稽古日誌:2017年5月

道場のテラス

 5月、青葉が爽やかな季節、「安ワイン道場」もいよいよ21年目に入ります。

 最近、宅配便に関する値上げとサービス縮小が話題ですが、 ネットでワインを買って宅配便で配送してもらうことが多い道場ではかなり影響を受けます。 再配達受付時間の繰り上げは、携帯電話に配送案内をしてもらっていてそこから変更できるので大丈夫だけど、 「午後8時~」という時間帯が無くなるのが痛い。 近くにコンビニが無いのでコンビニでの受け取りは出来なくて、 また宅配ボックスを置くという選択肢も、ワインという商品の性格上ちょっと難しい。 ま、配送業者の健全な労働環境の確保というのは大切だと思うので、多少の不便は受け入れるべき、ということでしょう。

 ただ、きっとこの先何らかのブレークスルーがあるものと思います。 amazonじゃドローンでの配達なんてのを検討されているみたいですが、 ワイン12本入りの段ボールを飛ばせるドローンってどんだけ?って感じ。 あるいはUberみたいに手の空いた一般人が配送を代行するサービスかも ・・・ってそれも持ち逃げのリスクとかどうするんだろ?って感じ。 とはいえ「ネットで購入&個別配送」は時代の流れだと思うので、 このあたりで上手い方法を思いついた所が次の覇権を握るんでしょうね。


31日(水)

Rex-Goliath Pinot Noir N.V.
名称Rex-Goliath Pinot Noir N.V.
レックス・ゴライアス ピノ・ノワール (ヴィンテージ無し)
生産者HRM Rex-Goliath Winery
HRMレックス・ゴライアス・ワイナリー
価格755円
購入店 オーケーみなとみらい店

 本日で5月も最終日。そして今月は稽古本数が33本とやや多めだったこともあってか、 道場の掲載本数6,000本まであと3本と迫って参りました。 6,000本達成は多分今週末、記念に何を飲もうかなぁと考えておるところでございます。

 さて本日の夕食は、馬刺、肉じゃが、茶わん蒸し。 合わせたワインは米国産のピノ・ノワール。 OKストアで安売りされていたのでゲットしたもの。 この銘柄は3年前に稽古済み、 さすがにそれれとは生産年が違うんだろうけど、ノンヴィンテージなので不明です。

 色は、馬刺しの皿に残った血の色にも似た鮮やかな赤紫色。 田崎の真ちゃんがいう「色で合わせるべし」だと最適と思われます。 香りは、ピノ・ノワールらしいイチゴみたいなフレッシュ感のあるフルーツの香り。 ボリュームと雰囲気含め、悪くない香りです。 味は、渋味とかはほとんど感じず甘酸っぱ軽い味わい。 客観的にはイケてない要素は無いんだけど、主観的にはイマイチな感じがする味わいなのが謎。

 冷静に判断すると、これが800円以下なのは素晴らしく、「その値段だとコレは買い!」と高らかに宣言します。 ただ、「無条件に買い!」では無いんだな。 ちなみにこのワインには添加物として酸味料が使われている旨の記載があります。 そういうワインって、やっぱり「こりゃ凄ぇ!」の域には達しないよね。 安定剤(アカシア)みたいな、積極的にネガティブな感じは無いんだけど。

点数73点

28日(日)

Belstar N.V.
名称Belstar N.V.
ベルスター (ヴィンテージ無し)
生産者Jeio Belstar
ジェイオ・ベルスター
価格1,062円 (単品価格 1,944円)
購入店 エノテカ楽天市場店

 良いワインをしこたま飲んだ翌日のワイン選びは悩みます。 ずっと高く飛んでいるわけにもいかないのでいつもの低空飛行を目指すんだけど、 いきなり高度を落とすと墜落しちゃうわけで・・・ などと意味不明な例えをしつつ、 チョイスしたのはイタリア産のスパークリング。 選んだ理由はアルコール度数の低さ。 だって、昨日の最後の赤が少し残っているし、 買い物が終わった後ビールも飲んじゃっているんで、強いヤツだと二日連続のドボン状態になってしまいそうだったからね。 ちなみに料理は、昨日のシチューの残りを使ったパスタとか、これまた残りのピクルスとかラタトゥイユとかです。

 抜栓の際、手に強めの圧を感じたし、開けた瞬間「ポンッ!」と音が出たので、ガス圧は高いようです。 色はほぼ無色。若干緑色っぽい感じもあって、若い泡だろうなぁという印象を受けます。 香りはそこそこボリュームで、グレープフルーツや青リンゴみたいな涼しい系のフルーツ香がメインです。 口に含むと、手や耳で感じたようなガスの強さは無くて、泡のキメは細かくクリーミーで泡のボリュームはあるんだけど、 シュワシュワ感の強さは控えめです。 味わいは、かなりしっかりした甘味と酸味、それに軽い苦味を感じます。 数値を測ると、糖度が6.6でpHが3.0。スパークリングワインとしては平均的な数値だけど、なぜか結構甘酸っぱく感じるんですわ。

 やっぱり師範の持論である「泡の出るのは七難隠す」は正しいようで、 こういうのだと昨日のワインと比較してどうのこうの、ってのは感じずに済みます。 2,000円近い単品価格はちょっとアレですが、買値相当額の1,000円くらいだったら十分アリです。

点数74点

27日(土)

安ワイン道場 食卓

 本日は、「安ワイン道場20周年を自分で祝う会」と銘打って、道場開設間もないころからのお知り合いをお呼びしての飲み会。 参加者は、 「どう飲めばそう食う」光弘さん「ワインにてをだした」へんさん、 日系ペルー人似のとびさん、 紅一点で師範家の子供たちと同い年の男子のママがぶさん、 イタリア系移民似の磯子さん、師範の飲む人6名。 それ以外にはエグゼクティブ・シェフの師範代と子供たち2人。

 料理は、普段は大皿で出して皆で取り分けるスタイルにすることが多いんだけど、 今回はエグゼクティブ・シェフの意向を受けて、料理に合わせて皆さんそれぞれにサーブする方式にしております。

 肝心のワインは、基本的にお一人様一本のお持ち込みに、不足分を師範がプラス。 「安ワイン道場」の20周年記念なのに、安ワインとはおよそ縁遠い高級品が揃い、 道場史上まれに見る「高ワイン道場」となっております。

Sensation 1997 [Vincent Couche]
名称Sensation 1997
サンサシオン 1997
生産者Vincent Couche
ヴァンサン・クーシュ
価格6,998円
購入店 ヴェリタス

 一本目のシャンパーニュは師範が提供、というかこのために買ったもの。 道場と生まれが同じ1997年産のワインを探しておったところ、 お祝いという意味では最適なシャンパーニュが、普段良く買うヴェリタスで売られていました。 聞いたこともない造り手の知らないプレミアム銘柄なんだけど、 美味けりゃ儲けもん、そうでなくとも「安ワイン道場らしい」ということでコレ幸いと購入。 ちなみにデゴルジュマンは2015年7月17日とのことなので、 ずーっと売れなかった不良在庫、ということでは無さそうです。

 色は、普通のシャンパーニュよりちょっと麦わら色が強めかな、というくらい。 泡立ちも普通のシャンパーニュに遜色なく、外観的にはこれが20年も前のものだとは感じられません。 香りにはややシェリーっぽい熟成香があって、ここでようやく「なるほど古めのシャンパーニュだな」と感じます。 味はかなりドライでシャープ。 クタッとした香りと固い味わいのコントラストが、面白いと言えば面白く、違和感が無いかと言えばある、って感じです。

 クリュッグみたいなまったりした泡を期待するとちょっと違うけど、これはこれで美味しいシャンパーニュでした。 1997年といえば今年成人を迎える人向けにも使えますな。 そういうお祝い事用途にもよろしいかと存じます。

点数82点
安ワイン道場 料理1

 一皿目の料理がコレ。


海の幸のサラダ仕立て
Salade de fruits de mer

 スモークサーモン、タコ、マグロの赤身をレタスやトマト、新玉ねぎ、ベビーリーフと和えてサラダ仕立てにしたもの。 本日のコースでは、いわゆる「魚料理」的なポジションですが、 ワインの順番的に前菜より前に持ってきました。 使ったトマトは熊本産の塩トマト。これがめっぽうナイスでありました。

Chateau Jun Koshu 2013
名称Chateau Jun Koshu 2013
シャトージュン 甲州 2013
生産者 シャトージュン
価格(がぶさんから)
購入店--

 白の一本目は、がぶさんにお持ちいただいた日本ワイン。 「お祝いっぽいワインを」ということで、ボトル全体に金色のリボンが巻かれたシャレた外観です。 なんでも、造り手の「シャトージュン」は、アパレルメーカーの"JUN"が経営しているワイナリーとのこと。 そしてこのワインは、そのワイナリーの35周年記念の銘柄で、それゆえリボンが巻かれているみたい。 確かに道場20周年を祝うにふさわしいワインであります。

 色は極く薄いレモン色ですが、ほのかにピンク色っぽい感じがあって(気のせいかも知れません)、 薄ピンク色の甲州ブドウが思い起こされます。 香りのボリュームは結構あります。スダチやユズみたいなシュッとした和柑橘の香りと、 どことなく清酒の吟醸香にも近いようなメロンっぽい香り、 それに古い蔵の中のような湿った土の香りがします。 味は、甘さ控えめでカチッとした感じ。 「甲州は和食に合う」と言われますが、確かにこういうのは繊細な料理に合わせやすいだろうな。

 全体にそんなに強いワインでは無いので、↓のブルゴーニュと一緒に飲んだら存在が霞むんじゃないかと思ったけど、 意外とそういうことなくて「コレはコレ」としっかり主張していました。

点数80点
Puligny-Montrachet 1er Cru La Garenne 2009
名称Puligny-Montrachet 1er Cru "La Garenne" 2009
ピュリニー・モンラシェ プルミエ・クリュ "ラ・ガレンヌ" 2009
生産者Etienne Sauzet
エティエンヌ・ソゼ
価格7,560円
購入店 ヴェリタス

 もう一本の白は師範が提供。泣く子も黙るブルゴーニュの白の名手「エティエンヌ・ソゼ」の名門一級畑「ラ・ガレンヌ」。 買ったのが4年くらい前なんでこの値段だけど、今の実勢価格だと概ねこの倍、15,000円くらいはします。 そういう高級白なんで、胸を張って出したいところではあるだけど、 実はこの銘柄、6年前に2003年産と稽古していて、どうもイマイチだった印象。 そして3年前の2010年産との稽古の時は若すぎる印象。 定評のある畑なんで、今回こそはリベンジしてくれるものと期待しての登用です。

 色は、前の甲州と比べると明らかにレモン色が深くて、そして照りがあってエキス分が高そうな見た目です。 そして外観の印象通り香りも濃い。 蜜のタップリ入ったリンゴのフルーツ香に糖類を香ばしく焦がした香りが乗っかって、まるで焼きリンゴみたいなんだけど、 それがユルくなくて締まった感じなのがいかにもソゼらしい・・・などと知ったようなことを書きたくなる香りです。 味も、甘さも酸もしっかりあって、密度の高さを感じます。

