかけていないのか、瓶の内側に澱がいっぱい、注いだワインもやや濁った感じ (持ち込んだその日に飲んでるんで致し方なし)。 香りは、量的にはそれほどでもない。 ただ、その雰囲気たるやボージョレ/ガメイに抱く想像とは全く違うもの。 敢えて似ているものを探すとシラーかなぁ、という感じで、 まるでハッカ風味のチョコレートのような香り。 口に含んでも、そのチョコレート菓子みたいな印象は継続。
 いやはや風変わり。 先日の廉価版の方と比べてもとっても異質な感じ。 「狂人のキュヴェ」というのはまさに言い得て妙。 参加された方々も『こんなボージョレ飲んだこと無い』ってご意見だったんで、 サプライズという意味では成功でありました。
(84点)富塚さん宅にて

Charmes Chambertin 1997
シャルム・シャンベルタン 1997
Dominique Laurent
ドミニク・ローラン
Rouge
Charmes Chambertin
シャルム・シャンベルタン
Bourgogne (France)
ブルゴーニュ (フランス)
(富塚さんから) 協和発酵
 富塚さんに出して頂いた赤ワインは、コレと下のグランジ。 普通に考えれば(普通に考えなくても)ビックリするくらいの高級ワインだけど、 なんでもカルフールというフランス系スーパーの撤退に伴う売り叩きで、 どちらも10,000円弱で買われたそう。 で、ドミニク・ローランのシャルム・シャンベルタンは、師範も過去に 1996のキュヴェ・スペシアル1998と稽古していて、 どちらも大変好印象。 1997は師範の印象ではブルゴーニュ/ボルドーとも難しい(というかダメな)年、 どういう出来になっているか興味津々。
 色は、ヴィンテージを反映してかやや薄めの赤紫。 こちらもやや濁った感じがしたような。 香りは「待ってました!大統領!!」な、良いブルゴーニュの香りがバンバン。 甘い木イチゴの香り、カラメルのような樽の香り、 1997という難しい年もどこ吹く風な高級感。 味も素晴らしい。全く抵抗無く口の中に入ってきて、 フワーッとした香りと味わいが口の中に広がって、至福のひととき。
 ブルゴーニュの王道まっしぐら、横綱相撲な一本。 特に上のワインがキテレツ系だったんで、 このワインみたいに想像通りの安心感があるとホッとする。 こういう造り手になるとヴィンテージの良し悪しと品質は直接関係ないのかもですな。 その分厳しい摘果とかしてるんだと思うけど。
(90点)富塚さん宅にて

Penfolds "Grange" Shiraz 1997
ペンフォールズ "グランジ" シラーズ 1997
Penfolds Wines
ペンフォールズ・ワインズ
Red

South Australia (Australia)
サウス・オーストラリア (オーストラリア)
(富塚さんから) カルフール・ジャパン
 本日メインの一本がコレ。豪州で最も有名なワイン、ペンフォールズのグランジ。 "オーストラリアワインの父"マックス・シューバートが1951年から醸造を始めた話はあまりにも有名・・・ なんて言いながらラベルと書物を見ながら書いてるんですが。 で、当然師範は飲んだことなく、初稽古の一本。 富塚さんも、『過去ワイン観を変えた一本』だなんて言われるんで期待膨れまくり。
 抜栓して富塚さんがテイスティング、まだ固いってことでデキャンタへ。 デキャンタからグラスに移されたワインは、それはもう凝縮感の塊とでも言うべきワイン。 派手で甘めの樽香とギュギュッと熟れたベリー系の香りがどっさり。 噛める様な存在感のある味わいは、酸味/甘味/渋味のバランスも完璧。 『なにかご不満は?』と問われれば、「なにもございません」と答えるであろう完成度。
 ・・・ただ、こういうワインは他に無いかと言えば、 最近の良く出来た豪州産シラーズだと、 もっと安くで比較的似た雰囲気のものが造られているように思うんですな。 もちろん並べて飲めばその差歴然なのかもしれないけど、 こういうしっかりした系って、 ベクトルの大きさがある程度以上になると感覚の弁別閾を失うというか、 少なくとも記憶の中ではその差を認識するのが難しいというか。
 いずれにせよ美味しいワインであることには間違いないし、貴重な体験をさせて頂きました。 ありがとうございます。
(88点)富塚さん宅にて

Geisenheimer Mauerchen Riesling Beerenauslese 1991
ガイゼンハイマー・モイアーヒェン リースリング ベーレンアウスレーゼ 1991
Schloss Sehonborn
シュロス・ショーンボーン
Weiss
Geisenheimer Mauerchen Beerenauslese
ガイゼンハイマー・モイアーヒェン ベーレンアウスレーゼ
Rheinhessen (Deutsche)
ラインヘッセン (ドイツ)
(富塚さんから) やまや
 どこだったかの有名なケーキ屋さんのプチフールに合わせて出して頂いたデザートワインがコレ。 ベーレンアウスレーゼなんて飲んだことあったっけ?と過去をサーチしたけど該当無し。 というわけで師範にとっては初ベーレンアウスレーゼ。 ほんとに「ドイツ蔑視」と言われても申し開きが出来ない現状。
 で、まず色にビックリです。まるでウィスキーのような琥珀色。 ヴィンテージは1991年なんで古いっちゃ古いけど、それでもココまで濃いのは凄いことのような。 香りはいかにもドイツのリースリング。 傾向としては一本目で飲んだのと近いけど、 ちょっと有機溶剤的なスーッと感はこっちの方が多いかな、という感じ。 味は当然甘い。で、それに酸がしっかりしていたらさぞかし・・・と思ったけど、 残念ながら酸はなんとなく程度。 だもんで、モンバジャックとかのお手頃南方系甘口ワインとも似た感じになっちゃってたような。
 というわけで、個人的には1本目とコレのドイツ対決は1本目に軍配。 ・・・なんて贅沢なことを言っておりますが、デザートワインなんてあるだけで嬉しゅうございます。
(78点)富塚さん宅にて

 ・・・というような会。 大変素敵な夕べを過ごさせて頂きました。 飲み散らかし/喰い散らかしでゴメンナサイですが、 今後ともよろしくお願いします>富塚さんはじめ参加者の皆様


22日(金)