 期待通り、「高級ブルゴーニュ白はこうあって欲しい」というところを見せてくれました。 抜栓後時間が経って、温度が常温に近づくと更に香りが増して凄いことになります。 リベンジ成功でなによりでございました。

点数90点
安ワイン道場 料理2

 二皿目の料理がコレ。


おつまみ4品(ラタトゥイユ、生ハム、枝豆の冷製スープ、ピクルス)
Quatre délicieux (Ratatouille, Jambon cru, Vichyssoise vert, Cornichon)

 いわゆる「前菜盛り合わせ」です。がぶさんにピクルスが大ヒットしておりましたが、 これはミツカンの「いろいろ使えるかんたん酢」にスティック野菜を一晩漬けただけです。 こういう、穏やかな酸味のある野菜ってワインに合うんっすよね。是非参考にされて下さい。

Clos de Beze 2008 [Prieure Roch]
名称Clos de Bèze 2008
クロ・ド・ベーズ 2008
生産者Dom. Prieuré Roch
ドメーヌ・プリューレ・ロック
価格(へんさんから)
購入店

 次から赤ですが、その赤の一本目がいきなりコレ。 へんさんにお持ちいただいたブルゴーニュの特級畑中の特級畑、いわゆる「超特級畑」のシャンベルタン・クロ・ド・ベーズ。 ただ、造り手のプリューレ・ロック(DRCの元共同経営者)は偏屈モノなのか、どこにも「シャンベルタン」の文字がありません。 『クロ・ド・ベーズっつったらシャンベルタン・クロ・ド・ベーズに決まってるだろ!このトーシロが!!』ってところなんですかね?

 さて抜栓しようとしたところ、キャップシールを剥がした下に、コルクの部分が蝋で封されています。 金掛けてますなぁ・・・というかそこまでしなくて良いでしょ。開けるの面倒いです。

 そんな感じで苦労して抜栓したワインはというと、外観的には薄めの赤紫色で、やや濁りがあります。 当日持参なので澱が舞って濁るのは致し方ないとしても、この薄さは「コレが特級?」と思った部分はあります。 ところがグラスに注いで鼻を近づけると間違いなくコレが特級なんだな。 アプリコット・ジャムのようなキュートで甘いフルーツの香りと、 熟成によって出て来たんであろう紅茶のような深い香り。それらがブワーッと来ます。 味わいにはかなりしっかりした酸があります。 華やかで甘いだけじゃない、奥深さを感じる味わいです。

 ワインは見かけによりません、恐れ入りました!のワインでした。 いつもこういうのが飲めれば良いんだけど、直近のヴィンテージでも50,000円以上するワインだからねぇ、 さすがにおいそれとは飲めませんよねぇ。

点数93点
Echezeaux En Orveaux 2011 [Dom. Laurent]
名称Echézeaux "En Orveaux" 2011
エシェゾー "アン・オルヴォー" 2011
生産者Dom. Laurent Père et Fils
ドメーヌ・ローラン・ペール・エ・フィス
価格(とびさんから)
購入店

 ↑の特級畑と同時に開けたのがコレ、同じく特級格付けのエシェゾー。 造り手は、力強いワインを造ることで有名なドミニク・ローラン氏。 この銘柄は彼がネゴシアン(ワイン商)ではなくドメーヌ(自社畑)として造ったワインとのこと。 恐ろしく重いボトルに入っております。

 色は、前のクロ・ド・ベーズに比べると明らかに濃い赤紫色を呈しております。 澱は無かったのか濁りも無くて、非常にきれいで深い色合いです。 香りはこれまた凄い。甘く焦がした木イチゴジャムがバッキンバッキンと香ります。 味わいも、しっかりとした甘さと力強い渋味。 開けてすぐは明らかに渋味が固くて「まだ若いな・・・」という感じだったんですが・・・

 これが抜栓後時間が経つと大変貌。もう文句なしに美味いブルゴーニュに変化してくれていました。 道場史上最高か!?と思われるようなワインですなぁ。 でも、このワインも20,000円とかするんだよねぇ。「安ワイン道場」じゃぁなかなかねぇ。

点数95点
安ワイン道場 料理3

 三皿目、今回メインの料理がコレ。


ニュージーランド産牛タンシチュー
Ragoût de langue de bœuf Nouvelle-Zélande

 師範「ひとつ覚え」のおもてなし料理、牛タンシチューです。 この料理の何が良いって、前日から準備しておけば当日は温めて出すだけで手が掛からないから。 そして間違いなく美味しいし、赤ワインなら何でも合うし。 残ったソースをパンに付けてチビチビ食べるのも一興ですし。

 ・・・なんだけど、今回のはちょっと出来が今一つだったかな。 まず牛タン自体の質に問題があって、やや臭みが強めでイマイチでした。 それと、ソースにも問題があって、いつもはスパイシーさを加えるためにウスターソース(リーペリンソース)を少量加えていたんだけど、 在庫を切らしていたためトンカツソースで代用したら、 スパイスさは加わらないし隠し味が前に出てきちゃうし、という結果でした。 今後の参考にしましょう>自分

Gagliole 1997 [Gagliole]
名称Gagliole "Vino da Tabola Rosso" 1997
ガリオーレ "ヴィーノ・ダ・タボーラ・ロッソ" 1997
生産者Antico Podere Gagliole
アンティコ・ポデレ・ガリオーレ
価格(磯子さんから)
購入店

 ブルゴーニュの後はイタリアの赤。 イタリアワインをお持ちになることが多い磯子さんの今回の持参品は、 最初のシャンパーニュと同じく道場生誕年1997年産のトスカーナ産。 イタリアに詳しくない(※)師範は知らない造り手の知らないワインでしたが、 あのロバート・パーカー氏はこのワインに93点を付けたとのことであります。

 「じゃぁどこに詳しいの?」と聴かないでください。

 色は、かな~り濁った紫色で、熟成っぽいこげ茶色な感じもあって、少なくとも「キレイ」とは言えない見た目です。 香りは、「あれ?これボルドーだっけ?」な雰囲気です。 品種はサンジョヴェーゼが主体らしいんですが、熟成するとカベルネ・ソーヴィニョンと似た感じになるのかな? フルーツっぽさは控えめになって、甘い煮豆のような香りと煙たいような雰囲気を感じます。 味わいは、若干澱の舌触りがあるような気もしますが、柔らかな渋味とこなれた感じでなかなかよろしゅうございます。

 澱の影響がない状態だったらもっと好印象だったのかなぁ、と思わないではないですが、まぁ仕方ないですね。 サンジョヴェーゼの熟成した姿を体験することが出来て、大変勉強になりましてございます。

点数84点
Ch. Mouton Rothschild 1996
名称Château Mouton Rothschild 1996
シャトー・ムートン・ロートシルド 1996
生産者Ch. Mouton Rothschild (Baronne Philippine de Rothschild)
シャトー・ムートン・ロートシルド (バロンヌ・フィリピーヌ・ド・ロートシルド)
価格(光弘さんから)
購入店

 さて本日の大本命がコレ、ワインにあまり興味の無い人でもその名前は聞いたことがあるであろう、 メドックの1級格付け「シャトー・ムートン・ロートシルド」。 この銘柄とは、今を去ること12年前に1989年産と稽古しており、 その時も光弘さんが持参されたものでした。 安ワイン道場、なんだか「たかり」のような人生を歩んでおります。

 このワインも当日キャリーだったんですが、なぜかこちらには濁りがほとんどありません。 エッジの退色もあまり見られない、非常に若々しい紫色です。 香りは、「うわぁ~ムートンっぽい!」などと一回しか経験したことが無いくせに口走ってしまうような、 ポイヤックの高級ワインの象徴的な香りがします。 ここまで飲んでくると自分の嗅覚に自信が無くなってくるので、 長女に香りのコメントを求めたところ「プルーンと蜂蜜の香り」だそうです。 味も、文句なしに美味しゅうございます。というか、「美味しい」という以上には記憶がございません。

 いや~、良いワインを飲んじゃったな。 21年経っても非常に若々しいおいしさ、安ワイン道場もかくありたいものです。 ただ、惜しむらくはもう少し正気な時に飲みたかったなぁ。 酔っ払いに飲ませちゃ勿体ないっすね。 もうちょっと順番を考えるべきだったかもだけど、どれも良いワインだったからなぁ。

点数92点
安ワイン道場 料理4

 良い感じにアルコールも廻ったところでテラスに出て残ったワインをチビチビと。

 今回、食べるものも皆さんにご協力いただいて、 左写真はがぶさんに持参して頂いたチーズいろいろと、とびさんに持参して頂いたパンいろいろ。 その他へんさんと磯子さんにはデザートをお持ちいただいています。 皆さんのご協力で成り立つ安ワイン道場であります。

Says Farm Merlot 2015
名称Says Farm Merlot 2015
セイズファーム メルロー 2015
生産者Says Farm
セイズ・ファーム
価格(さとなおさんから)
購入店

 我々の昔からのお知り合いで今やウェブ界隈を超えての有名人、 さとなおさんにもお声がけしたんだけど、 あいにくご都合で参加はかないませんでした。 ところが、さとなおさんからはなんと当日朝着でこのワインを贈って頂きました。 やっぱり有名になる人は気遣いが凄いですな。ありがたく頂戴致しました。

 色は、これがメルローとは思えない明るい紫色です。 やっぱり日本だと、それも氷見あたりの寒い地域では色の濃いワインを造るのは難しいんだろうな。 でも、香りはなかなかちゃんとしています。 メルローらしいピーマンとかみたいな青い感じの香りと、明るめの果実の香りがします。 樽香は感じられなくて、ブドウ由来の香りだけのストレート勝負です。 味は、決して強さは無いんだけどしみじみ美味い、染み入るような美味さです。 これぞ日本ワインだなぁ、という味わいです。

 ムートンの後に開けたので、非常に厳しい条件での稽古だったんだけど、 これがある意味ムートンにも負けてないというか、きちんと日本ワインの存在感を示すワインでした。 ラベルには「生産本数:2205」の文字があります。 大変貴重なワイン、ありがとうございました>さとなおさん

点数85点
Ch. Lafaurie-Peyraguey 2006
名称Château Lafaurie-Peyraguey 2006
シャトー・ラフォーリー・ペイラゲイ 2006
生産者Ch. Lafaurie-Peyraguey
シャトー・ラフォーリー・ペイラゲイ
価格(光弘さんから)
購入店

 チーズやパンやデザートも皆さんに一品ずつお持ちいただいた中で、光弘さんはデザートワインを持参されました。 それも、ソーテルヌの中でもトップクラス、第一級のシャトー・ラフォーリー・ペイラゲイです。 ヴィンテージは2006年、右写真でもわかると思うけど、トロットロのワインであることがボトルの外からも判ります。

 そしてね、コレが期待に違わぬトロットロなソーテルヌだったわけですよ。 琥珀色、という表現がピッタリくる色合いで、脚も超長くて見るからに濃い感じです。 味わいは、非常にしっかりした甘さがあるんだけどそれに呼応する酸もあるんで甘ったるくはありません。 香りは・・・どうだったっけ?多分最高級セメダインみたいな感じだったと思います。

 やっぱり正統派甘口ワインはマッタリ感がハンパ無いですな。 良いワインを飲んだ余韻に浸りながらのデザートワイン、これを至福と言わずしてなんと言いましょう、って感じです。

点数90点
Traversa Noble Alianza Reserva 2015 [Familia Traversa]
名称Traversa "Noble Alianza" Reserva 2015
トラベルサ "ノーブル・アリアンツァ" レゼルバ 2015
生産者Familia Traversa (Grupo Traversa)
ファミリア・トラベルサ (グルーポ・トラベルサ)
価格1,175円
購入店 サンタムール

 ・・・で、止せばいいのに、というか毎度のことですが、この期に及んで追加の一本を。 飲む人6人で10本目でございます。 ところが本日の師範は結構まだ意識がはっきりしておりまして、 ここで更なる高級ワインを追加することは理性がブレーキをかけておりました。 そして「濃いワインってだけで良いんでしょ」という感覚で選んだのがコレ、南米はウルグアイ産のワイン。 品種は、タナ50%、マルセラン30%、メルロ20%だそうです。 実は6年前にも2008年産と稽古しておりました。

 この酒量なんで細かいことは覚えちゃいないのですが、 「やっぱり差はわかっちゃうようなぁ」というのが実感でした。 甘味とか渋味とか、構成自体はちゃんとしているだけど、どうしても底が浅いのね。 なのでなんとなく物足りなさを感じてしまいます。 そういった意味では、2本目の甲州とか8本目のメルローとか、 本日の日本ワインの健闘が目立ちますな。

 幸いこのワインは一杯分だけ残っていたので、翌日(これを書いている本日)再稽古したいと考えております。

 翌日、一杯分の残りと改めて稽古。色は非常に濃くて、全く向こうが透けません。 ゆえに澄んでいるのか濁っているのかもわかりません(ボトルを洗うと澱が出て来たんで、底の残りだったからかも知れません) 香りは、草っ原を踏み均したみたいな青っぽい香りと、熟していない黒系果実の香り。 昨日もこうだったかは不明ですが、もしこの通りだったらそりゃ落差を感じるよね、という香りです。 そして改めて味わって感じるのは、「やっぱ師範って酔っ払ってても結構記憶しているじゃん」ということ。 甘味も渋味あって構成自体はちゃんとしているけど底が浅い、そのままの味わいです。

 開けたてじゃないので正常な評価ではないけれど、やっぱコレはミスチョイスだったかな。 安い候補の中でもウルグアイ産という珍しさを重視したんだけど、 スペインあたりのパーカー高得点モノにしておけば良かったか。

点数(69点)
安ワイン道場 コルク

 そんな感じで、午後1時ピッタリから始めてお開きになったのは午後8時前の長丁場、 皆さんお疲れさまでした。次は25周年記念ですかね? その時まで皆さんが健康に生き延びておられることを心よりお祈り申し上げております。


26日(木)

Chilano Vintage Collection Cabernet Sauvignon 2015
名称Chilano "Vintage Collection" Cabernet Sauvignon 2015
チラーノ "ヴィンテージ・コレクション" カベルネ・ソーヴィニョン 2015
生産者VyF
VyF
価格322円
購入店MEGAドン・キホーテ狩場インター店

 このワインのほとんどは料理用に使い、味の確認のために一杯だけ稽古したので参考情報です。 煮込み料理に使うワインって、繊細さとかは必要ないというかどうせわかんなくなるけど、 濃さは必要だと思ってます。そういう目的にピッタリ合いそうだと考えて選んだのがこのチリ産のカベルネ・ソーヴィニョン。 お値段322円(税別298円)はちょっと攻めすぎか・・・と若干の心配はあったわけですが・・・

 色は、しっかりと濃い紫色。この時点でやや安心。 香りも、カシスみたいな黒っぽいフルーツの香り (実際は「カシス」そのもののイメージというより「カシスリキュール」のイメージだけど)があり、 チョコレートっぽい甘香ばしい雰囲気もあって、なかなかちゃんとした香りです。 味は、思ったほどの濃さは無いものの、甘さがあって酸味が控えめ、煮込み料理に使うにはかなり良いバランスだと思われます。

 ド・ストレートだけど普通にしっかりした赤でした。 というわけで、晴れてテイスティング・チェックは合格、料理用にすることに相成りました。 ただ、飲んで美味いかと問われるとちょっと微妙だな。 特に、「安定剤(アカシア)」が使われていることが気になります。 今回は一杯だけなんで問題無かったけど、一本飲むとがぜん飲み飽きすることが容易に想像されます。

点数(68点)

25日(木)

赤玉スイートワイン(白) N.V.
名称akadama SWEET WINE (White) [N.V.]
赤玉スイートワイン(白) [ヴィンテージ無し]
生産者 サントリースピリッツ
価格540円 (550ml)
購入店 イオン天王町店

 本日5月25日は安ワイン道場の創立記念日。本日をもちまして「安ワイン道場」は20周年を迎えます。 そう、「ハタチの誕生日」であります。おめでとうございます>自分。

 そんな記念日に稽古するワインに選んだのは、日本のワインの原点を探るべく、1907年から販売されているサントリーの赤玉を。 正確には、最初に造られたのは赤玉の赤の方なんだけど(白が発売されたのは1954年)、 そっちは安ワイン道場掲載5,000本達成時に稽古しているんで、今回は白と稽古します。

 裏ラベルに書かれた情報によれば、 容量は550ml(三合?)。『輸入ぶどう果汁・国産ぶどう・輸入ワイン使用』の文字があり、 『このワインは、サントリーの技術責任者が厳選した原材料を使用し、日本国内で製造しました』との説明も書かれています。 先日聴いた話だと、サントリー塩尻ワイナリーで造られているらしいですね。 あと、アルコール度数は14%と高め。 添加物とし酸化防止剤(亜硫酸塩)と酸味料の記載はありますが、 安定剤(アカシア)や香料の類は使われていないようです。糖類も書かれてはいません。

 色はかなり薄め。でも無色ってほどではなくて、色的には普通の白ワインです。 色以外の外観上の特徴としては、極めてアシが長くてネットリ感があり、エキス分が濃そうな見た目をしています。 香りは、日本のワインらしい香りが結構なボリュームで香ります。 この「日本のワインらしい」ってのはアレですね、ナイアガラ種とかにある、 いわゆる「フォクシー・フレーバー」と呼ばれる香りです。 好き嫌いのある、というか一般に嫌われがちな香りだと思うのですが、幸い師範はこの系統の香りは嫌いじゃないです。 そして味は・・・べらぼうに甘いです、無慈悲な甘さです。 数値を測ると糖度17.9はデザートワインの領域、 pHは3.2で酸が無いわけじゃないけどとにかく甘いです。

 ここまで甘いとストレートで飲むにはなかなか厳しいものがあります。 それもあってかこのワイン、裏ラベルで4つの飲み方が提案されていますので、素直な師範はそのすべてを試してみました。

そのままストレートで
 上記の印象通りですね。

氷を浮かべてオンザロックで
 ほぼ「ブドウの香りのする梅酒ロック」ですが、ちょっとエグみが感じられてパッとしません。

さっぱりソーダ割りで
 ほぼ「ブドウの香りのする梅サワー」です。ロックよりこっちの方が好印象。ただどっちも香りは弱くなりますね。

ホットで味わうお湯割りで
 これはかなりの変化球です。香りのフォクシーさが一層強調されます。 山梨あたりの農家ではこういう飲み方もされているのかな? 「ブドウの香りが強烈な燗酒」というイメージです。

Since 1907

 やっぱり、昔の日本は「甘い=美味い」だったんだろうな。 多分酒精強化(発酵途中でアルコール添加して糖が残っている状態で発酵を止める)なんだろうな。 今度塩尻ワイナリーに行けるようなので、 その時にどうやってここまで甘くしているのか聴いて来よう。 そして、師範的にはこのワインは結構イケてると感じました。 赤は香りが弱くて甘いだけでしたが、白にはちゃんと香りがあります。 そのナイアガラ風の香りが嫌いでなければ、デザートワインとして成立すると思います。 それがワンコインなのは実際安いっすね。

Since 1997

 ・・・というわけで、原点に立ち戻って20周年を振り返るワインは極めて興味深い内容でありました。 ちなみにこのワインのラベルには、右のように"SINCE 1907"の文字があります。 そいつをちょっと拝借して(著作権的にはアレですかね?)、道場用に"SINCE 1997"というロゴを作らせて頂き、 これをトップページに貼ることにしました。安ワイン道場20年目のシステム・アップデートは、たったこの一点でございます。

点数70点

24日(水)

Bourgogne Passetoutgrain 2012 [Regis Roux]
名称Bourgogne Passetoutgrain 2012
ブルゴーニュ・パストゥグラン 2012
生産者Régis Roux
レジ・ルー
価格1,458円
購入店 サンタムール

 以前は水曜日の夕食は大抵師範が調理担当だったんだけど、次女が中学に通うようになり夜の習い事に行くようになってから、 師範が送り迎え担当/師範代が調理担当ということになっております。その方がスキル的にも効率が良いからね。 そして、本日は久しぶりに師範が調理担当。なぜならば、次女は二泊三日の「自然教室」だったかで不在だから。 師範+師範代+長女で囲む夕食には、豚のソテーwithモヤシのカレー炒め、 ツナと玉子とブロッコリーのマヨネーズ和え(※)をご用意させて頂きました。

(※)マヨネーズ嫌いの次女が居ないとき専用メニュー

 そんな料理に合わせたのが、ブルゴーニュの赤。 格付け的にはかなり下の方に位置するブルゴーニュ・パストゥグランだけど、 時々「エェ!」ってなるほどイケてるやつに当ることもあるので、わずかな期待を胸に抜栓します ・・・ってか、1,500円近くもだして「わずかな期待」しか持てないのってどうよブルゴーニュ!って感じですが。

 色は薄めの赤紫で、エッジに僅かにオレンジが見て取れて、そこそこのお歳のブルゴーニュっぽい色です。 色だけからは(このワインの主品種であろう)ガメイの雰囲気は見られません。 ところが香りはブルゴーニュらしく無くて、やや南仏っぽいというか野暮ったいフルーツ香を感じます。 香りのボリュームも控えめで、ややお歳かなぁ、という印象を受けます。 味は薄めで軽め。スイスイと抵抗なく入っていく感じは悪くないんですが、反面頼りない印象は禁じ得ません。