Bourgogne Pinot Noir 2001
ブルゴーニュ ピノ・ノワール 2001
Dom. Huber-Verdereau
ドメーヌ・ユベール・ヴェルドロー
Rouge
Bourgogne
ブルゴーニュ
Bourgogne (France)
ブルゴーニュ (フランス)
\1,4702005/07/16 横浜君嶋屋 ボリニジャパン
 外飲みが2日続いて、3日ぶりに自宅で夕飯。 料理は棒々鶏(Supported by 永谷園)。 プチ師範代の嗜好を取り入れ、圧倒的にクラゲの量多し。 あとは鶏肉を茹でた煮汁で作った卵スープと、ごはん代わりにゴマだれのつけ麺。 で、選んだワインは、見知らぬ造り手のACブルゴーニュ。 2002年産だったらきっと間違いなく美味い(*)と思うけど、 2001年産なのが微妙なところ。
(*)2002年のブルゴーニュって、無名造り手の低グレード品でも結構イケる比率がた高いため(師範調べ)
 色はかなり薄め。 熟成ってほどじゃないけど、光にかざすとややレンガ色っぽい雰囲気が見て取れる色合い。 香りは、 フルーツっぽさは影を潜めて安ブルゴーニュらしいゴム革系の香りのみ。 味はとても軽い。キュキュッと酸っぱいばっかりで、 正真正銘生粋の安ブルゴーニュ・テイスト。
 ・・・と、飲み始めはなんら取り得の無いワインだったけど、 抜栓後2時間くらい経つと少なくとも香りのボリュームは増して、 期待通りとは言わないまでもそこそこなレベルまでには持ち直した。
 ま、安ブルゴーニュです。 そのメリットは、パワーもなにもないこともあって一本スルスル飲めること。 デメリットは、「もしかしてアタリのブルゴーニュかも」と期待した気持ちが完全に裏切られること。
66点自宅にて

20日(水)

 本日は、昔のバンドのメンバーでO氏の壮行会。 場所は、神田にある風来坊というソウル&ブルース・バーにて。
 食べたものは、 乾き物とか、枝豆とか、冷やしトマトとか、ポテトサラダとか、 ゆで卵が丸ごと入ったハンバーグとか、ピザとか・・・それ以降は記憶なし。 ま、バーなんで料理とかは普通の酒の肴です。 でもそんなんで十分です。
 で、飲んだお酒は、まず生ビールをグラスで2杯のあと、下のワインを飲んで、 その後焼酎をガンガンと・・・って流れで。

葡萄舎 "Budoya" マスカットベリーA N.V. まるき葡萄酒(株)
(日本)
(\不明)2005/07/20 風来坊
 ワインはコレ一種類。同じワインを2本開けて貰った(飲む人は最終的には7人) 「葡萄舎」というのはこの店の昔の名前だったかなにかで、 その名を付けたプライベートラベル的なワイン、ってなことだったような・・・記憶あやふや。 道場的にはかなり久しぶりの国産赤ワイン。 グラスは、ワイングラスじゃなくてロックグラスで、ソウル&ブルースっぽくガブガブと。
 ワインの色はかなり薄い。グラスや照明の具合もあると思うけど、 ファンタ・グレープとかの葡萄ジュースみたいな色。 マスカットベリーAって、生食用で粒の大きな葡萄なんで、 濃い色を出すのは原理的に難しそう。 で、香りは意外としっかりしたボリュームで、 ツンとした果実の香りにやや饐えたような雰囲気がプラスされたもの。 ヴィンテージが書かれてないけど、 この手のワインとしてはちょっと古めで熟成期間が長いのかも。 味はかなり軽め。シャープな酸がほとんどで、渋味はあまり無く甘味はほとんど無く、 いかにも「辛口」といった印象。
 失礼ながら正直もっとダメダメなワインを想像していたけど、 飲んでみると案外イケる。きっちり冷やして白ワインの代わりに飲んでも良いかも、って感じ。
70点ソウル&ブルース・バー「風来坊」にて

18日(月祝)

 本日の夕食は、近所の寿司屋千成鮨で。 ここは以前にも利用したことがあって、 その時の印象は移転改装してすぐってこともあってか、かなり残念な内容。 あれから1年、表から見る限りお客さんもかなり入っていて繁盛しているようだし、 オペレーションその他も改善したのでは無いかと期待して夕食を予約。
 寿司屋といえばカウンターに座って板前さんと話をしながらその日のいい魚を頂く、 ってのが理想だけど、残念ながら我々は2人の子持ち、 特に片方はカウンターに座るなんてことはおよそ不可能(ようやく一人座りが出来始めた程度)ゆえ諦めて、 3Fの座敷を利用(この店は1Fがカウンター、2Fがテーブル、3Fが宴会場的座敷)。 幸いにして30名くらいは楽に入りそうな座敷に他のお客さんは居なくて、 ウチの独占状態。これだったらかなり気が楽。

 で、食べたのは、「まず美味しいところを一通り握って下さい」とお願いして、
中トロ×2、玉子焼き、鯵、イカ、タイ、車海老、ウニ、イクラ、アナゴ、鉄火巻き、かっぱ巻き(以上左写真上)
が出された。やや大きめの握りではあるけど師範/師範代ともそれくらいでギブアップする気分ではなく、 1Fのカウンターに降りて行って寿司種を確認して追加したのが
タコ、イカ下足、松輪サバの〆鯖、カサゴ、カンパチ(以上左写真下)、ミル貝、ホウボウ
プチ師範代はお子様寿司を一人前と、追加でネギトロ(軍艦)を。
酒は、生ビールを2杯と吉ノ川を冷やで一合。

 最初出された分の寿司は、多分お決まりのコース(特上か何か)。 その内容は、中トロが多分生マグロで良いやつを使ってるな、と感じた意外とりわけどうという印象は無かった。 ところが追加で注文した分は、カンパチにしても鯖にしてもカサゴやホウボウといった白身にしても、 「なかなか良い寿司種揃えてるなぁ」と感心する内容。 お決まりだけで止めてたら随分印象の違う食後感になっていたと思う。

 で、サービスに関しては、前述のごとくガラガラの店内なんで今回は特に問題なし。 座敷を担当していたのが女将さん?だったためか、 子供への気遣いもあって子連れとしてはかなり気が楽になる接客。

 会計は、10%割引のサービス券を使ってトータルで14,000円強。 高くなく安くなく、そんなもんかな、という値段。 以前よりは随分印象が良くなったけど、あと期待することがあるとすれば、 カウンターに座らない一見風の客に対しても良いところのネタを最初から出して欲しいのと、 握りの姿をもう少し美しくして欲しい、ってところかな。 どんどん良くなって貰いたいものであります。