 このワイン、ヴィンテージ更新に伴うバーゲン価格で売られていたんだけど、 その判断は正解だと感じましたね。 多分、もっと若いうちの方が溌剌とした良さがあったんじゃないかと想像します。 安ワイン者のくせにブルゴーニュを偏愛しているので、このワインを一刀両断「薄くて酸っぱいワイン」とは言いません。 そして、どことなく親しみやすががあるような気もするわけです。 マル一本飲んでもスイスイ入る、そういう良さね。

点数69点

21日(日)

Saint-Veran Tradition 2014 [Dom. Deux Roches]
名称Saint-Véran "Tradition" 2014
サン・ヴェラン "トラディション" 2014
生産者Deux Roches
ドゥー・ロッシュ
価格1,790円
購入店 ヴェリタス

 本日もまた夏のように暑い一日でした。そんな日曜の夕食メニューは、マグロとタコとスモークサーモンのサラダ仕立て、 ラタトゥイユ、ピクルス、枝豆のスープ。 ワインは、村名付きブルゴーニュだけど2,000円以下というお得感のある白をチョイス。 さらにこのワイン、販売店のサイトによれば「リアルワインガイド(※)」というワイン雑誌で 「旨安賞」を取ったとのこと。

 (※)リアルワインガイド、2002年の創刊号で師範の独占インタビュー記事が、 2004年の第6号で師範とタカムラワインハウスの松さんとカーヴドリラックスの内藤さんとの対談記事が載っています。

 色は、明らかに普通の安白ワインとは雰囲気の異なる、黄金色と麦わら色の中間くらいの色合いで、結構濃さもあります。 そして香りにビックリ。まずガツンと来るのは蜜の香り。 それに、白桃や熟れたリンゴのフルーツの香り、それにビスケットの香ばしさが乗っかっています。 香りのボリュームこそ中程度だけど、雰囲気は高級シャルドネの香りそのものです。 味わいも、香りの印象通り高級感のある旨味たっぷり、そしてグレープフルーツ的な軽い苦味と酸味を伴った味わいです。 ただ、香りと比べるとややシンプルかな。2,000円以下のシャルドネだとこれくらいの味わいがあれば十分なはずですが、 香りが飛びぬけているので相対的に味わいが弱いように感じられます。

 とはいえこのワインはアタリ。旧ワールドの面目躍如、底ヂカラが発揮されたシャルドネです。 ちなみにリアルワインガイド、最近は現地試飲とかばっかりで一般人では買えないワインのレビューばっかなんでほぼ見てないけど、 やっぱりこの雑誌の「旨安ワイン」を選ぶ企画は信用するに足る気がします。

点数83点

20日(土)

Niel Joubert Pinotage 2012
名称Niel Joubert Pinotage 2012
ニール・ジュベール ピノタージュ 2012
生産者Niel Joubert
ニール・ジュベール
価格2,430円
購入店 WINE SHOP フラダリ

 昼間は夏のような暑さだったけど、日が暮れると涼しい風が心地よい一日。 この時期がワインを飲むには一番良い季節です・・・と言いつついっつも飲んでますが。

 そして本日の夕食はヒレカツ&チキンカツ、千切りキャベツ、新玉ネギのサラダ。 ワインは、ツイッターでフォローさせて頂いている方お薦めの南アフリカ産からの三本目 (シャルドネソーヴィニョン・ブランは稽古済み)。 本日抜栓したのは南アフリカではメジャーな品種ピノタージュ。 ピノ・ノワールとサンソー(別名エルミタージュ)の交配品種ですな。

 色は、大き目のグラスに注いでも向こうが透ける程度の濃さの赤紫色。赤ワインらしいキレイな色であります。 香りは、プラムのようなキュンとした果実の香りに加えて、 フランス南部やニューワールドのピノ・ノワールにありがちなケモノっぽさも感じます。 樽のかけ方は控えめで、口に含むと若干甘香ばしいバニラを感じる程度です。 味わいは、重くなく軽くなく、しっかりした旨味は感じるけどスイスイ飲めるバランス。 あっと言う間にグラスが空になります。

 良い意味で「気軽に飲める」ワインです。ファイティング・ポーズを構えて対峙するワインではありません。 ピノタージュって、造り手によって振れ幅の大きい品種というイメージがあって、 それこそブルゴーニュのピノ・ノワールみたいなのから「これコーヒー?」みたいなのまであるけど、 このワインはとちらかというと前者。 2,430円という価格の絶対値は安くないけど、同価格帯のACブルゴーニュと比較すると決して高くないとも思います。

点数79点

19日(金)

Haras de Pirque Chardonnay Reserva 2015
名称Haras de Pirque Chardonnay Reserva 2015
アラス・デ・ピルケ シャルドネ レセルバ 2015
生産者Haras de Pirque
アラス・デ・ピルケ
価格708円 (単品価格 1,296円)
購入店 エノテカ楽天市場店

 本日の夕食は、メカブの酢の物、カツオとレタス&トマト&新玉ネギのサラダ、玉子豆腐、ブリの照り焼き。 そう来るとやっぱり白を選んじゃうのが人情ってもんです。 というわけで、選んだのはエノテカのパーティパック、12本で1万円のセットからチリ産の白。 それを、最近買った新しいグラスで稽古。 白に使っても違和感ないかテストします。

 色は薄め。普通に南半球の安シャルドネ然とした外観。 香りもいかにも南のシャルドネで、黄桃やパイナップルみたいなトロピカル系の香りがいっぱい。 その奥に、派手すぎない程度の樽香もあって、なかなか高級感のある香り。 ところが味は、香りからするとコッテリした味わいを想像するんだけど、 実際は見た目に準じて軽い感じ。 甘さは控えめ(糖度6.2)、酸味はそこそこしっかり(ph3.2)で、 若干チリチリした炭酸を感じて後味には軽い苦味も。

 香りは典型的なチリのシャルドネだけど、味わいはもっとずっと涼しい地域の雰囲気で、なかなか面白いワイン。 ただ、「面白い=美味しい」というわけじゃなくて、なんかやっぱり薄っぺらく感じるのね。 セットの割り戻し価格である700円だとお買い得感があるけど、単品価格の1,300円だと値段なり、という感じです。 使ったグラスの評価に関しては、香りはしっかり感じ取れたんで、問題なしでした。

点数71点

17日(水)

Atlantico Vinho Regional Alentejano 2014
名称Atlântico "Vinho Regional Alentejano" 2014
アトランティコ "ヴィーニョ・レジオナル・アレンテハノ" 2014
生産者Caza Aglicola Alexandre Relvas
カザ・アグリコラ・アレシャンドレ・レルバス
価格1,030円
購入店一力酒店

 最近の水曜夜は、早めに帰った師範が次女の習い事に車で送って行って、 夕飯は師範代が前日から準備したor当日チャチャッと準備したものを食べる、という慌しい感じ。 本日のメニューは、チキンのトマト煮込み、レタス&トマト&キュウリとクリームチーズのサラダ、 師範代が前日から準備したものです。

 合わせたワインは、久しぶりのポルトガル産赤。ゴールデン・ウィーク中に散歩していた際に、 たまたま通りかかった酒屋さんで大無料試飲会が行われていて、 そこで20種くらい試飲した赤の中からピックアップしたもの。 師範の評価基準は、安ワイン道場らしく「コスト・パフォーマンス」に重きを置いていたので、 ほぼ最安値クラスのコレになりました。

 色は、紫色というよりややガーネットに近い色合い。濃さも中程度で、向こうが透けるレベル。 香りのボリュームはそこそこしっかりしていて、ツンッとした刺激のある果実香に、ややスパイシーな香り。 やや酸化のニュアンスがあり、熟成した雰囲気も感じる香りです。 味は、全然強さは無いんだけど、渋味が柔らかくさとこなれた甘さがあって、しみじみ美味い感じです。

 スケールは小さいけど、ほのぼのとしたヨーロッパの田舎っぽい感じがあって、良い感じのワインです。 ただ、一本飲むと、年齢以上に老けているというかこなれた感じに違和感を感じる部分もあります。 試飲では若いワインが多かったから、この熟れた感じにグッと来たのかも知れません。

点数75点

14日(日)

母の日料理

  本日は母の日ということで、夕食は子供たちが調理担当。 メニューは、タコと野菜のマリネ風サラダ、ヒラメのカルパッチョ、ローストビーフ。 親にいろいろと指南は仰ぎつつだったけど、結果的には結構イケてる料理が出来上がっておりました。

Buti Nages (Rose) 2015 [Ch. de Nages]
名称Buti Nages (Rose) 2015
ブティ・ナージュ (ロゼ) 2015
生産者Ch. de Nages (Michel Gassier)
シャトー・ド・ナージュ (ミシェル・ガシエ)
価格1,180円
購入店 ヴェリタス

 こういうメニューでもあるし、なんたって母の日っすからね、やっぱ母の日はロゼでしょう。 主賓である子供たちの母親は飲まないんだけどね。

 ちなみに南仏さんのこの銘柄とは、赤の2014年産白の2014年産などと稽古済み。 そもそもは門下生からご推薦いただいたものだけど、基本的に好印象な銘柄。 赤も白も上手な造り手はロゼも上手であろう、ということで安心して稽古します。

 色は、かなりオレンジ色寄りの薄ピンク色。やっぱロゼってヤツは色がキレイでロマンチックですな。 「安ワイン道場」と「ロマンチック」って言葉は一番似合わんとは思いますが。 香りは、目をつぶって嗅げば「赤、それもグルナッシュ?」と答えそうなくらい赤っぽい香りを感じます。 味わいは、酸味がキリリ、軽い渋味があって甘味も感じます。 数値を測ると、pHが3.2で酸が強めなのは味わい通りなんですが、糖度が6.4と低めなのがちょっと意外。 数字以上に甘さを感じるのは、いわゆる糖分じゃなくて別のエキス分が濃いのかもしれません。

 薄ら甘いヘタレなロゼではなく、赤の要素をキッチリ残したカッチリ系で「漢のロゼ」でした。 これも、赤ワインを造る際の副産物、セニエのロゼですかね? そのあたりは裏ラベルの情報からは読み取れませんが、 いずれにせよ魚から肉の料理に一本で合わせるにはナイスな選択でありましたよ。
点数76点

13日(土)

Kloof Street Swartland Rouge 2013
名称Kloof Street Swartland Rouge 2013
クルーフ・ストリート スワートランド・ルージュ 2013
生産者Mullineux Wines
マリヌー・ワインズ
価格1,591円 (単品価格 2,400円)
購入店ワイン商人 ドゥアッシュ

 本日の夕食はプルコギwithサラダ菜、モヤシとキュウリのナムル、焼きヤングコーン、ブロッコリーとトマトとカニカマのサラダ。 ワインは、最近あちこちで取り上げられて人気急上昇中の感がある南アフリカ産をチョイス。 南アフリカ産って、チリやオーストラリアみたいなニューワールドの雰囲気と、 フランスやイタリアの旧ワールドの雰囲気を併せ持っている印象があります。 それってきっと、緯度は南米豪州に近くて経度はヨーロッパに近いからなんじゃないですかね? 要するに自然環境は南米豪州と同じで、感じ方考え方はヨーロッパと同じ・・・なんてね。 全くのこじつけですが。

 ちなみにこのワイン、先日白と稽古していて、ちょっと期待をハズされた感じ。 この造り手は結構定評あるところらしいんで、赤には白の分の期待も載せて稽古します。 品種はShiraz 85%, Carignan 9%, Cinsault 2%, Mourvedre 2%, Grenache 2%だそう。 シラーズを中心に南仏系を漏れなく、という感じですな。

 色は、それなりに濃いんだけど向こうが透けるレベル。 まるでボージョレ・ヌーヴォ―のような、橋から中までぴしっと真紫な色合いです。 香りのボリュームは控えめ。 熟して潰れたイチゴや鉄っぽさがあって、感じられる雰囲気はまさしくローヌの赤のそれなんだけど、 いかんせんおとなしい感じなのが残念。 味は、ローヌの安いヤツに良くある田舎っぽい垢抜けなさは少なくて、 しっかりした骨格と酸のある几帳面な感じの味わい。 同じシラーズでも、昨日稽古した豪州産とは良くも悪くも全く別物です。

 悪くないワインです。サイトの説明にあるように、食事には合わせやすいワインだとは思います。 ただ、白の時の感じたのと同じく、品質は高いんだろうけど表現が寡黙、という印象は否めません。 ちょっと行儀が良すぎるのかな。単品価格の2,400円だとややコスト・パフォーマンスが悪いように感じます。

点数74点

12日(金)

Peter Lehmann Portrait Shiraz 2013
名称Peter Lehmann "Portrait" Shiraz 2013
ピーター・レーマン "ポートレイト" シラーズ 2013
生産者Peter Lehmann Wines
ピーター・レーマン・ワインズ
価格952円
購入店 イオン天王町店

 本日の夕食メニューは主菜が豚モツのキャベツ炒めで、副菜がミミガーとキュウリの酢の物、そして昨日の残りの餃子とかサラダ。 ワインは豪州産の赤をチョイス。 イオン天王町店で半額以下投げ売りセール(この時)に買ったピーター・レーマンのシラーズで、 これが最後の1本。 既に稽古したカベルネはかなり好印象、 ラベルの図案もあって「なんちゃってオーパス」なんて嘯いております。 白のリースリングとも稽古済み、 こちらは「豪州産のリースリングって甘くてクドいんだよね」という世間の認識に真っ向から対抗するワインでした。 そして豪州を代表する品種であるこのシラーズ。 先行して稽古された方の評価を見ると、 若干微妙っぽい感じなのが気になるところであります。

 色は、向こうが透けないくらいの濃さがあって、紫色に若干ガーネットっぽい色合いがあって、 若いワインとしてはやや落ち着いた印象を受ける見た目です。 香りのボリュームはそこそこで、黒系果実の香りと甘香ばしい香り、それに豪州産らしいミントっぽい香りもあります。 裏ラベルには『ダークプラムとチョコレートのブーケに・・・』と書かれていますが、 ダークプラムってのは知りませんがチョコレートはさもありなんです。 味わいは、甘さしっかりでアルコール感を強く感じます。そして渋味もあるけど、ややチリチリした感じを受けます。 酸味も感じるけど、そんなに目立ってはいません。

 全体に濃くて柔らかいワインです。これが1,000円以下だったら間違いなく買い!です。 ただ、元値の2,000円前後だったら特にお得感はありません。そのレベルだと香りのボリュームをもう一声、って感じですかね。

 ちなみにこのワインには「酸味料含有」の表記がありますが、酸味料やビタミンCの使用に関しては、 師範の経験上「保存料(アカシア)」ほどのネガティブな印象はありません。 もちろん使わないなら使わないに越したことは無いし、高級ワインだったら「そんなもん使わずに勝負せい!」とは思うけど、 買値1,000円程度のクラス(※)だと「マトモなワインにするための必要悪」という認識です。 ラベルに明示せずに補糖や補酸がされたワインより正直だとも思います。 でも、やっぱり後付けで味わいを調整しても、べらぼうに美味いレベルまでは至らないんだよな。あくまで「救済措置」という認識。 だもんでこのワイン、きっと酸味料入れないとボケた味わいになってたんじゃないかな? そして、ブドウがしっかり熟す地域はその地域なりの苦労が伺い知れました。

(※)元の売値が税別1,980円であったことを考えると、やや微妙でもあります。

点数74点

10日(水)

Chablis 2013 [Jacques Bourguinon]
名称Chablis 2013
シャブリ 2013
生産者Jacques Bourguinon
ジャック・ブルギニョン
価格1,049円 (単品価格:1,369円)
購入店 ヴェリタス

 本日の夕食は、刺身三品(マダイ、カツオ ,ブリ)、トマトのチーズ焼き、ニラ玉w/ソーセージ、ホウレン草のお浸し。 主役が刺身ということもあって、ドライな白ワインの代名詞であるシャブリをチョイス。 この銘柄は、昨年夏に稽古しており、かなり好印象だったもの。 この手の「フレッシュ&フルーティ」さが売りの白ワインだと、 若ければ若いほど良いという印象があるわけだけど、 さて半年を経てどうなったのか、検証を含めて(※)改めて稽古。

(※)たまたまセットに入っていた、という説もあります。

 色は、前回同様の薄レモン色。アルコール度数は12%、 昨今のワインとしては低めということもあってかアシは短くサラリとした見た目。 香りは、前回のボリュームを期待して鼻を近づけると「エェッ?」って感じでコケます。 レモンやグレープフルーツ、柚子といった柑橘類を感じはするんだけど、しっかり探してようやく見つける、といった感じ。 味わいは、甘さ控えめなのは想定通りだけど、なぜか酸味もそんなに強くなく、 どちらかというとブルゴーニュでも南の方のシャルドネみたいな旨味とコクを中心に感じるバランスです。

 悪くは無いんだけど、もっとツーッと一本筋の通った鮮烈な香りと味わいを期待していました。 1年弱でこんなに違うものなのかなぁ。 数値的に、糖度は前回と同程度だけどpHが前回は2.8/今回は3.2とかなり違うので、 ボトル差または状態の差があったのかも知れません。 シャブリってそもそも難しい銘柄だと思うけど、 前回のは「シャブリもイケるでしょ?」/今回のは「やっぱシャブリはイマイチだよね」と、 同じヴィンテージの同じ銘柄でも簡単に分水嶺を超えるから更に難しい。

点数70点

7日(日)

串屋物語 ららぽーと横浜店 外観

 長かった連休最終日、本日のレジャーは「ららぽーと横浜」まで買い物。 昼食は、この施設の中にある串屋物語 ららぽーと横浜店というところを利用、 串揚げ食べ放題の店です。 師範の信念としては「食べ放題に美味いもの無し」だと考えてはいるわけですが、 どうも女性陣がこの店が気になっているらしかったのね。 上記の格言が真実か、検証して参ります。

 開店時間は午前11時。お店に電話して聞いたところ「午前10時のららぽーと開店と同時にウェイティング・リストを出すので、 最初にそこに名前を書くと確実です」とのことだったのでそうしました。 実際、この店の開店時間11時にはすでに30組ほど名前が書かれていました。 お客さんの大半は食べ盛りっぽい中高生。彼ら彼女ら世代に食べ放題は魅力的だよね。

串屋物語 ららぽーと横浜店 料理  料理は、大人1,728円のコース食べ放題コースのみ(小学生は1,000円くらいだったか)。 これが平日だと1,620円になるあたりも、足元見ているなぁ、と感じます。 あと、ドリンクバーが216円。アルコールの飲み放題コースもあって、生ビール付きが1,620円/無しが1,080円。 元が食べ放題なのに、追加料金払って胃の腑の空きを少なくするのはポリシーに反するため、 その手の追加はしませんでした。

 ここのシステムは、串に刺した状態の食材を取って来て、それぞれのテーブルで衣を付けて、 テーブル中心に設置してあるフライヤーで客自身が揚げる、というもの。

 正直言って刺してある食材(特に肉類)はかなりグレードの低いものだし、 自分で衣を付けて揚げるとなると衣の量も揚げ時間も適当なので、 そんなに美味い串揚げが出来上がるわけではありません。 ただ・・・やっぱり楽しいんだな、これが。 食のエンターテイメント性に目を付けたこの店の勝利だと思います。

 ランチの制限時間は70分、それくらいの時間だとのんびり食べていたらおなかパンパンにはなりません。 それが逆に、食べ放題にありがちな「食べ過ぎてしまって後悔」という状況に陥らないことにも繋がります。 長女も次女も『また行きたい!』と言っていたので、きっとまた利用することになると思います。

極楽湯 芹が谷店 外観

 ゴールデンウィーク・レジャーのシメは、 横浜温泉郷にある温泉の一つ極楽湯 芹が谷店へ。 前回利用したのが年末の帰省前なんで、約半年ぶりでございます。

極楽湯 芹が谷店 生ビール(大)

 道場から比較的近い距離に、ここ「極楽湯 芹が谷店」と、 先月利用した「満天の湯 上星川店」に加え、 ららぽーと横浜からは一番近い(昨年8月に利用)「竜泉寺の湯 横濱鶴ヶ峰店」 という三軒のスーパー銭湯があります。 その中で、距離的には一番遠いけど、お食事処が一番充実しているのがここ極楽湯なんで、 今回はここをチョイスした次第であります。

 午後3時から2時間ばかり風呂に浸かって、 風呂上がりは当然生ビール(大)756円。 銘柄はスーパードライでした。 風呂上がりの一杯という目的では、この銘柄が一番ウケが良いであろうことが想像されます。

極楽湯 芹が谷店 韓国風ヤンニョム唐揚げ

 そのビールのツマミとして、まず一皿目に注文したのがコレ 韓国風ヤンニョム唐揚げ583円。 ゴールデン・ウィークの期間限定メニューだそうです。 鶏モモ肉の唐揚げの周りに、コッテリとした甘辛いタレがたっぷりかかっていて、 いかにもジャンクな味わい。 でもこういうのが美味いんだな、風呂上がりのビールに合わせるには。

極楽湯 芹が谷店 赤ワイン(デキャンタ)

 その後、当然ながら「安ワイン道場師範」の任務である居酒屋ワインのチェックは怠りません。 前回利用した際には白のデキャンタを注文したので、 今回は赤ワイン(デキャンタ) 500mlで918円を注文。

 銘柄は・・・やっぱりフランジアかなぁ。 白は案外好印象だったんですが、赤はちょっとねぇ。 色も香りもとても弱くて、渋味なんかもほとんど感じない、単に甘酸っぱい赤ワイン。 いっそこういうのなら白同様冷やして出して頂けるとまだ印象良かったのかも知れないけど、 常温だと厳しいものがありました。