17日(日)

Domaine Rimbert "Les Cravers de Marceau" 2003
ドメーヌ・ランベール "レ・クラヴェール・ド・マルソー" 2003
Jean-Marie Rimbert
ジャン・マリー・ランベール
Rouge
Saint-Chinian
サン・シニアン
Languedoc Roussillon (France)
ラングドック・ルーション (フランス)
(\2,500)2005/07/09 ゴトー酒店 伊藤忠商事
 本日の夕食は、塩茹で枝豆と焼き鳥、ポン酢をかけたキャベツを添えて。 焼き鳥は、モモ肉(塩/タレ)、レバー(タレ)、ハツ(塩)、砂肝(塩)、豚バラ(塩)、ネギ(塩)。 タレはミリンと醤油と砂糖におろしニンニクを入れて煮詰めたもの。 で、大体それぞれの鶏肉の食材を一パックずつで買ってきて、 これまでやちょっと余りがちだったんだけど、 プチ師範代が良く食べるようになって丁度良い量になった。 プチプチ師範代が食べたしたら、もっと増やさなきゃならないんだろうな。 焼き鳥って下ごしらえがかなり面倒なんで、 将来を考えると成長を嬉しく感じるとともにややブルーな気持ちに。
 で、ワインは先日ゴトー酒店に伺った際に調達したもの。 箱根のオーベルジュ"オー・ミラドー"でハウスワインとしても使われていたとか。 品種はカリニャン100%とのこと。なるほどカリニャン100%ですか・・・って、 カリニャンなんてマイナー品種が100%だと全然イメージできません。
 さて抜栓。コルクは屑コルクを集成したものの両端に薄く普通のコルクを貼ったもの。 値段を考えるとちょっと拍子抜け。 色は、若い南仏らしい真紫。照りとネットリ感も結構あって期待できる外観。 香りにビックリ。ビオ(自然を重視した栽培/醸造法)の造り手らしいけど、 そういう造りに共通した硫黄っぽさはほとんど感じられなくて、 非常に開放的で楽天的な果実の香りがいっぱい。 味も、香りの印象と共通してピュアな果実味が満載。 複雑さなんてあんまりなくて、単にピュアさだけが取り得の香りや味わいだけど、 これがなかなか病みつきになって全く杯が止まらない。
 とにかくストレートながら「美味しい飲み物」に徹したワイン。 焼き鳥を焼きながらチビチビ飲んでたらあっという間に底が見えてきた、 そういう感じ。 ビオだからかどうかは判らないけど、こういう感じは純粋に歓迎。
80点自宅にて

16日(土)

 今日、学生時代に行って以来大変久しぶりに映画館に映画を見に行った。 TI製DLPによるノイズの無い高精細な映像、 JBL製スピーカーによる迫力のあるDolbyデジタルサウンド、 いやー映画も進歩しているなぁ、と感心。
・・・で、見た映画は・・・「それいけアンパンマン!」(泣)

Cotes du Rhone "Les Laurelles" 2003
コート・デュ・ローヌ "レ・ローレル" 2003
Les Vins de Vienne (Cuilleron/Gaillard/Villard)
レ・ヴァン・ド・ヴィエンヌ (キュイユロン/ガイヤール/ヴィラール)
Blanc
Cotes du Rhone
コート・デュ・ローヌ
Cotes du Rhone (France)
コート・デュ・ローヌ (フランス)
\1,9802005/06/19 Wine & Mart 樽屋 中島菫商店
 ・・・というわけでプチ師範代と二人で午前中に映画を見て、 プチプチが生まれて初めて熱を出したんで昼飯のオムライスと夕食は師範が担当。 夕食のメニューは、赤イカの刺身、鰹のタタキにカイワレ大根と小ネギとゴマ油で炒めたニンニクを乗せたもの、 赤イカとセロリとカラーピーマンの炒め物の3品 (炒め物は手際の良い師範代が担当)。 ワインは、 コレと同じ造り手三人組の白ワイン。 一流ドコロの3人が力を合わせて造っているし、そこそこの値段するんで、 不味かろうはずはないと信じて抜栓。
 色は特に濃くなく薄くなく、普通の安白ワインの色(最近そんな表現ばっかり)。 香りは、かなり弱い。想像と比べるととっても弱い。 「これが2,000円のワインの香り?」って疑問に思うくらいの弱さ。 味は、苦味は無くて酸味もおとなしいけど、黄金糖から糖分を抜いたようなコクがあって、 そんなに出来が悪い感じはしない。
 これがこのワインの本来のパフォーマンスだとしたら、 値段に対して遥かに低品質であり、正直いってダメっぽいワイン。 でも、なんとなくこれが本来の姿じゃないような気がするだよなぁ。 なんらかの影響を受けて劣化したような印象が禁じえず、 点数の方はカッコ付きで表示。
(67点)自宅にて

15日(金)

Grand Ventoux 2003
グラン・ヴァントゥー 2003
Cave TerraVentoux
カーヴ・トラヴァントゥー
Rouge
Cotes du Ventoux
コート・デュ・ヴァントゥー
Cotes du Rhone (France)
コート・デュ・ヴァントー (フランス)
\8552005/07/09 関内 サンタムール カツミ商会
 本日のワインは、コート・デュ・ローヌ南部の村名コート・デュ・ヴァントゥーの赤。 「グラン・ヴァントゥー」という名は日本語に訳すと「大番頭」か(ウソ)。 ローヌっていうと、どちらかというと昔ながらの頑固オヤジが黙々とワインを造っている印象があって、 ラベルも一般にそんな感じのものが多い気がするけど、 このワインのラベルは非常にモダン。 なんだかイタリアとかニューワールドのワインみたいな雰囲気。 ちなみに料理は、鳥手羽のグリル焼き(塩味/カレー味)とか。
 色は、とっても濃く暗く青い紫色。 香りは、最初はアルコールの香りがツッと来て、 後からローヌらしい青臭いような鉄サビっぽいような果実香が付いてくる。 味はかなりカタブツ。 渋味が旺盛で、酸味もガシッとしている。 甘味のような遊びっぽい味はほとんど無くて、タイトで厳格で面白みに欠ける雰囲気。
 ラベルの印象とは裏腹に、かなり頑固オヤジっぽいワイン。 特に不味いってわけじゃないけど、一本飲み干すにはかなりのパワーが必要 ・・・っていうか無理して飲み干さんでも良いとは思うけど。
68点自宅にて