 ただ、500mlで918円(税別だと850円)という値付けには好感が持てます。 師範の酒量だと、大生1杯のあとこれでちょうどいい感じです。

極楽湯 芹が谷店 イカの丸焼き

 そして、ヘタレな赤ワインだったため、料理がイカの丸焼きみたいな魚介の香りが強いものでもケンカしなかった、 というのも不幸中の幸いでありました。

 今日は家族一同ランチをしっかり食べたんで、ここでの食事は普段より軽め、お会計は8,000円弱でした。 入浴料金と合わせて10,000円くらい、手頃なレジャーの一つとして定着した感があります。


6日(土)

Niel Joubert Sauvignon Blanc 2014
名称Niel Joubert Sauvignon Blanc 2014
ニール・ジュベール ソーヴィニョン・ブラン 2014
生産者Niel Joubert
ニール・ジュベール
価格2,160円
購入店 WINE SHOP フラダリ

 本日は、子供たちはそれぞれに友だちと遊びに外出、大人はのんびり・・・もしていられなくていろいろ家事作業な日。 夕食は、マダイのアクアパッツァ、水ダコの中華風カルパッチョ、ヤリイカとブロッコリーの炒め物。 ワインは、先月末同様、 ツイッターでフォローさせて頂いている方(今やブログ界でも有名人)にご紹介いただいた南アフリカの造り手のソーヴィニョン・ブラン。 シャルドネの時は「高品質なのは感じるが2,000円を超えると首を傾げる」という印象だったんだけど、 さてこのソーヴィニョン・ブランはどんな具合でしょうか、と。

 色は、普通の安いソーヴィニョン・ブランと特段の違いは無くて、 レモンの果肉と白木の中間くらいの淡い色合いです。 でも、香りのボリュームにはビックリです。 まず顕著なのはライムのような爽やかな柑橘香、加えて青リンゴのような涼しい甘さを感じる香りがあって、 その後ろでハーブの香りが複雑さを添えています。オーバーに言えば「まるで香水のよう」です(何の香水かは不問に願います)。 味わいは、ほんのり甘くて酸っぱい、若いソーヴィニョン・ブランの典型的なバランスですが、 シャルドネの時に感じた苦味の要素は少なめです。 この香りのする液体そのものを口にしているような、爽やかな香りの長所を一切邪魔しない味わいに好感が持てます。

 オーク樽熟成などしてなさそうで、ソーヴィニョン・ブランというブドウの魅力がシンプルかつ豪快に引き出されています。 南アフリカ全般にそうだけど、このワインもニューワールドというよりかなりフランス寄り、 地方で言えば高級なロワール産ワインのような感じです。 これだったら2,000円を超える価格にも納得。 南アフリカ現地では1,000円以下で買えるワインのようですが、 「日本で買って飲む」という前提に立つと、この内容でこの価格は十分にリーズナブルです。 100mlをアクアパッツァに使ったので、早々に飲み干しました。

点数82点

5日(金祝)

上野動物園 入門口

 今回の連休は、特に遠出は予定していないので、子供の日のサービスとして日帰りレジャー先に選んだのは上野動物園。 2年前の同じ日に山手線一周散歩際にこのあたりを歩いで、 いつか家族で来たいな、と思っていたのをようやく実現しました。

 道場からは上野動物園までは電車で1時間弱、開園時間の9時30分ごろ到着したら、 動物園入り口は予想通りの大行列。 でも、料金設定がシンプル(大人600円/今日は中学生以下無料)なので、 いわゆるテーマパークの混雑なんかに比べると比較的スムーズに流れて、15分程度で入場できました。

上野動物園 万かつサンド箱 上野動物園 万かつサンド中

 家族一同、朝は何も食べてこなかったので、朝食を現地調達。 パンダの列に並んでいる間に子供らが買ってきたのが、パンダの絵柄が書かれた箱に入った「肉の万世」の万かつサンド。 6切れを4人でシェア、子供は2切れ/大人1切れ。足りないっちゃ足りないけど、小腹を満たすにはまぁオッケー。 さすがは肉の万世ということで、カツの肉は立派なものでした。

上野動物園 パンダ

 そして今回のお目当てのパンダがこちらです。 こんな目立つ格好で、竹しか喰わなくて、おっとりとした動きで、そりゃ絶滅するわな、という感じ。 「可愛らしくあることで人間に保護される」というのが彼らの生き残り戦略だったのかも知れません。

上野動物園 ランチ

 当初、上野動物園は午前中くらいで廻って、外に出てからランチ・・・なんて考えていたんだけど、 入場時やパンダ舎でそれなりに待ち時間があったことと、 上野動物園自体が(特に動物好きの次女にとっては)見どころ満載だったこともあって、 半分も廻らないうちにお昼の時間。

 そこで園内で調達したランチが、大人はエビかつバーガー 350円×2、子供がフライドチキン 250円×2、 そして師範は生ビール 550円也。 エビかつバーガー、思ったよりも美味しゅうございました。食べ物の値段は良心的だと思います。 ピールも、「紙コップ1杯550円かよ・・・」と思ったけれど、 なみなみと注いでくれていたんで許せます・・・というかビール飲めれば大抵のことにはおおらかに接することができます。

上野動物園 ハシビロコウ

 園内には、いま話題のハシビロコウも居ました。 ジーっと佇む姿が哲学的ですなぁ。

 ずーっと天気が良くて日差しがあり、五月とは思えないくらい暖かい一日だったので、 やや厚着だった長女は軽い熱中症になってしまい、途中休憩。 なんだかんだで動物園を出たのは午後3時ごろでした。

 上野動物園、一日楽しめるレジャー施設としてお薦めです・・・って、そんなん太古の昔から皆さんご存知だとは思いますが。

根津の街並み

 上野動物園の後は、本日の第二の目的地、谷中・根津・千駄木のいわゆる「谷根千」エリア散策。 細い路地が多くて、確かに散策にはうってつけのエリアですな。

芋甚 外観

 散策の途中で「お茶でも」ってことで休憩することに。 この「お茶」ってのがなかなか難しい。 というのも、師範代は大のコーヒー好きなんだけど、次女はコーヒーの匂いが嫌い。 コーヒーで良ければあちこちに入れる店はあるんだけど・・・ってことになります。

 妥協案として、「せっかくこういう街なんだから甘味処にでも行きますか」ということで選んだのが、 根津と千駄木の間くらいのところにある芋甚という甘味処。

 このお店、この界隈では有名な店のようで、店内は満席、師範らの前に一組待っている状態。 ただ、出すのも食べるのも早いようで回転が良く、それほど待たずに入れました。

芋甚 あんみつ

 このお店で師範が頼んだのがあんみつ、お値段370円也。 誠に遺憾ながら、このお店にはアルコール類がありません。 そして、残念ながらお茶ではなくて水でした。 甘味自体はお手頃価格で美味しいので、純粋にそういうのが好きな方にはよろしいかと思われます。

谷中銀座

 そこからブラブラ歩いて谷中銀座へ。千駄木方面から歩いてくると、人でごった返す商店街が突然街中に現れる感じです。

谷中銀座 肉のサトーのメンチカツ

 谷中銀座は「食べ歩きの街」としてテレビ等でも放送されているようで、 その中でも特に「肉のサトー」のメンチカツが有名らしい。 そういうものに高校生の長女あたりはトライしてみたがるわけですよ。

 20人ほどの行列に並んだら、半分程度進んだあたりで『メンチカツはあと7個よ~』とお店の方が宣言。 師範らの前には約10人。 「こりゃ別の物しか買えないな」と思っていたら、皆さん少な目に買うのね。 師範らの前のカップルの時点で残り2個、 「あぁそこで終わりかぁ」と思ったら、カップルなのに『1個で良いです』と言うわけですよ。 後ろにいる小さい子(次女は見た目は小学生)と思ってくれたんでしょうな。 こういう気遣い、日本人ならではだなぁ、有り難いなぁ、と思いましたよ。

 で、そのメンチカツ、繋ぎが少なくタマネギが良いアクセントになっていて、 「話題になるだけのことはあるわ」と思える味でした。 一個200円、師範だけだったら並んでまでは買わないけどね。

日暮里 笑元 外観

 そんな感じで、日暮里駅に着いたのは午後6時前。 お茶したり食べ歩きしたりでそんなにお腹は空いていないし、 商店街の焼き鳥の匂いに魅惑を感じていたりもしたので、 本日の夕食は日暮里駅の京成線側にある笑元という焼き鳥メインの居酒屋さん。

日暮里 笑元 牛さがり串

 店内は、テーブル席が20席程度、カウンターが8席程度。 師範らが入店した段階ではお客はうちだけだったのでやや心配したんだけど、 程なく満席になったところを見ると、そこそこ人気店のようです。

 ここで注文した料理は、
たこわさ380円、ホタルイカ沖漬450円、せせりポン酢480円
なんかの酒のアテや、
軟骨からあげ380円、チキン南蛮680円
なんかの揚げ物、そして当然焼き鳥もいろいろと。左写真は牛さがり串400円の2本。 そこそこのお値段しますが、「肉喰ってるゾ!」感があってナイスでした。

日暮里 笑元 牛さがり串

 飲み物は、まずは瓶ビール550円を。 銘柄はスーパードライだったけどしかたありません。 生ビール中と瓶ビール中が同じ値段であった場合、瓶ビールを選ぶのが自分の中での最近の流行となっております。 だって大抵の場合そちらの方が量が多いし、 瓶の中にあったほうが温まるのが遅い気がしますから。

Ginestet Merlot Cabernet Sauvignon 2015
名称Ginestet Merlot Cabernet Sauvignon 2015
ジネステ メルロー/カベルネ・ソーヴィニョン 2015
生産者Ginestet
ジネステ
価格(1,300円 / Half)
購入店 笑元

 居酒屋に入ったらワインをチェックするのが「安ワイン道場師範」の任務となっております。 大抵は、箱入りのジャグ・ワインなんかがグラスで500円というような法外な値付けで売られていたりするわけですが、 このお店は違います。飲み物リストには『ワイン(赤・白)ハーフ 1,300円』の文字があります。 そのワインが何かは不明ですが、ハーフで提供というのは気が利いています。 ここはひとつサプライズ、ということで、内容を聞かずに「赤ワインのハーフを1本お願いします」と注文してみました。

 そして出されたのがコレ、ボルドーの大手ジネステの赤でした。 悪い方の予想としてはフランジアやタベルネッロあたりの激安系、 良い方の予想としてはチリや豪州のしっかり系だったので、ボルドーだったのはまぁまぁの結果です。

 色は、握りこぶしくらいの小さめグラスでも向こうが透けない濃さがあります。 香りのボリュームは弱め。それでもカシスっぽいベリーの感じや、ボルドーらしい煙たさもあるので、案外悪くはありません。 味わいは、ややボディが薄くてガシガシした感じ。 甘味が弱いのが残念ですね。焼き鳥みたいな料理にはもう少し甘味があった方が相性が良いと思います。

 ・・・とは言えハーフで1,300円、非常に的を射た値付けだと思います。 欲を言えば、ボルドーのブランドはいらないから、 豪州産(デ・ボルトリ等)とかチリ産(コノ・スル等)をハーフ1,000円くらいで出されていたら、と。 それだととてもポイント高いんだけどな。

点数70点
日暮里 笑元 角ハイボール 日暮里 笑元 もんじゃ焼き

 シメは、「東京の下町に来たのであれば・・・」という気分でミックスもんじゃ1,050円に200円で明太子をトッピング。 お忙しい中、お店のお兄さんに焼いて頂きました。田舎モンにはやれないです、もんじゃを焼くのは。

 飲み物のシメは、角ハイボール400円。 ビールもワインもアサヒなのに、ハイボールは角なんですな。 やっぱりウィスキー界では「サントリー強し」なのかな?