14日(木)

Vale Viognier 2001
ヴァレ ヴィオニエ 2001
Vale
ヴァレ
Blanc
Oc (VdP)
オック (ヴァン・ド・ペイ)
Languedoc Roussillon (France)
ラングドック・ルーション (フランス)
\9242005/06/08 お手軽ワイン館 重松貿易
 本日の夕食のメインは酢豚。 普通の感覚では赤、それも甘味を感じるあたりをチョイスするのがセオリーだと思うけど、 なんとなく白が飲みたかったんで白を。 選んだのは、以前稽古したシャルドネと、 同じ造り手/同じヴィンテージ/同じ価格のヴィオニエ。 シャルドネの方はめったやたらに樽の効いたワインだったけど、果たしてヴィオニエはどうか?と。 販売店のページによれば、こちらにも樽は使われているらしい。 そういうワインだったら魚よりも肉に合うかも、ってことで。
 色は普通の安白ワインの色。 香りも弱めで、普通の安白ワインの香り。 少なくとも樽香バンバンだったシャルドネとは傾向の違う香り。 かといってヴィオニエのお家芸である花のような香りがビンビン、ってわけでもない。 口に含むと樽の雰囲気が感じられないわけではない。でも決して強くはない。 味は、特に甘くも無く酸も無く、中庸な味わい。 ただ、一般の安白ワインと違うのは、 ペラペラな感じはせずになんだかホクホクしたコクがあるところ。
 抜栓後2時間以上経ってもまったく変化せず。
 樽が効いててババーン!としてて・・・ってワインを想像していたけど、 実体はなんとなく普通のワイン。 普通だったらそういうのの方がOKだったりもするんだけど、 今日の場合は「ババーン!」を期待しての酢豚だからなぁ。 世の中なかなか上手くいかないもんであります。 っていうか、こういうワインはもっと若い時期に飲むべきな気がしないでもないです。
69点自宅にて

13日(水)

Notalusa Nero d'Avola 2003
ノタルサ ネロ・ダヴォラ 2003
Notalusa
ノタルサ
Rosso
Nero d'Avola Sicilia (IGT)
ネロ・ダヴォラ・シチリア (インディカツィオーネ・ジェオグラフィカ・ティピカ)
Sicilia (Italia)
シチリア (イタリア)
\8982005/06/19 Wine & Mart 樽屋 サントリー
 本日の夕食はビーフシチューとタリアテッレ、キャベツとトマトとハムのサラダ。 ワインは、先日飲んだと同じ地方/造り手/ヴィンテージの赤。 このワインも、裏ラベルには「コンチリオ ノタルサ ネロ・ダヴォラ」と書かれているけど、 表ラベルにはどこにも「コンチリオ」に相当する文字なし。なんやコンチリオて。 で、正直な話あまり期待してません、というか買った時点からあまり期待してません。 じゃぁなんで買ったかと言うと、 これを買いに行った日はプチ師範代と外出していて、 ちょうどサマーセールの福引をやっている時で、 プチ師範代が「福引やりたい」と言い出して、 買いたいものが他に無いから仕方なく適当なワインを買った、ってな理由 ・・・って、誰に言い訳してるんだか。
 色は濃い目だけどやや赤め、香りはいかにも南イタリア産、 油粘土のようなケミカル土っぽい香りにツンッと刺すような果実香をプラス。 香りのボリュームは結構良い感じで、対面に座った師範代に「良い香りがする」と言われるくらい。 味は、失礼ながら想像より良い感じで、酸味がメインながら渋味も甘味もある味わい。
 この手の安イタリアって、師範の経験だと赤より白の方が好印象な場合が多いけど、 この名が銘柄に限っては赤の方がヒット。 まぁ「ヒット」っつったって一塁打程度だけど。
70点自宅にて

10日(日)

Sarda Brut N.V.
サルダ ブリュット (ヴィンテージ無し)
Joan Sarda
ホアン・サルダ
Espmoso
発泡
Cava
カバ
(Espana)
(スペイン)
\1,0292005/06/08 お手軽ワイン館 (インポーター)
 そろそろ梅雨明けかなぁって感じの夏の日曜。 料理は魚介類がメインで、 真鯛と真ダコの刺身、モッツァレラトマト、タコとセロリのガーリック炒め、魚のアラの味噌汁。 ワインは、送料無料の「スペイン売れ筋セット」5本の中からの最後の一本。 このカバはカタルーニャ地方ペネデス産。 ラベルはなんだか「ヤらないか」って感じの男色系。 あんまりテーブル栄えするラベルでは無い。 ・・・んなことは置いといて、 品種はパレチャーダ50%、マカベオ30%、チャレロ20%らしい、 なんて書いてもどの品種もいったいどんな感じか想像もつかず。 意識して飲んだことありそうなのはマカベオくらいか?
 色は非常に薄めの麦わら+レモン色で、泡立ちは弱め。 香りは、弱いながらも傾向はシャンパーニュとそれほど違わないかも。 リンゴのようなフルーツ香りの向こうに、味噌のようなイーストっぽい香りがあって、 それが魚のアラの味噌汁とバッチリ合ったりする。 これまで味噌汁に合うワインは無いと思ってたけど、これだったら問題なし。 で、味も思いのほかマトモというか中庸で、 カバにありがちな金属を舐めるようなトンガった感じは無い。
 とりわけ強い個性が無いことを美徳とするワイン。 安スパークリングとしてはこういう傾向はありがたい。 なんたって1,000円っつったら普通のシャンパーニュの1/3の価格だからね。 ヴァン・ムスーやカバやスプマンテやゼクトといった、 旧世界のそれなりに歴史のあるスパークリングってどちらかというと個性派で、 新世界系の方が「なんちゃってシャンパーニュ」が多いと思ってたけど、 これはちゃんと「なんちゃってシャンパーニュ」。 あくまで「なんちゃって」ではあるけど。
74点自宅にて

9日(土)

Givry 1er Cru "Clos de la Sevoisine" 2000
ジヴリー・プルミエ・クリュ "クロ・ド・ラ・セルヴォワジーヌ" 2000
Dom. Joblot
ドメーヌ・ジョブロ
Rouge
Givry 1er Cru
ジヴリー1級畑
Bourgogne (France)
ブルゴーニュ (フランス)
\2,9192005/06/23 みちのく岩手のワイン屋 竹澤 ラック・コーポレーション
 本日のワインは、先日飲んだ白と同じ銘柄の赤。 気分的にはリベンジ・マッチであります。 夕食のメニューは、焼き厚揚げ、豚肉と水菜の炒め物、鶏肉のオーブン焼き。
 コルクはかなり高級風な、長くてスベスベしたもの。 香りは、「コレっすよコレ!」ってガッツポーズしたくなるくらいの、 果実と樽が相まって良い感じに太く柔らかい雰囲気の香り。 ブルゴーニュも南の方になると、どちらかというとゴム革系の野蛮な香りが主体的になると思ってたけど、 このワインに関しては、そういう雰囲気は弱めでストレートに果実が感じられる。 味も良い感じ。ただ、思いのほか軽めではあって、 香りのボリュームと気品に押された味わいである感じは否めない。
 で、「香り上等で味もう一つ」という初期状態のまま飲み進めたけど、 まったくもって飲み飽きという状態は存在せず、極めてリニアな進捗でアッという間に飲み干し。 っつーか全然酔わんですなこういうワインは。 アルコール度数は普通に13%あるんだけど、体感上は普通の安ワインの2/3くらいの酔い加減。
 結構良く出来たブルゴーニュだと思う。 香りだけだったらニュイのグラン・クリュに匹敵するかも、って感じ。 ただ味はそれほどのプレミアム感は無く、 これでプルミエ・クリュってのはどうかしら?って感じ (シャロネーズあたりだと結構規格も緩いし)。 とはいえ一人で一本って感じの飲み方ではお薦め、ゆっくりじんわり楽しめます。 また、先週飲んだ白はまともな状態ではなかったことを再確認。
82点自宅にて

8日(金)

Wente "Crane Ridge Reserve" Merlot "Livermore Valley San Francisco Bay" 1999
ヴェンテ "クレーン・リッジ・リザーヴ" メルロー "リヴァームーア・ヴァレー サン・フランシスコ・ベイ" 1999
Wente Vineyards
ヴェンテ・ヴィンヤーズ
Red
San Francisco Bay (USA)
サン・フランシスコ・ベイ (アメリカ合衆国)
頂き物 (ハンドキャリー)
 本日のワインは、2年半前に稽古済みのワイン。 米国にある取引先会社からの貰い物だったんだけど、 職場の常温環境下で更に2年経過したものが、倉庫整理の際にまた出てきたのでお引き取り。 そんなに派手に温度変化のある場所じゃないと思うけど、 それでも真夏の休日昼間だったら30度は越えるんじゃないかな? 果たしてまだ生きているのか、大変に興味深いところ。 ちなみに料理は、牛カルビとチンゲン菜の炒め物、冷やしトマト、ジャガイモとトマトのスープ。
 さて抜栓。コルクはまったく傷んだ感じがなくスベスベしていて気持ち良いモノ。 それに気を良くしてグラスに注いで、色はかなり熟成感のあるレンガ色がかった赤紫。 やっぱりダテに常温で三夏過ごしてないぞ、って感じ。 香りもいかにもソレ風。フレッシュな果実香ははるか昔に消えうせて、 線香フレーバー漂うおばあちゃんのような辛気臭い雰囲気と腐りかけの果物のようなツンッとくる酸の香り。 ここまでは「やべぇなぁ、飲めるかなぁ」って感じだったけど、 口に含むとそこそこ普通で、 渋味もまだ活きていて甘味酸味もあって、 あろうことかそれらそれぞれが自分らの恵まれない境遇を耐え忍ぶように一体となって口の中に流れ込む。 抜栓後ちょっと時間が経つと、なんとなくアプリコットの古漬けコンポート(なんてあるのか?)みたいな感じにもなるし。
 なんというか微妙だなぁ。 この手のワインでも少なくとも常温で三夏も過ごすと、 ミョウチクリンな熟成になっちゃってヘンテコであることは確か。 でも、じゃぁこのワインは100%ダメなワインかと問われると、あながちそうとも言い切れない。 素性を隠して出したりすると、有り難がったりするオッチョコチョイも居るかも。 ちなみに、同じ環境下に置かれていたシャルドネもゲットしている。 それはそれである意味楽しみ。
66点自宅にて

7日(木)

Notalusa Grillo 2003
ノタルサ グリッロ 2003
Notalusa
ノタルサ
Blanc
Grillo Sicilia (IGT)
グリッロ・シチリア (インディカツィオーネ・ジェオグラフィカ・ティピカ)
Sicilia (Italia)
シチリア (イタリア)
\8982005/06/19 Wine & Mart 樽屋 サントリー
 本日の夕食は、タチウオの塩焼き、オクラの酢の物、冷奴、冷やしトマト。 とうぜんサッパリ系のワインが良いと思い、このワインをチョイス。 輸入元が貼った裏ラベルには「コンチリオ ノタルサ ネロ・ダヴォラ」と書かれているけど、 表ラベルにはどこにも「コンチリオ」に相当する文字なし。 細心の注意を払って不躾に貼られた輸入元の裏ラベルを剥がしたけど、 裏ラベルにもその記載なし。 こういうなんだか良く判らない表記って止めて欲しいんですけど。
 で、飲んだ印象は、良くも悪くもあまりに普通な白ワインの色/味/香り。 物足りなさは感じつつも、なんだか知らぬ間に一本飲み干している点は加点対象か?
 色も平凡、香りも順当、味もマイルドでとにかく普通の安白ワイン。 それはそれで悪くは無いんだけど、その存在意義って800円以下のワインにのみ許されるものだと思う。 900円近いワインにはもう一声欲しいところ。
65点自宅にて

6日(水)