 そんな感じの夕食で、お会計は4人分トータルで10,000円強。 食べたいものが食べられて、家族一同満足でありました。


4日(木祝)

一力酒店の試飲会

 本日の午後、権太坂方面を散歩していたら、境木商店街にある個人営業の酒屋さんで試飲会が行われていました。 「そういえば読者な方からご案内を頂いたことがあったな」と思い出しつつ、お店に入ってみればこれが凄い。 何が凄いって、試飲できる本数が凄い。泡が6種、白が31種、赤が30種、なんと計67種が開いています。 しかもお店の方特製のツマミ付き。で、その試飲がなんと無料なんっすよ奥さん!

 そして、接客してくれたのはお店の人じゃなくて常連さん。 これが詳しいんだな、その常連さんも。師範ビックリです。 立派なお髭の店主の有り難いお話を拝聴しながら、泡から白までズラズラ―っと試飲。 さすがに全種類を試飲する度胸は無く(このケチな師範が全種類行かない、という点で量の凄さを感じてください) 常連さんお薦めのものを中心に40種ほど試飲。

 これだけ歓待を受けてさすがに手ぶらで帰るわけも行かず(ってオトナとして当たり前っすね)、 試飲した中から気に入ったものを赤白一本ずつゲットさせて頂きました。 いや~、地域に愛されている店なんだなぁ、と感じましたよ。

次女作のカレー

 夕食は、次女が家庭科の宿題で「カレーを作りなさい」と言われているらしいので、 次女作のカレー。 「作った過程をレポートしなさい」ということだったので、 具材はニンジン、ジャガイモ、タマネギ、豚薄切り肉を使った極めて一般的な日本のカレーです。 ここで「このお家変わってる~」と思われたくない無言の同調圧力が働くあたり、 師範家も普通の日本の家庭だなぁ、と思います。

Aldridge Twynham Chardonnay 2016 [Cranswick Wines]
名称Aldridge "Twynham" Chardonnay 2016
アルドリッジ "トウィナム" シャルドネ 2016
生産者Cranswick Wines
クランズウィック・ワインズ
価格799円
購入店 ヴェリタス

 カレーに合わせるワインは悩みます。 だいたいどんなワインでもカレーの風味には負けるわけだし、 負けないくらい豪快に香りのあるワインを合わせるのは勿体ないし ・・・というわけで本日は「合わせる」よりも「勿体なくない」ということに主眼を置いて豪州産の安い白をチョイスしました。

 色は薄めのレモン色。香りのボリュームは弱めだけど、 暖かい地方のシャルドネらしいリンゴをトロピカルにした感じと、桃のような蜜の香りを感じます。 さすがにこの値段だと樽熟はさせていないか軽いのかな?香ばしさみたいなものはほとんど感じません。 味わいは、苦味や旨味は控えめで、素直に甘酸っぱい感じ。 悪く言えば単調な味わいだけど、良く言えば雑味の無い味わいと言えます。

 乱暴な言い方ですが、普通に美味しいシャルドネです。 でも、3桁のワインだとこの「普通」ってのが大切なのは皆さんご承知でしょう。 変なクセが無いので万人に好かれるワインだと思います。 「よりどり8本で送料無料」の一本なので、送料無料化するための埋め草として好適品です。 ちなみにカレーとの相性は、高め合いもしなければケンカもしない、普通な感じでした。

点数71点

3日(水祝)

道場のテラスで焼肉

 天気が良くて暖かいゴールデンウィークの休日、 今日は「卓球デー」ということにして、 長女(元卓球部)と次女(卓球部に入ったばかり)、そして師範(卓球経験ほぼ無し)で近所の地区センターへ。 無料で卓球が楽しめて大変お得。目指せ愛ちゃん佳純ちゃん!

 そして、本日昼間は暖かだったので、夕食は今シーズン初のテラスで焼肉。 でも夕方になるとかなり気温が低下。この時期はいつもこうなんだよな。 ただ、今日の夕方は風が弱くなって来たんで、最後までテラスで食事をすることが出来ました。 酷い時は「師範が外で焼き担当、女性陣は中で食べ担当」になるからね。

Bourgogne 2013 [Dom. Gros Frere et Soeur]
名称Bourgogne 2013
ブルゴーニュ 2013
生産者Dom. Gros Frère et Sœur
ドメーヌ・グロ・フレール・エ・セール
価格2,484円
購入店サンタムール

 夕食が焼肉なので、もっとしっかりした赤を選んでも良かったんだけど、 なんとなくブルゴーニュが飲みたい気分だったので、己の欲求に正直にチョイス。 選んだのはグロ・フレールのACブルゴーニュで、先月稽古した2012年産とのヴィンテージ違い。

 色は、ブルゴーニュらしい澄んだ赤紫色。 先月の2012年産と(記憶の中で)比較すると、こちらの方がやや明るい気がします。 2012年の方が良年だったんですかね? 香りを嗅ぐと「やっぱりこの人は上手だなぁ」と感じます。 熟したプラムのようなフルーツ香に焦げたバターの香ばしさ。 香りのボリュームは中程度なんだけど、まるで高級ブルゴーニュをそのまま小さくまとめたような香りがします。 味は、軽いっちゃ軽いけど甘酸っぱくてフルーティ。 口・喉・胃、あらゆるところから染み込んでいくような錯覚を覚えます。

 やっぱりブルゴーニュは美味いよなぁ、と再認識させられるワインです。 特にこの造り手のエントリークラスは、値段以上の価値を提供してくれます。 ホントにこの造り手のACブルゴーニュは美味い。 平凡な造り手の村名、あるいは一級畑に匹敵すると思います。

点数80点

2日(火)

旧東海道 川崎宿

 本日も師範はお休みを戴いておりますが、師範代は出勤、次女は学校、長女は自宅に居るけど旅行後の整理。

 家族の中で唯一ヒマな師範に於きましては、災害時の徒歩での帰宅訓練を兼ねて品川から自宅まで歩いて見ることにしました。 題して「東海道ちょっと三次」。品川宿を出て川崎宿、神奈川宿、程ヶ谷宿の宿場三つ分の距離を歩くからです。 多分近いうちに別ページにその様子をアップすると思います。乞うご期待!・・・と言っても単に自分用の備忘録だけどね。

 ちなみに、2年前同じくゴールデンウィーク中に山手線を一周した時の記録が コチラ。 あの時より若干距離短めで、総歩数は44,000歩強でした。

 「東海道ちょっと三次」として掲載開始。

◇更新履歴

2015/05/03:品川駅から鮫洲駅までを掲載
2017/05/04:立合川駅から梅屋敷駅までを掲載
2017/05/08:京急蒲田駅から京急川崎駅までを掲載
2017/05/08:八丁畷駅から花月園前駅までを掲載
2017/05/10:生麦駅から神奈川新町駅までを掲載
2017/05/11:仲木戸駅から相鉄横浜駅までを掲載
2017/05/14:品川から保土ケ谷までの全編掲載完了
Bodega Norton Coleccion Cabernet Sauvignon 2016
名称Bodega Norton "Coleccion" Cabernet Sauvignon 2016
ボデガ・ノートン "コレクシオン" カベルネ・ソーヴィニョン 2016
生産者Bodega Norton
ボデガ・ノートン
価格767円 (単品価格 1,404円)
購入店 エノテカ楽天市場店

 そして夕食は、師範代父が作って送ってくれたビーフシチュー、師範と長女合作のモヤシ&キュウリのナムル、 神戸屋のバゲット。 ビーフシチューとなるとやっぱり合わせるべきはニューワールドの赤でしょう、 ということで選んだのがアルゼンチン産のカベルネ・ソーヴィニョン。 造り手のボデガ・ノートンはクリスタルで有名なスワロフスキー社が所有。 昔からしばしば稽古しているけど、結構イケている銘柄が多い印象があります。

 色は、それなりに濃さはあるけど向こうが透ける程度の清澄度もある紫色。カベルネ・ソーヴィニョンとしては明るめな方かもです。 香りのボリュームは、買値相当額である1,000円以下のワインとは思えないくらいちゃんとしています。 そして香りのバランスは、カベルネにしてはちょっとトーンが高めかな?という傾向で、 カシスみたいな濃いベリーの香りをベースにイチゴっぽい明るさを足したような感じです。 味わいも、色や香りの印象の通りにカベルネ主体のワインとしてはやや軽め。 特に渋みが穏やかなので、疲れた身体でもスイスイ入ります。

 ・・・と、最初は良かったんだけど、早い段階で飲み飽き。 散歩の途中で昼からビールを飲んでいる&疲れているという飲み手側の影響が大なのかも知れませんが、 裏ラベルに「安定剤(アカシア)含有」の文字を発見。 コイツが入っていると飲み飽きしがちなんだよなぁ。

 普段の食卓でサクッと飲むのにちょうど良い、使い勝手が良いワインを目指したんだと思われます。 ただやっぱり添加物に安定剤(アカシア)の存在は気になるなぁ。 コレが入っていると、結構どんなワインも明るめに感じられるし飲み飽きするし・・・という気がするのね。 あくまで「個人の感想」ですが。

点数66点

1日(月)

シェ・フルール横濱 外観

 例年5月1日は師範代の勤務先の休業日。 それに合わせて師範も休暇を取って、二人でランチを食べに行く、というのが通例になっております。 自分で言うのもアレですが仲の良い夫婦です。

 そして、今年のお店に選んだのは、横浜駅西口からちょっと歩いたところにあるシェ・フルール横濱というフレンチの店。 ジャンルは「創作和フランス料理」とのことです。 師範の散歩コースにあって、店の外観からシュッとした雰囲気を感じるし、 ネットの評判等も悪く無いようなので初訪問しました。

 入り口前には「本日は満席です」の掲示がありました。 評判良い店なんですね。早めに予約しておいて良かった良かった。

シェ・フルール横濱 内観

 店内は結構広くて、テーブル席が30席程度とカウンターが数席。 そして確かに最終的にはそのほとんどが埋まる感じでした。 客層のほとんどがお金持ちそうな女性グループ。 男性は師範ら含めて3組のペアのみ。 その3人すべてダンディなイケメン(笑)でした。