Delta Vineyard Pinot Noir 2004
デルタ・ヴァインヤード ピノ・ノワール 2004
Delta Wine Company
デルタ・ワイン・カンパニー
Red
Marlborough (New Zealand)
マールボロー (ニュージーランド)
\2,0792005/06/08 お手軽ワイン館 ミレジム
 本日の夕食は、キュウリスティックと生ハム、ニラ玉、豚スペアリブの照り焼きバルサミコ風味、 水餃子のスープという豪華版。 というわけでワインもちょっぴり豪華版で、平日にも関わらず売価2000円のニュージーランド産ピノノワールを。 裏ラベルと販売店のページを総合すれば、1848年に設立されたワイナリーで、 この畑は2000年に植樹、2004年が初ヴィンテージ。 手摘みで収穫され、ワインの一部分はフレンチオークの新樽で醸造されているとのこと。
 まず特筆すべきは打栓形態。このワインはそこそこ高級品にも関わらずスクリューキャップ。 師範はこの件に関しては徐々にノンポリになってきた (以前はスクリューキャップより人造コルクの方が好きだった)のでそれほど気にならないけど、 熟成とかさせるつもりの人は気にするでしょうな。 ワインの色は、若さゆえか土地柄かピノ・ノワールにしては青暗い感じの紫色。 香りは、いかにもピュアッピュアなフルーツ感を湛えたピノ・ノワールらしい香り。 樽の影響はそれほど大きくなく、あくまで葡萄本来の香りで勝負、って感じ。 味もプリティでキュアキュア (別にアニメファンじゃなけど、でもプチ師範代が好きなんでタマに見てたり)。 気持ち炭酸っぽいジリジリ感がある点はあまり好きになれないけど、 若くてハツラツとした感じはビシビシと伝わる。
 要するに若くてピチピチなピノ・ノワールで、2000円という値段を考えても満足度は高い。 ただ、ブルゴーニュのそれとは良い意味でちょっと違うというか、 ブルゴーニュだと若くてもどこか斜に構えたような感じがあるのはなんでだろ?
77点自宅にて

5日(火)

Principe de Viana Chardonnay 2003
プリンチペ・デ・ビアナ シャルドネ 2003
Principe de Viana
プリンチペ・デ・ビアナ
Blanco
Navarra
ナバーラ
Navarra (Espana)
ナバーラ (スペイン)
\9242005/06/08 お手軽ワイン館 重松貿易
 本日の夕食は、タイ風チキングリーンカレー、タコとカリフラワーとオクラのサラダ、デザートにさくらんぼ。 カレーといえば師範の認識では最もワインに合わない料理の一つ。 夕食を準備した師範代としては、 きっと今日は普通の火曜に同じく休肝日だと思ってこういうメニューにしてくれたんでしょう。 でも、今週は日曜から飲んでないんで、今日は休肝日明け、そりゃワインを飲みたいってもんであります。 というわけでやっぱり飲みます。 ここはひとつトンチを利かせて、それぞれの料理との相性を探って、 本当にカレーとワインは合わないか検証することに。 実験対象に選ばれたワインは、「スペイン売れ筋セット(税込み5,565円)」5本の中の1本で、 ラベルには"Fermentado en Barrics(樽で醗酵)"の表示アリ。

○まず単体で
 色は(写真でも分かるかもだけど)やや濃い目の黄色。 香りにビックリ、涼やかな果実香とほんのり密香、看板に偽り無しの良い感じの樽香が同居。 いかにもシャルドネって感じで「名門ドコロのACブルゴーニュです」と言われても疑う余地は無く、 1,000円以下でこの香りはなかなかのもの。 味は、薄めでインパクトに欠ける感じがしないでもないけど、 そこそこコクもあるしバランスも悪くないし、口の中に飲んだ感じが長く残ったりもするので、 こちらもなかなかのものと見た。
○タコとカリフラワーとオクラのサラダと
 ドレッシングはオリーブオイルとバルサミコ酢、それほど香りの強い料理じゃないんで、 ほとんどワインの印象に影響なし。タコの魚介類っぽさとも特に問題なし。 邪魔もしなければ協力もしない中立的な立場、といった感じ。
○タイ風チキングリーンカレーと
 カレーはレトルト品(コレ)。 レトルトと侮るなかれ、タイナスやスズメナス、こぶみかんの葉や緑唐辛子も入っていて、 なかなかどうして本格的なタイカレー。 食べたこと無い方は是非お試しを。 ・・・ってなことは置いといて、このカレーってかなり香りも強く味も辛いんだけど、 想像通りワインとの相性はかなり壊滅的。 香りも味も、カレーを口に含んだ直後はかなりマスクされて、 液体の冷たさとアルコール感のみが協調され、 まるで甲類焼酎のロックを飲んでいるよう(そこまで酷くは無いけど、 ガブガブ飲んじゃうんで傾向としてはそんな感じ)。 香りに関しては、鼻はすぐ平常に戻るんでそんなに影響が長くは続かないけど、 味に関しては口腔内のヒリヒリ感が引くまではかなり時間がかかるので、 やはりワインを食中酒として選ぶのは愚策と言わざるを得ない。
○さくらんぼと
 甘味がマスクされ苦味に似た感じが協調され、良いこと無いです。 ただ、後半のこの苦味はさくらんぼの影響ってわけじゃなかったみたいだけど。

 ・・・というわけで、予想通りカレーとワインは合いません。 今回は白だったけど、赤もきっとダメじゃないかと想像します。 良い子はマネしないように。
 ・・・で、このワイン自体の評価という意味では、 抜栓後時間が経った後の苦味を差し引いても、 値段を大きく越えたパフォーマンスがあったように思う。 コッチは結構お薦めであります。

76点自宅にて

2日(土)

 本日は、知り合いO氏の壮行会。 これまでしばしば高級ワインをお持ち頂き、 「安ワイン道場」に敵陣視察の機会を与え続けてくれていたO氏だけど、 今月末から北米へ赴任されるとのこと。 ちなみにO氏と師範は高校の3年間同じクラスで、 高校時代から今に至るまで頻繁な付き合いが続いている唯一の友人。 いやー残念。でも頑張ってきて下さい。
 ・・・というわけで場所は、いつものN氏宅で。 参加者は、O氏、Sさん(わざわざ飛行機使って参加)、N氏ご夫妻と御曹司、師範、師範代、プチ&プチプチ。

Jean Pernet "Grand Cru" Chardonnay Brut N.V.
ジャン・ペルネ "グラン・クリュ" シャルドネ ブリュット (ヴィンテージ無し)
Jean Pernet
ジャン・ペルネ
Champagne
発泡
Champagne
シャンパーニュ
Champagne (France)
シャンパーニュ (フランス)
\3,9692005/06/23 みちのく岩手のワイン屋 竹澤 昭産商事
 壮行会ってことで、一本目は景気良くシャンパーニュを持参。 ノーマル・キュヴェは稽古済み。 値段を考えればとっても好印象だったので、 グラン・クリュのシャルドネだけを使用したその上級バージョンにもトライ。 「上級バージョン」っつったって道場稽古範囲からそう外れていない価格なんで、 値上がりの著しいシャンパーニュに於いてはそこそこ普通の値段ではあるけど。
 さて抜栓。今回は前回のようなヘマもなく普通にプシュッと。 色は薄め。ブラン・ド・ブランだからかな? 香りは、いかにもシャンパーニュらしいパンとか味噌みたいなイースト香がバンバン。 味はかなり険しく、苦味とも渋味ともとれないギリッとした感じがある。 「うーん、期待したほどでもないなぁ」と飲み進めていたわけですが・・・
 抜栓後時間が経つと、 香ばしい香りがかなり開いてきて、味わいの険しさもそれほどでもなくなった。 シャンパーニュも変化するんですな。
 ・・・というわけで、プレミアムなシャンパーニュとしてはやや期待ハズレではあったけど、 でもまぁそこそこ美味しくはあった。 コスト・パフォーマンス的にはノーマル・キュヴェに軍配。
82点N氏宅にて

Givry 1er Cru "Clos de la Sevoisine" (Blanc) 1999
ジヴリー・プルミエ・クリュ "クロ・ド・ラ・セルヴォワジーヌ" (白) 1999
Dom. Joblot
ドメーヌ・ジョブロ
Blanc
Givry 1er Cru
ジヴリー1級畑
Bourgogne (France)
ブルゴーニュ (フランス)
\2,7092005/06/23 みちのく岩手のワイン屋 竹澤 ラック・コーポレーション
 二本目の白も師範が持参。 ブルゴーニュ南部のマイナーな産地、ジヴリーの1級畑白。 造り手もそれほどメジャーじゃないけど、 世界的ワイン薀蓄野郎のロバート・パーカー氏が五つ星を付けた造り手だとか。 新樽比率を高めに使う造り手とのことなんで、それで彼にウケてるのかも。 この価格帯のワインとしてはやや古めのヴィンテージということもあり、 その樽が周りに溶け込んでマッタリとしたワインになってれば良いな、と期待して。
 ・・・と、期待を込めて抜栓。 色は、5年前のワインだとしてもやや色付き過ぎな気配のある、赤銅色に近い黄金色。 で、香りが・・・無い。というか詰まって出てこない感じ。あ~あブショネかぁ、 と思いコルクを見ると、それほど傷んだ感じは無く、 僅かに白変した部分(酒石ではない)があるのみ。 味もコクっぽさだけがあるような、師範の考えるブショネの傾向そのもの。
 ただ、このワインがまだ救われているのは、グラスに注いで時間が経つと(多分温度が上がると)、 詰まっていた樽と蜜を中心とした香りが出てくるところ。 それでも1999年のワインとしてはやや老獪な感じだけど。
 まぁ一定の確率でそういうワインが存在することは避けられないんだけど、 やっぱりちょっと残念。この造り手のワインは、同じ畑名で2000年産の赤を同時購入しているんで、 江戸の敵を長崎で討ちましょう。
(74点)N氏宅にて

Clos Saint-Denis 2000
クロ・サン・ドニ 2000
Dom. Philippe Charlopin-Parizot
ドメーヌ・フィリップ・シャルロパン・パリゾ
Rouge
Clos Saint-Denis (Morey Saint-Denis Grand Cru)
クロ・サン・ドニ (モレ・サン・ドニ特級畑)
Bourgogne (France)
ブルゴーニュ (フランス)
(O氏より) ヴァン・シュール・ヴァン・マスモト
 コレと下のワイン、ブルゴーニュの赤2本とボルドー一本は主賓たるO氏が持参してくれたもの。 前座はコレ、「安ワイン道場」的に大お薦めの造り手、 ドメーヌ・フィリップ・シャルロパン・パリゾ(残念ながら安ワイン価格のワインはほとんど造ってないけど)。 「前座」っつったって特級畑、普段の「安ワイン道場」とはちと違います。 この銘柄は、全く同じものを2年前に稽古済み。 同じ造り手の2000年産を3本並べてシノゴノ言ってた模様。
 抜栓してコルクの裏の香りを嗅いで、まったく問題ないことを確認。 色は、照りのある赤紫色。当日持参のためか気持ち濁った感じがあるけど、それほど気にはならない。 香りは凄い。そのボリュームはホントに凄い。 甘い樽香と木イチゴっぽいフルーツ香が、誇張でなくホントにバンバンと香ってくる。 グラスのボウルに鼻を突っ込まずとも、口を寄せただけでブワーッと迫って来る。凄いよなぁ。 味は、やや渋くて固い印象が無いではないけど、美味いことには違いない。
 前回飲んだ時と比べると格段に好印象。 マジで凄いブルゴーニュになっている。若いうちのピークなのかも。 それにしてもこの造り手はハズさない。 あまりアチコチで見かける造り手じゃないけど、 安ワイン者の「タマの贅沢」としては強くお薦め。
92点N氏宅にて

Richebourg 1996
リシュブール 1996
Dom. de la Romanee-Conti
ドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティ
Rouge
Richebourg (Vosne-Romanee Grand Cru)
リシュブール (ヴォーヌ・ロマネ特級畑)
Bourgogne (France)
ブルゴーニュ (フランス)
(O氏より) ヴァン・シュール・ヴァン・マスモト
 O氏が持参してくれたもう一本のワインがコレ、 本日の大メインたるドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティ(DRC)のリシュブール。 以前このメンバーで飲んだDRCはエシェゾー 1997があるけど、 残念ながら名前ほどの内容ではなかった。 果たしてDRCの面目躍如となるか? 買値は5万円くらいだったとのこと、それだけの価値のある液体なのか?
 色は、正直上のワインと大差ない赤紫。ただ、ほんのちょっとだけエッジがオレンジがかっていて、 それなりの熟成が見て取れるけど、そこに8年の差があるとは思えない若々しい色合い。 香りは、ボリュームとしては上のワインが上等、でも雰囲気はやっぱりこっちが上等。 その理由は要素の多さ。樽と果実のストレートな香りに加えて、 なめし革とか土とかみたいな、若いワインでは得がたい雰囲気を湛えているから。 で、圧勝なのが味。とにかくバランスが良くて全方位外交。 特に顕著なのがキレイな酸。このワインを飲んだ後だと、 上のワインは酸味に欠けて浮ついた印象を受けてしまうほど。
 抜栓後時間が経つと、香りのボリューム面でも全く見劣りしないほどに変化。正直参りました。
 ・・・というわけで、「やっぱDRCは凄い」という結論。 そもそもワインが嫌いな人を除けば、 コレ飲んで美味くないという人はほとんど居ないんじゃないか? それほど王道の美味しさ。 ただ、「安ワイン道場」的視点で突っ込みを入れると、やっぱ5万は高いっす。 というかどんなに凄いワインだって5万は高い。 『間違いなく美味いけど、上のワインを4本の方が楽しい』 というのが一緒に飲んだメンバーの統一した見解。
95点N氏宅にて