 閑話休題、この店のランチは、2,500円のメイン1品コース、3,500円のメイン2品コース、5,000円のフルコース。 今回師範夫妻は真ん中の3,500円(税込み3,780円)のコースを選択しました。

シェ・フルール横濱 アミューズ

アミューズ:グリーンピースの冷製スープと豚肉のリエット

 中身は普通と言えば普通ですが、ランチのコースでアミューズがあるのは嬉しいですね。 やっぱり気分盛り上がるからね、アミューズ。

Veuve Pelletier & Fils Brut N.V.
名称Veuve Pelletier & Fils Brut N.V.
ヴーヴ・ペルティエ&フィス ブリュット (ヴィンテージ無し)
生産者Veuve Pelletier & Fils
ヴーヴ・ペルティエ&フィス
価格667円/glass (泡白赤グラスワインセット 2,000円)
購入店シェ・フルール横濱

 このお店のワインリストは非常に立派、フランスを中心に世界各国から200種類くらいのラインナップがありました。 値段も、一番安いのは4,000円台からで相対的にリーズナブル。ワイン好き何人かで集まって行けば大変楽しいと思われます。

 グラスワインはというと、赤白それぞれ3種類ずつあるそう。 「料理にペアリングして頂くことは出来ますか?」と聞いたところ、 このお店にはグラスワインのセットがあって、スパークリング+白+赤だと1,500円、シャンパーニュ+白+赤だと2,000円とのこと。 コレはお得だと考えて、シャンパーニュの入った2,000円のコースをお願いしました。

 そのシャンパーニュがコレでした。 ヴーヴ・ペルティエ、初稽古の造り手です。 品種は、シャルドネ、ピノ・ノワール、ピノ・ムニエが使われた一般的な構成とのことです。 シャンパーニュらしく、泡のキメは細かく、パンや味噌のようなイースト香とリンゴのフルーツ香があって、 甘酸っぱいバランスで、量は少なめでしたが満足度の高い内容でした。

 最初のアミューズ同様、一杯目のシャンパーニュはやっぱり気分が上がりますな。 ちなみに、「ボトル見せてください」と言ったら「ボトルにしてください」と聞こえたみたいで、 このグラスワインのセットに加えてボトル1本追加となるところでした。さすがに昼からソレは飲み過ぎです。

点数(80点)
シェ・フルール横濱 前菜

前菜:7種の盛り合わせ

 健康のためには一日30品目の食材を摂ると良いらしいですが、この前菜だけで30品目は行きそうな勢いです。 美味しいものをちょっとずつ食べたいハイソな女子にも、 ツマミはいろいろ種類があるほうが良い呑兵衛のおっさんにもウケの良い前菜です。 敢えて一品選ぶとすると、蒸し鶏が美味しかったな。写真では一番奥でほぼ見えてませんが。 どことなく中華を思わせる風味で、「これぞヨコハマ」な感じでした。

Brown Brothers Tasmania Sauvignon Blanc 2016
名称Brown Brothers Tasmania Sauvignon Blanc 2016
ブラウン・ブラザース タスマニア ソーヴィニョン・ブラン 2016
生産者Brown Brothers
ブラウン・ブラザース
価格667円/glass (泡白赤グラスワインセット 2,000円)
購入店シェ・フルール横濱

 二杯目の白はオーストラリアはタスマニア島産のソーヴィニョン・ブラン。 どうやらオーストラリア・フェアみたいな企画中だったらしく、グラスワインのチョイスにオーストラリア産が多数でした。 ちなみに、シャンパーニュの時にボトルを見せてくれるようお願いしたからか、 白からはお願いしなくてもボトルも見せて頂けるようになりました。 こういう気遣いが気持ち良いんだよなぁ、良いレストランは。

 そしてこのワインはというと、色は非常に薄くて無色に近い感じです。 香りはとてもとてもスッキリ系。オーストラリアのソーヴィニョン・ブランというと、 トロピカルな熱いフルーツの雰囲気を感じるものも少なくありませんが、 さすがにタスマニア島あたりになると冷涼な空気を感じるレモンやハーブの香りが中心です。 味も、香りの印象通りの激フレッシュ系。 酸がキリリとしていて、脳がシャキッとなる味わいです。

 シンプルだけど印象深いワインです。 こういうワインをランチのグラスワインの選択肢とするのは大変よろしいんじゃないでしょうか。 特に初夏を思わせる今日みたいな気温だと、スーッと入って来て幸せ感が高まります。

点数(78点)
シェ・フルール横濱 メイン魚

メイン魚:黒鯛とイサキのポワレ

 乱暴に言えば、黒鯛もイサキも白身魚なわけで、そういう似た魚を同じ調理法&違う味付けで出すのは面白いっすね。 黒鯛はアスパラガスのソース、イサキはラタトゥイユ風のソース、そして中立の位置にビーツのソース。 前菜の盛り合わせもそうだけど、 このレストランはひとつの味でグイグイ押すというより、 バリエーション豊かにいろいろな味わいを楽しむ趣向のようです。

Rosemount Estate Diamond Label Chardonnay 2015
名称Rosemount Estate "Diamond Label" Chardonnay 2015
ローズマウント・エステート "ダイヤモンド・ラベル" シャルドネ 2015
生産者Rosemount Estate
ローズマウント・エステート
価格800円/glass
購入店シェ・フルール横濱

 魚料理を前にして、前菜の段階で白ワインは飲み終わり。 「もう一杯追加で別の白を注文したいなぁ」などと心の中で念じていると、 その気持ちが通じたのかソムリエさんが『追加でグラスワインはいかがですか?』と言って来てくれました。 こういう絶妙なタイミングでのサービスが、 満席のお客さんをさばきながら出来るというのはさすがだと思います。

 そして、グラスワインの白の選択肢は、前のソーヴィニョン・ブランと、アルザスのピノ・グリ、 そしてこのシャルドネ。 「樽香もあってしっかりした味わいです」とのことだったので、ワインの組み立て的にはコレだな、と思って注文しました。

 色はそんなに濃くはなく、前のソーヴィニョン・ブランと大差ない感じがしました。 香りもちょっと残念、というかかなり残念。 ボリュームが弱めで、あまり香りが上がって来ません。 口に含むと確かに樽の感じはあるんだけど、全体にスケールが小さい印象を受けます。 味は確かに前のソーヴィニョン・ブランよりしっかりした甘さと旨味があるだけど、 香りの弱さを覆すほどの存在感はありません。

 ・・・というわけで、追加の白はちょっと残念な結果でした。 逆に、セットに組み入れられているワインってのはそれなりに存在感があるのが選ばれているんだな、と再確認することができました。

点数(70点)
シェ・フルール横濱 メイン魚

メイン肉:アンガス牛のステーキ

 師範はステーキの肉は赤身が好きです。 特にこういう絶妙に火が入って柔らかさと歯ごたえが両立したステーキは大好物です。 ソースが複数種あって、いろんな味わいが楽しめるというこの店の趣向は一貫しています。 ちなみにこのお店、ナイフやフォークのカトラリーを使うことも出来ますが、 お箸も置かれています。「創作和フランス料理」だからということもあるんでしょうが、 前菜盛り合わせみたいなちょっとずついろいろなメニューだと、 お箸の方が味わいが混ざらなくて良いですね。

Angove Medhyk Old Vine Shiraz 2014
名称Angove "Medhyk" Old Vine Shiraz 2014
アンゴーヴ "メディック" オールド・ヴァイン シラーズ 2014
生産者Angove Family Winemakers
アンゴーヴ・ファミリー・ワインメーカーズ
価格667円/glass (泡白赤グラスワインセット 2,000円)
購入店シェ・フルール横濱

 また3杯2,000円のセットに戻って、赤はオーストラリア産のシラーズ。 これまで20年6,000本近いワインと稽古してきた当道場ですが、 今回この店で出されたワインはどれも稽古したことがない銘柄です。 やっぱりワインの世界は奥が深いなぁ、と改めて感じ入った次第です。

 色は非常に濃い紫色。アシが長くてネットリ感もあって見るからに濃いワインであることが判ります。 香りはいかにも豪州産のシラーズの雰囲気。 まるで干しブドウから造ったような甘く濃い果実香に、 胡椒のようなスパイシーさと豪州産らしいミントのような涼やかさがあります。 味わいも、甘味と酸味がしっかりしていて、渋味はあるけどシブシブしてなくて、とても良いバランスに仕上がってます。

 存在感のあるワインで、グラス1杯でキッチリ主張して来てくれました。 参考までに、師範のところに注がれた分はこのボトルの下の方。 多分前日から開いていた残りなんじゃないかと思われます。 そして、そのことがかえっていい方に作用したんじゃないかな? 若いニューワールドの固さや険しさがなくて、かなり柔らかな雰囲気になっていましたから。

点数(81点)
シェ・フルール横濱 デザート

デザート:ティラミス、イチゴのムース、ミルクのシャーベット
お茶:コーヒー

 デザートも美味いしコーヒーもナイス。良い気分で食事を終えることができました。

 お支払いは、サービス料は取られていなくて、コースの料金3,780円×2にグラスワインのセット2,000円+グラス単品800円、 〆て10,000円ちょっと。それに見合った満足度は確かにありました。 特にシャンパーニュ含めた泡白赤で2,000円のセットは、安ワイン者なら"Don't Miss It!"です。

 横浜駅近辺で良い店発見、でありました。

Sovento Brut N.V.
名称Sovento Brut N.V.
ソベント ブルット (ヴィンテージ無し)
生産者Bodegas Fernando Castro
ボデガス・フェルナンド・カストロ
価格430円
購入店MEGAドン・キホーテ狩場インター店

 そして、道場での夕食は天ぷら。天種は、エビ、鶏胸肉、新玉ねぎ、ピーマン、アスパラガス、インゲン、人参、舞茸。 ワインは、昼にそれなりに飲んでいるんで、手持ちのワインの中で一番アルコール度数が少なかった(10%)コイツを。 ドン・キホーテでフルボトル税別398円、どういうコスト構造なのか謎な安さのスペイン産スパークリングです。

 色は普通に薄めです。 泡立ちも、最初は調子いいけどだんだん先細る感じで、ガス圧はあまり高くないと思われます。 香りは、柑橘類的なフルーツ香に飴っぽい甘さがあって、案外悪くない香りです。 更には味わいも、普通安いスペイン産泡だとキンキン金属的な感じがあるんだけど、 このスパークリングは良くも悪くも没個性なんで、そんなイマイチさが無くスイスイ入ります。

 積極的な美味さがあるわけじゃないんだけど、 ネガティブな要素は見当たらず、この値段なら間違いなく「アリ」と言えます。 それにしても、昼にレストランで飲んだワインはグラス1杯700円弱、 それでも一般的には安いと思うんだけど、コレはボトルで420円。 どこまでを「安い」と言うか安ワイン道場的に悩みは尽きません。

点数71点