Carruades de Lafite 1999
カリュアド・ド・ラフィット 1999
Ch. Lafite Rothschild
シャトー・ラフィット・ロートシルド
Rouge
Pauillac
ポイヤック
Bordeaux (France)
ボルドー (フランス)
(O氏より) サントリー
 シメの2本は、タマタマ1999ボルドー対決。O氏が持参したのが、 メドック1級シャトー・ラフィット・ロートシルドのセカンド、カリュアド・ド・ラフィット。 このワインは、同じくO氏の持参で2001年に1996と稽古済み。 正直な印象で言うと、師範はセカンド・ワインはあまり好きではない。 もちろんそんなに数飲んでるわけじゃないんで、ほぼ食わず嫌いのレベルだけど、 やっぱりワインって『鶏口となるも牛後となるなかれ』な気がするわけで・・・ なんて言いつつ普段は「牛後」ばっかり飲んでるわけだけれども。
 さて抜栓。色は不思議と前の2本のブルゴーニュと大差ない。 多少青みが強いとは思うけど、「ブルゴーニュ=赤、ボルドー=黒」なほどの色の差は無い。 香りは、典型的で良さげなボルドー、という感じだったような。 味も、ボルドーとしては軽めだけど、バランスは悪くなくて、 「なるほどラフィットのセカンド・ワインね」なーんて知ったような口を利きそうなワインだったような。
 1999ボルドー対決では、人懐っこさと抵抗の無さではこっちに軍配が上がっていた。 でも、そういうトコロを狙うあたりがやっぱ「牛後」だと思うわけですな。 多少一般ウケを犠牲にしてもガツンと来て欲しいところであります。
82点N氏宅にて

Chateau Cos d'Estournel 1999
シャトー・コス・デストゥルネル 1999
Ch. Cos d'Estournel
シャトー・コス・デストゥルネル
Rouge
Saint Estephe (2e GCC)
サンテステフ (メドック2級)
Bordeaux (France)
ボルドー (フランス)
\6,2792005/06/23 みちのく岩手のワイン屋 竹澤 成城石井
 というわけで最後の一本は師範が持参したコレ。 サンテステフの筆頭、メドック2級のコス・デストゥルネルとは以前に 19831986と稽古済み。 造り手のサイトによれば、 1999年はカベルネ・ソーヴィニョン65%/メルロー35%でこの銘柄としてはカベルネの比率が高く、 『天候の変化が多く難しい年であったけれども良作であった、飲み頃は2008年~』ということらしい。 メジャーなワインはこういう情報が入手できて楽しいですな。
 で、上のワインとの比較だと、色は明らかにこちらが濃く暗い。 香りも、こっちの方が樽が強くてベリーの香りも熟れた感じ。 味も、こっちの方が香ばしくて甘苦い。 良いトコの葡萄を使って、それに見合うキツめの醸造をした、って感じのワイン。
 やっぱりボルドーはガツンと来てナンボ、ということだとこっちに軍配。 ただ、一人で一本だとやや辛そうなのと、 ここまで来るとなんだかニューワールドあたりのプレミアム物とあまり差が無くなって来るような気もする。 まぁ美味いんだけどね。余計なこと考えずに美味い美味いって飲んでりゃそれで良いんだけど。
86点N氏宅にて

 ・・・というような会でありました。
毎度の場所提供と美味なる料理の数々、ありがとうございます>N氏ご一家
いつもお土産ありがとうございます>Sさん
がんばってこいよ~>O氏


1日(金)

Dom. Fontenelles Merlot 2003
ドメーヌ・フォントネル メルロー 2003
Dom. Fontnelles (Vignerons Troisterroirs / Les Vignerons de Puisserguier)
ドメーヌ・フォントネル (ヴィニュロン・トロワテロワール / レ・ヴィニュロン・ド・ピュイッセルギエ)
Rouge
Oc (VdP)
オック (ヴァン・ド・ペイ)
Languedoc Roussillon (France)
ラングドック・ルーション (フランス)
\1,0502005/04/24 ナショナル麻布 稲葉
 いよいよ暦の上では7月(あたりまえか?)、皆様におかれましてはいかがお過ごしでしょうか? こういう暑い季節になるとキーンと冷えた白ワインを飲みたくなるもの。 だもんで、 在庫処分的な意味合いを込めてこれからの季節あまり手を出したくなくなるであろう南仏の赤なんぞをチョイス。 この銘柄は、一ヶ月前にシャルドネと稽古済み。 期待した割には普通の白ワインだったけど、果たしてこの赤はどうか、と。 ちなみに料理はコロッケ、先日の残りのラタトゥイユ。
 色はあまりにもストレートな青紫。 香りは、菜っ葉のような青臭い香りとアルコールの香りがツーンと来る。 こういう青っぽさってカベルネ・ソーヴィニョンの個性かと思ってたけど、 このワインの品種はメルロー、 己の築いた脳内香りマップがガラガラと音を立てて崩れ落ちる瞬間。 味は、口に含んですぐは「おっ、甘いじゃん」と好印象方向に気持ちが走り出すんだけど、 その後襲ってくるのがガッシガシの渋味。 元気の良いワインだと思うんだけど、今飲むのはちょっと・・・って雰囲気。
 抜栓後3時間、少しは柔らかく変化するかと思ったけど、 残念ながらガシガシに固いまんま。 やや香りに樽が感じられるようになったくらい。
 本気(と書いて「マジ」と読む)で造られたワインだとは思うけど、 いかんせん渋い。「渋い」っつったって高倉健みたいな含蓄のある渋さじゃなくて、 あまりにストレートな、チャールズ・ブロンソンのような渋さ (あまり映画界に明るくないんで適当に言ってます)。 数年置いときゃ丸くなるのかもしれないけど、 このクラスのワインを長く置いとく人なんてあまりいないよね。
63点自宅にて

前月分

by 師範